展覧会遠征 京阪ライブ編3

 

 この週末は大阪と京都でのコンサートの連チャンである。まずは土曜日はフェスティバルホールで大フィルのコンサート。

 

 土曜の昼頃に大阪に到着すると昼食のために大阪第一ビルの地下をウロウロ。結局は「金明飯店」に入店して「麻婆豆腐定食(580円)」を注文。

 まあごく普通の町の中華屋という印象。麻婆豆腐については、口当たりは甘口だが後でピリピリしてくるタイプ。普通にうまく、CPを考えると普段使いの店としては驚異的とも言える。

 

 昼食を終えるとまだ時間があるので例によって「つる家」に立ち寄って、今回は「生麩ぜんざい(864円)」を頂く。生麩の味が絶品。

  

 昼食も食後のデザートも終えたところでホールに移動する。今回が大フィルの2017シーズンのラストの公演となる。

 


大阪フィルハーモニー交響楽団 第516回定期演奏会

 

指揮/井上道義

ピアノ/アレクサンデル・ガジェヴ

合唱/大阪フィルハーモニー合唱団(合唱指揮:s章恭)

 

バーバー:ピアノ協奏曲 作品38

ショスタコーヴィチ:交響曲第2番 ロ長調 作品14「十月革命に捧げる」

         :交響曲第3番 変ホ長調 作品20「メーデー」

 

 バーバーはドカドカとした私にはよく分からない音楽だった。ピアニストはなかなかの熱演だったと思うが、バックの大フィルがそれに十分に絡めていたかは不明。

 休憩後のショスタコだが、井上の話によると若いショスタコが当時のロシアの社会の雰囲気に乗せられてかなり開放的に作った曲とのこと。どことなく若気の至りのような暴走気味のところもあるが、後の曲につながる雰囲気が随所に見られるのは分かる。

 大フィルの演奏はメリハリの効いたなかなかのものであったし、合唱団もなかなかの熱演であった。さらには井上のタコ踊りも絶好調で、十八番であることを感じさせる演奏であった。


 コンサートを終えるとホテルに移動することにする。明日は京都なのでこのまま大阪に泊まるつもりで新今宮にホテルを取っている。今回宿泊するのはビジネスホテル加賀。新今宮地域のホテルでは下の上クラスといったところのホテル。どうも最近は宿泊する度にホテルのランクが落ちているような気もするが、これも庶民いじめのアベノミクスによる貧困化のせいである。

  

 このホテルは風呂、トイレは共同というこの地域のホテルの標準スペック。ただ施設はかなり老朽化しているので、潔癖症の女性などにはつらいだろう。施設全体が不潔ではないが汚い感じはある。私は適度に無神経なので大して抵抗はないが。

  

 このホテルの特徴の一つは、入船温泉なる近くの銭湯の入浴券がもらえること。とりあえず風呂は後で入りに行くとして、まずは夕食を取りたい。新世界に繰り出して久しぶりに「グリル梵」を訪問、「ヒレビーフカツ」にライスをつけて頂く。

 ミディアムに火が通った牛肉の焼き上がりが絶品。久しぶりであるがやはり実にうまいビフカツである。関西でカツと言えばビフカツのこと、そして正しいビフカツとはまさにかくあるべしというところである。これで支払いが税込み2160円というのはCPも高い。やはり大阪でもこの地域は飲食店のCPが侮れない地域である。

 

 帰りにコンビニに立ち寄ってから一旦ホテルに戻ると、再び入浴のために出直すことにする。入船温泉はこのホテルの系列とのことで、ホテルから徒歩2分程度のところにある。今時懐かしい昭和の銭湯であり、風呂上がりには定番のフルーツ牛乳などもある(生憎と現在の私は胃腸の調子が悪くて牛乳系を飲めないので、瓶コーラを頂くことになったが)。大きな風呂でゆったりと体をほぐして快適である。

  

