展覧会遠征 京都ライブ編3
今日は京都でエルプフィルのコンサート。旧ハンブルク北ドイツ放送交響楽団のことである。ところでエルプって何の意味だ? いつも私はこの名前を聞く度にエイプやエルフを連想してしまうので、その結果として耳長の猿のイメージが浮かんでしまって仕方ないのだが。
この日の仕事は大阪だったので、仕事を終えるとすぐに京都に移動。しかし京都に到着した時には開演時刻が近づいていてゆっくり夕食を摂っている時間がない。慌てて駅で立ち食いうどんをかき込んでからホールへ急ぐ。
ホールの入りはあまり良くない。ザッと見たところ6割程度と言うところか。空席が結構目立つ。安いC席やD席は売り切れたようだが、高い席には空席が比較的多く、一階席などはホールの中央付近にだけ客が入っているような雰囲気。やはりオケの知名度に比べて価格がやや高めなのか。
NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団
[指揮]アラン・ギルバート(NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団次期首席指揮者)
[ピアノ]ルドルフ・ブッフビンダー
[曲目]
ワーグナー:歌劇《ローエングリン》第1幕への前奏曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 op.58
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 op.98
ピアニストは予定されていたエレーヌ・グリモーが肩の故障とかで急遽ブッフビンダーに変更、指揮者はタケシことアラン・ギルバートである。
そのいかつい風貌とタケシという名からドラえもんのジャイアンのキャラに例えて「剛田」などとも言われることのあるアラン・ギルバートだが、その指揮っぷりも動作の大きいダイナミックなもので、まさに剛田イズム全開のイメージがある。ただ単に煽っているだけではなく、諸々の細かい仕掛けなども多く、実は意外に細かい計算がある。ブラームスの4番では特にそれが端的に現れていて、非常に躍動感に満ちた前進力の強い演奏となっている。一楽章のまさにさざめくような演奏などは実に特徴的。ややテンポが速めなのでいささかせかせかした印象もないではないが、生命感のある演奏とも言える。
ブッフビンダーのピアノには圧倒された。曲に合わせてか実に柔らかい音色で弾いており、軽快で雄弁なピアノ演奏である。細かい溜や揺らしなどもあるのだが、それにキチンと追随して崩れないバックのオケも見事であった。特に驚いたのは第一楽章のカデンツァ。雄弁かつ自在という印象でカデンツァの本来の即興演奏という空気を強烈に感じさせられた。この辺りはまさにピアニストの格というものだろうか。
アンコールはハンガリー舞曲6番だったのだが、非常に起伏の激しい演奏なのにアラン・ギルバートの指揮の下でしっかりと統率が取れているオケの音色を聴いていると、指揮者とオケの関係も非常に良好であることが感じられた。なかなかに気持ちの良い演奏であった。
アンコールの2曲目が何の曲なんだろうと思っていたら「浜辺の歌」だったというのには驚いた。そう言えばこの曲はいつだったか他のオケでも聴いたことがあるのだが、日本の歌として海外でも知られているのだろうか? ちなみにスラットキン/デトロイト来日時の日本の歌は「六甲おろし」だったが(笑)。
なかなかの公演に場内はかなりの盛り上がりになり、観客はそう多くないにもかかわらず拍手の音はかなり大きなものとなっていた。私も「なかなかやるな、タケシ」といったところ。
この日は満足してコンサートを終えると家路についたのである。
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