展覧会遠征 京都・西宮ライブ編

 

 この週末は京都と西宮でのコンサート。3月はどうもコンサートが相次いでいる。

 

 京都に到着したのは昼頃。京都駅周辺で昼食を摂るのも面白くないので、北山に移動してそこで飲食店を探すことにする。

 

 立ち寄ったのは東洋亭。しかし現地に到着すると既に数十人の待ち客がいる状況。全く京都は・・・。仕方ないので待つことにしたが、結局は1時間待たされることに。時間に余裕があったから良いが、もしそうでなかったら無理なところ。

  

 注文したのはビーフヒレカツのランチ。肉が軟らかくて非常に美味い。

 デザートはコーヒーと100年プリン。このしっかりしたプリンがまた懐かしくもあり美味いんである。

    

 やたらに待たされたのはたまらんが、とりあえず満足のいく昼食を摂れた。しかし昼食が終了した時にはもう開場時刻である。ホールへ急ぐ。

 


京都市交響楽団 第621回定期演奏会

 

[指揮]ジャンルイジ・ジェルメッティ

[Vc]ルイジ・ピオヴァノ

 

ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調op.104

ラヴェル:道化師の朝の歌

ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

ラヴェル:ボレロ

 

 ジェルメッティはオペラも振るイタリア人指揮者ということで、ウィリアム・テル序曲はまさに自家薬籠中のものといったところか。華々しくメリハリの強い演奏でなかなかの盛り上がりである。

 二曲目のドボルザークのチェロ協奏曲は、スラブの曲と言うよりはイタリアのカンツォーネのイメージ。この曲はなかなかに哀愁漂う曲であるのだが、そういう陰影があまり見られず、メロディラインを表面に出して謳わせた印象がある。これはこれでありかもしれないが、ドボルザークらしいかと言えば疑問。ピオヴァノの演奏もややジャズ的な印象を受ける。

 後半はラヴェルの曲を3曲続けて、これに関してはジェルメッティからの依頼で1曲ごとに拍手はせずに続きの曲のように聞いてくれとのこと。実際にこうして聴くと、交響曲とは思わないが、何かの組曲のように聞こえるのは事実。ジェルメッティの指揮はメリハリが強くて派手であるだけでなく、メロディに独特のアクセントを付けたりなどのやや個性的なもの。あくの強さのようなものもあるので、その辺りは賛否両論があるかとも思われる。


 コンサートを終えるとすぐに大阪に移動する。明日に備えて今日は大阪で宿泊する予定である。宿泊は例によって新今宮。今回宿泊するのはホテル中央である。このホテルはかつてはよく使ったのだが、外国人などの人気が高くなって予約が取りにくくなったことなどがあって、ここ数年は利用していなかった。新今宮のホテルの中では中クラスに属するホテルである。

 一部リニューアルしたのか、以前とは若干雰囲気が変わっている。ただ壁が薄いのと、二重窓にも関わらず裏手の環状線の騒音が聞こえてくるのは相変わらずのようである。

 

 ホテルに荷物を置くと新世界界隈に夕食のために繰り出すことにする。今日の夜は串カツでも食おうかと思っている。今回立ち寄ったのは「串カツだるまジャンジャン横町店」。人気店のようで結構待ち客がいたが、客の回転も早いので20分程度で入店できる。

  

 コーラを頼んでから、適当に目に付いたメニューを十数本順次注文。結構食べたのだが、これで支払いが2008円というのがすごいところ。さすがに驚異のハイCPである。なお先に訪問した  よりも私的にはこちらの串カツの方が美味いように感じた。

 串カツをたんまり食ったが、どうもやはり主食系が今ひとつ足りない気がしたので、隣の立ち食いうどん店の「松屋」きつねうどんを一杯頂く。麺自体は至って普通のものなのだが、なぜか妙な懐かしさを感じるうまさ。しかもこれで一杯220円というのがまた驚き。

  

 結局は串カツとうどんを合わせても、今日の昼食よりも安く上がっている。やはり恐るべきハイCPさ。大阪という町の食の奥深さの神髄を感じさせるところである。やはり安くて美味いものと言えば大阪、その大阪の中でも最もCPが高いのがこの界隈になるようである。

 

 満腹でホテルに戻ると、大浴場で入浴してから後は部屋でプラプラと過ごすことに。ただ困ったのは、このホテルはWi−Fiを使えるはずなのだが、どうやってもネットにうまく接続出来なかったこと。結局はiPhoneでテザリングすることに。

 

☆☆☆☆☆

 

 

 昨晩は比較的早めに就寝したのだが、今ひとつ眠りが浅い。と言うのもやはりこのホテルはうるさい。裏のJRの音はまだ良いんだが、どうも同じフロアに夜中になってもドアをけたたましく開け閉めする輩がいて、夜中に突然大きな音で起こされることが数回。やはりこの手のホテルは客層の影響が大きい。安いホテルほど客同士の阿吽の呼吸で成立している部分が大きいから、ドアを静かに閉めることさえできないような馬鹿がいたら万事休す。

 

 朝も6時頃には各部屋がバタバタし出したので一旦目が覚めてしまうが、そのまま意地でも9時まで最就寝。9時に起き出すとさっさと荷物をまとめてチェックアウトする。

 