 ホテルに戻るとテレビもろくな番組がないので、持参したBDプレイヤーでガッテンを見ていたのだが、途中で眠くなってきたので早めに寝ることにする。

 

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は8時前まで爆睡。このホテルはチェックアウト時刻が9時とやや早めなので急ぐ必要がある。とりあえず昨日コンビニで買い込んでおいたおにぎりなどで朝食を済ませる。

 

 ホテルをチェックアウトするともう大阪には用がないので京都に直行。と言っても京都にも今日はコンサート以外の用はない。仕方ないのでコンサートの開演まで3時間ほどをネカフェでゴロゴロと過ごすことに。「いぬやしき」の最終巻を読んだが、ここに来てオチは鉄腕アトムか・・・。安易だなというのが本音。この作品も風呂敷を広げすぎて収拾が付かなくなった気配が濃厚である。どうも最近は最後の締め方で失敗する作品が多い。人気投票第一主義の結果の「毎回クライマックス展開」のツケである。こんな創作の仕方ばかりをしていると、その内に日本にまともな作品を書ける作家がいなくなる。

 

 開演前に昼食を摂る必要があるので、ネカフェを出て北山に直行すると、北山周辺の飲食店を探す。しかし頭にあった飲食店は2つとも行列が出来ている。最近の京都は無駄に観光客が多くてどうにもならない。仕方ないのですぐに入れた「熊本ラーメン肥後もっこす」に入店する。

 熊本ラーメンと唐揚げのセットを頼んだのだが、唐揚げは美味いがラーメンは私には味付けが塩っぱすぎる。元々今日はラーメンの気分でなかったことも影響しているか? 何にせよ残念ながら私の好みとは少々ズレるラーメンであった。

 

 とりあえず昼食を終わらせたところでホールに向かう。今日のコンサートはチケット完売と聞いているが、確かにホール内は観客で一杯。ステージ上に既に楽団員が出てきて好き勝手にブンチャカと練習中なのはいかにもフリーダムなアメリカのオケ。そこに時間が来たら指揮者が現れて演奏が始まるというアメリカンスタイルである。


ニューヨーク・フィルハーモニック

 

[指揮]ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(ニューヨーク・フィルハーモニック次期音楽監督)

[ヴァイオリン]五嶋 龍

 

ヨハン・ワーヘナール:序曲「シラノ・ド・ベルジュラック」op.23

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

 

 ニューヨークフィルがかなりの爆音オケであるのは第一曲目から分かる。弦の緻密なアンサンブルを聴かせるよりは、華やかな金管を中心として大音量でガンガンと演奏している。

 二曲目は龍の演奏は音色が細いだけに大丈夫かと懸念したが、そこはズヴェーデンも心得ているのか、オケの編成を小型にしただけでなく、音量自体も6割がけぐらいの鳴らし方をしてきた。ただしおかげで、龍の美しくはあるがやや平板な演奏もあって、少々眠い感じのメンコンになってしまったように感じられる。実際に客席を見渡すと頭が落ちている客がチラホラと見受けられた。

 三曲目は爆音ニューヨークフィルに最適な選曲。ズヴェーデンも遠慮なしにバリバリ鳴らしてくるし、それに応える金管陣の派手派手さ。なかなかに聴き応えのある春の祭典だった。

 春の祭典も良かったが、実は一番このオケらしかったのはアンコールの「ワルキューレの騎行」だったりする。こういう金管が華々しくリードする曲が今のニューヨークフィルには一番向いているようだ。このパワーはなかなか魅力的である。


 まあ精神性云々などと難しいことを言わず、華麗な音色を楽しむというタイプのオケだった。良くも悪くもアメリカらしいオケと言うことか。ただあれだけの派手な音色を出せる金管奏者は残念ながら日本のオケには見当たらない。どうしても未だに金管楽器には彼我の実力差はありそうである。

 

 これでこの週末の予定は終了、家路へつくのであった。

 

 

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