展覧会遠征 大阪編18
東京出張の疲労がまだ体に残っている状態だが、この週末も懲りずに大阪へ外出である。土曜の午前中に家を出ると大阪へ直行する。
大阪に到着して私がまず立ち寄ったのはチケットぴあ。ここに立ち寄ったのは、ネット予約では座席指定ではないチケットを座席指定で買うため。実は私はあるコンサートのチケットを発売日にネット購入しようとしたのだが、その席を見てみるとなんとホールの最前列という、アイドルやロックなら特等席だが、クラシックならクソ席。どうもチケットぴあは前から順番に割り振るようである。チケットの動きの激しいコンサートならそれでも仕方ないから押さえておくところだが、様子を見ているとチケットの動きはかなり鈍い模様なので、ネット購入を止めて窓口購入に切り替えた次第。私の狙ったとおり、ホール一階の中央付近というクラシックでは特等の座席のチケットの購入に成功する。
目的のチケットを入手すると次は昼食を摂る必要がある。大阪駅前第2ビルの地下に行って「いわむら」に入店、ランチメニューの「デミグラスハンバーグランチ(930円)」を注文する。ハンバーグは美味いのだが、デミグラスソースがいささか軽い。もう少しコクが欲しいところ。
肥後橋に移動すると、フェスティバルホールに入る前に向かいの美術館に入館する。
「珠玉の村山コレクション 〜愛し、守り、伝えた〜 」II 美しき金に心をよせて 中之島香雪美術館で6/24まで
金は化学的に安定な元素であるのでさびることがなくその輝きを保ち続ける。それ故に古来より単に装飾に使用するだけでなく、神的なニュアンスも含んで用いられてきている。そのような金に纏わる物品を展示。
金は使い方によっては煌びやかで華やかにもなれば、荘厳で神々しくもなる。蒔絵などの装飾は華々しく、経典などになると厳かである。このような金の対比を感じることが出来る展覧会でもある。個人的には金蒔絵の雅やかさに心惹かれる。
展覧会の見学を終えると向かいのフェスティバルホールへ入場する。かなり大入りで一階は満員である。
ロッシーニ「チェネレントラ」
指揮/園田隆一郎
合唱/藤原歌劇団合唱部
管弦楽/日本センチュリー交響楽団
キャスト/
〈チェネレントラ・灰かぶり娘〉アンジェリーナ:脇園 彩
〈王子〉ラミーロ:小堀勇介
〈従者〉ダンディーニ:押川浩士
〈男爵〉ドン・マニフィコ:谷 友博
〈姉〉クロリンダ:光岡暁恵
〈姉〉ティズベ:米谷朋子
〈家庭教師〉アリドーロ:伊藤貴之
童話シンデレラを原作としたオペラ。随所にロッシーニ節が聞かれる。ストーリーは王子とシンデレラが舞踏会以前に知り合っていたりなど、よく知られた童話とは若干異なるところがある。人物解釈なども若干異なっているようで、シンデレラをいじめるのは継母ではなくて継父の男爵。なおこの男爵がシンデレラのことをやたらに「猫かぶり」と言って憎悪しているのだが、私の目からもシンデレラが童話のような無垢な少女ではなく、いささか猫かぶりに見えたのはいかなることだろうか。
楽しくもなかなか聴かせる音楽になっていて、決して子供向きオペラというわけではないようだ。歌手の聴かせどころも多々あるのはさすがにロッシーニ。
ただ王子の小堀などはなかなか好演だが、主役の脇園の歌唱に若干の弱さがあり、主役の見せ場で今ひとつパッとしなかった感があるのがやや残念なところ。
コンサートを終えると今日の宿泊ホテルであるホテル中央オアシスに移動する。新今宮地域での高級ホテル(笑)。今回は会社の宿泊補助が使用できたことから選択。
ホテルに荷物を置いてしばし休憩すると、夕食のために新世界へ。立ち寄ったのは「串カツだるま」。待ち客がいる状態だったが客の回転が早いので十数分で入店できる。
串カツ諸々を十数本注文。サクッと揚がっていてうまい。前回来た時にも感じたが、やはりここのは油が胃にもたれない。ほとんどのカツが1本108円で支払いは1800円ほど。やはりCPが良い。
コーラを頂きながら、適当に十数本の串カツをつまんだのである 串カツの後は隣の「松屋」で220円のきつねうどんを頂く。本当にCPの良い界隈である。
腹が膨れた後は、ジャンジャン横町のレトロゲーム店でガンシューティング系ゲームを少し楽しんでから、帰りに千成屋でミックスジュースを購入してホテルに戻る。
ホテルに戻るとBDなどを見て過ごすが、とにかく眠いので早めに就寝する。
☆☆☆☆☆
翌朝は8時まで爆睡。いささか体が重い。とりあえず朝風呂で体を覚まし、身支度を調えてホテルを出たのは10時前。表に出ると結構雨が降っている。これはなかなか嫌な感じ。
とりあえず朝食がまだなので「千成屋」で朝食を摂ることに。ミックスジュース(500円)とナポリタンスパ(750円)を注文する。
ナポリタンスパは鉄板焼きスパで、薄焼き玉子を敷いた上にスパが乗っている。これが何とも懐かしい味でなかなかに美味い。玉子を敷いているおかげで鉄板にスパが焼け付かないのはメリット。