 とりあえずは朝食を摂りたい。昨日新世界をウロウロした時にジャンジャン横町で「ミックスジュース発祥の店」と看板を掲げた喫茶店があったので、その店「千成屋珈琲」を訪ねる。注文したのはミックスジュースと厚焼き玉子サンド。

  

 この店は元々は果物店を経営していて、そこでの売れ残った果物をジュースにしたのがミックスジュースの始まりだとか。ただ当初の経営者も高齢化と後継者不足で一旦店を閉めていたのだが、それを惜しんだ人が経営を引き継いで再開したのだとか。

 

 バナナを基本として、そこにリンゴなどをベースにした典型的な関西式ミックスジュース。関西人の私には非常に懐かしい味という印象を受ける。またサンガリアの缶入りミックスジュースも明らかにこの味をベースにしているのがよく分かる。

  

 サンドイッチの方は卵焼きがフワフワでなかなかに美味。メニューはこれ以外にも関西喫茶店の定番・ナポリタンスパゲティなどもあるようで、結構使える店であると感じた。いずれまた再訪するだろう。

  

 朝食を終えたところで大阪駅に移動するが、ここではたと困った。今日の予定が全くない。今日はPACで開催されるトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団のコンサートに行くのであるが、その開演は午後2時。現在はまだ午前10時半。この間をつぶす予定が全くないのである。美術館の出し物もちょうど入れ替え期なのか大阪も兵庫も皆無。早めの昼食と言っても、さっき朝食を食べたばかりだし・・・。結局はこのまま大阪でブラブラしてても仕方ないので、とりあえず西宮に移動してしまう。

 

 西宮に着いたもののやはりどうしようもない。仕方ないので西宮ガーデンをブラブラ。その内に11時半過ぎになったので、もうここで昼食にしようとレストラン街に行くがどこも長蛇の列。仕方ないのでその内の一軒「京おばんさい・麺処 つるはん」で待つことに。

  

 結局は30分ほど待っただろうか、入店すると鴨うどんの御膳を注文する。うどんは細身のいわゆる稲庭うどん系。温うどんにしたら太いうどんになるらしい。

  

 うどんはツルッとして腰もそれなりでまずまず。付け合わせている海鮮丼もシンプルだが味は悪くない。これで1396円というのは、CP的に良いとは言えないものの場所柄を考えると仕方のないところか。こういうところの飲食店としては良い方だと思う。

 

 それにしても今回の遠征は、コンサート以外は飲食店で行列に並んでいたばかりだったような気がする。どうも最近は大阪も京都も無駄に人が多すぎる。結局ここでも昼食を終えた頃には何だかんだで1時前になっていたので、そのままホールへ移動する。

 


トゥガン・ソヒエフ指揮

トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団

 

指揮 トゥガン・ソヒエフ

フルート エマニュエル・パユ

管弦楽 トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団

 

グリンカ:オペラ「ルスランとリュドミラ」序曲

ハチャトゥリアン(ランパル編):フルート協奏曲(フルート:エマニュエル・パユ)

チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」より

 

 音色が派手で明るく、精緻なアンサンブルよりもパワーと勢いで押していくオケである。そういう点ではラテン系か。一曲目のグリンカから細かいところには諸々怪しいところがあったもののトータルでは元気で気持ちの良い演奏である。

 フルート協奏曲はやはりパユの演奏が上手すぎるの一言。難しい曲だと思うのに、それを圧倒的な技術で難なく演奏してしまう。この凄い演奏に場内もやんやの喝采である。

 凄かったのは三曲目の「白鳥の湖」。16編成という大編成のパワーを駆使してグイグイと強烈に押していく演奏。派手な金管もなかなか聞かせるし圧倒される演奏である。その一方で随所にあるソロ楽器演奏の安定感も抜群、ダイナミックな演奏ではあるが決して雑というわけではない。

 もっともチャイコフスキーのバレエ音楽と言うよりは、何やら映画音楽のように聞こえてきたというのも事実であるが。いわゆるロシア的哀愁の類いはほとんどぶっ飛んでいた。ラテンなチャイコと言うところだろうか。


 ピョートル・チャイコフスキー原作の愛の名作を、鬼才・トゥガン・ソヒエフ監督が描いた今世紀最大の恋愛映画の大作「スワン・レイク」。全米を感動の涙で満たしたこの名作がいよいよ日本上陸。この春全国ロードショー。「・・愛は世界を変える・・・・」

 

 と言う調子のハリウッド映画の宣伝が頭に浮かんでしまったぐらい。アンコールの「カルメン」がまたいかにもオケの十八番という感じで非常に良かったが、正直なところ私としては「スターウォーズ」でも演奏して欲しかったように感じた(笑)。

 

 これが本当にチャィコの曲か?という疑問はないでもなかったが、この曲ってこんなに面白かったのかと再発見したというのも事実。正直なところプログラムを見た時に、なぜメインに交響曲とかを持ってこないんだろうとやや不満だったんだが、終わってみたらこれで正解だったという次第。

 

 結局はこの週末のコンサート連チャンのキーワードは「ラテン系」ということになるんだろうか。あまりドボルザークらしくないドボルザークとか、チャイコらしくないチャイコとかもあったが、これはこれでありと言うところか。クラシックは演奏家が変わるとここまで変わるから面白くもある。

 

 

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