大阪歴史博物館
美術館規模 大
専用駐車場 無
アクセス方法
地下鉄谷町四丁目駅から徒歩
お勧めアクセス法
駅から出るとそこにあるので、地下鉄を利用するのが便利で安上がり。
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展覧会レポート
「大アンコールワット展」 2006.7/22〜9/11
カンボジアにおける古代クメール王朝の石造寺院が、世界遺産にも指定されたアンコールワットである。クメール王朝の滅亡後、アンコールワットの存在は人々に忘れ去られ、ジャングルの中に埋もれてしまっていたのだが、19世紀に再発見され一躍脚光を浴びるこことなった。当時のクメール朝は仏教とヒンドゥーの文化の影響を受けており、アンコールワットの寺院はこれらの神々が入り交じったものとなっている。本展ではプノンペン国立博物館の収蔵品であるアンコール美術を展示しており、展示品は石像、銅像などである。
ギリシア彫刻などと違い、いかにもアジア人的な平面的な顔立ちの像が多いのが、なんとなく親近感を抱かせる。ギリシア彫刻のような血管や筋の一本一本まで再現するかのようなリアリティはないのだが、それとは別の次元のリアリティを感じさせる像が多い。またヒンドゥーの神々は象の頭を持つガネーシャに象徴されるように、半獣半人の神が多いのだが、それらの神々の像などはどこかユーモラスで、それでいてどこか威厳を感じさせる。また鷲頭の神であるガルーダは日本の天狗の元祖と言われているが、これ以外でも孫悟空を連想させる猿の神ハヌマーンなど、日本人としては妙な親しみを感じさせられるのである。
正直なところを言うと、私はアジア美術、特にインド美術などの南方系美術は趣味に合わないと感じていた人間なのだが、本展出品作は一級品揃いなのか純粋に美術品として面白いと感じる作品が多かった。私としては実に貴重な体験である。
「生人形と松本喜三郎展」 2004.8/25〜10/4
生人形とは、芝居の名場面などを人形で再現した細工物であり、幕末から明治にかけて見せ物小屋で評判になった。現代の言葉で表現すればジオラマといったところか。今までの日本の人形と違って、人物の表情や質感などまで極めてリアルに再現しているのが特徴であり、それ故に「生人形(活人形)」と呼ばれたのである。
熊本出身の松本喜三郎はその第一人者として名を上げた名人であり、本展覧会では彼の手による人形を始めとして、彼のライバルと目されていた安本亀八や、彼等の弟子などによる作品を一堂に集めている。
とにかく絶句するのは、その人形の凄まじいまでのリアリティである。特に川本喜三郎の作品に至っては、今にも動き出しそうなほどのリアリティを感じさせられる。これらの精巧な描写は彼の卓越した細工の技術によるものであることは言うまでもないが、残されたスケッチなどからも彼は観察眼も尋常でなかったことがうかがえる。
ヨーロッパなどではこのような工芸品は明らかに芸術作品と一線を引かれており、どうも工芸品が一段低く見られているような風潮があるようだが、日本ではそもそも芸術と工芸が不可分であったことから、その境界領域と言えるような分野が多く存在している。この生人形などもちょうどその境界に存在しそうな印象である。
私は正直なところ、人形とか仏像とかの類はあまり好きな方ではない。しかし本展覧会の作品に関してはとにかく堪能させられた。難しいことを抜きにして、単純に楽しめるといった趣の展覧会であるので、暇のある方は出かけられても損はしないと考える。
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