朝食を終えたところで天王寺に移動する。ハルカス美術館で開催中の展覧会が目的。この展覧会はそもそも名古屋で開催された時に行くつもりだったのだが、何だかんだで機会がなくて今回まで遅れてしまった次第。
「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」あべのハルカス美術館で6/24まで
多色刷り版画である錦絵の創成期の代表的画家であり、独自の品のある美人画で人気を博した鈴木春信の作品を、ボストン美術館の所蔵品の中から公開。
色鮮やかな作品が多く、華々しい錦絵の世界を堪能することが出来る。後の浮世絵版画のスタンダードを作った人物だけに、なかなかに見せ所を知っている画家であるということを感じさせられる。独特のスラリとしたスタイルの女性像がなかなか美しい。
さすがにボストン美術館所蔵品だけあって、状態の良い作品が多かったのが印象に残った。特に春信の作品は国内コレクションだとほとんど退色してしまっているものが大半だけに、今回の作品達はかなり貴重。
ハルカス美術館の次は大阪市立美術館に行くつもりだったのだが、外の雨はさらに激しさを増しており、こんな中を天王寺公園を歩いて美術館まで行く気になれないので次回に延期することにする。それにしても以前から感じているが、大阪市立美術館は立地が良くない。駅から微妙に遠いのが嫌なところだ。
外は豪雨
コンサート前に昼食を摂りたいが、朝食が遅かったせいで今ひとつ腹が減っていない。ハルカスのレストラン街を覗いたが、ついさっきまで新世界をうろついていたせいで貨幣価値感覚が変わってしまっており、ハルカスレストラン街の常軌を逸した価格に頭がついていけない(これって何人分ですか?というレベルの価格)。おかげで食欲も失せてきたので、もう少しまともな価格のメニューを求めて梅田界隈まで戻って駅前ビル地下をうろつくことに。そして結局食べたのは「紋次郎」でいつもの「つけ麺(800円)」。
昼食も終えたのでフェスティバルホールへ移動する。昨日と連続でのフェスであるが、1階中央の特等席を確保した昨日と違い、今日は3階の一番奥という安席。ロイヤルリヴァプールには興味があったが、何せ辻井公演なのでそんなに高い席を確保する気がしなかった次第。
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヴァシリー・ペトレンコ
ピアノ:辻井伸行
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番
チャイコフスキー:交響曲 第4番
一曲目からオケの上手さが目立つ。音色が分厚くて安定感がある。辻井のバックだと露骨に流しで演奏するオケもあるが、ここに関しては手抜きをしている様子がない。
毎度お馴染みの辻井のチャイコンであるが、今回はバックが極めてしっかりしているおかげで辻井の演奏も安定して聞こえた。ペトレンコは辻井に合わせてやや抑えめの表現をしているように感じられたが、それでも曲自体はスケールの大きな劇的なものとなっていた。なおこの曲は大抵第一楽章終了後に拍手が起こるのだが、辻井が今まで何度もこの曲ばかりやっているので、さすがに辻井オタも学習したのか、本公演では第一楽章終了後の拍手は聞こえてこなかった。
最後の交響曲は辻井の枷が外れたペトレンコがまさに真価を発揮した好演。とにかくドラマチックで緊張感の溢れる演奏。かなりテンポを上げてくる部分もあったのだが、オケの演奏が安定感があって緊張感もあるのでドタバタとした印象にはならない。最後までこれだけの緊張感を持ってくるチャイコの4番はかなり久しぶりの気がした。
ロイヤルリヴァプールのかなりの上手さが光った公演。ハッキリ言って辻井のバックオケ扱いされるようなレベルのオケではなかった。またフェスティバルホールの3階奥までしっかり音が飛んできたことにも驚いた。これは是非とも次回の来日時には辻井抜きの公演を行って欲しいところ。
本当に辻井や龍の抱き合わせはもう勘弁して欲しい。特に辻井の場合はピアニストが指揮を見られないので、指揮者としてはあまり表現を込めすぎると辻井が合わせられないことから、どうしても抑えめの凡庸な表現にせざるを得ないという場面を多々目にしてきた。また自由に弾けるソロと違って辻井の方もどことなく窮屈そうで、明らかに弊害が出ている。ガンプラなどの抱き合わせ販売は独禁法で問題となったのに、こういう抱き合わせは問題ないのだろうか? 公正取引委員会でもどこでも良いから何とかして欲しい。
これでこの週末の予定は終了。疲れているのでさっさと帰宅する。
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