展覧会遠征 京阪編11
この週末は大阪方面のコンサートに出かけることになった。金曜の仕事を早めに終えると大阪に移動。夕食に「杵屋」でうどんを摂ってからホールへ急ぐ。
大阪フィルハーモニー交響楽団 第514回定期演奏会
指揮/角田鋼亮
ヴァイオリン/竹澤恭子
曲目/コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」
コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲は響きの美しい曲。竹澤のヴァイオリンは繊細な音色であるが、ややヒステリックに聞こえるところもある。
二曲目のマーラーだが、冒頭からピアニッシモが絞り切れていない印象を受ける。おかげで全体がダイナミックレンジの狭い演奏との印象を受ける。また角田の遅めのテンポ設定は、ややもすれば弛緩した印象につながる。テンポを落としてピンと張り詰めた緊張感を保てれば良いのだが、残念ながら角田も大フィルもその緊張感を保ちきれない。さらにスローテンポでリズムを刻むような第二、第三楽章は音楽の流れの悪さも感じさせられ、若きマーラーの若さを感じさせないダラケた印象の演奏となっていた。結果としてはヌルさの目立つ面白みに欠けるマーラーとなってしまった。
残念ながらイマイチというのが正直な印象であった。大フィル演奏の雑さも目立つ内容であった。
コンサートを終えると今日の宿泊ホテルへ。今日宿泊するのは新今宮の「ホテル中央オアシス」。この界隈でのロークラスからハイクラスまでの各種ホテルを網羅するホテル中央グループの中では高級ランクになるホテルである。ここのホテルの良いところはトイレと風呂が別になっているところ。浴槽に湯を張るとゆったりと入浴する。
☆☆☆☆☆
翌朝は8時前に自動的に起床。近くの宮本むなしに朝食に行く。ここの店はホテルとの系列とのことで10%のキャッシュバックがある。
朝食を終えると朝風呂でマッタリ。チェックアウト時刻の10時になったところで移動。今度は同じ界隈のホテルサンプラザ2ANNEXに移動。ここが今日の宿泊ホテルになる。このホテルはこの界隈ではミドルクラスのホテル。わざわざホテルを変えるのは先日の「高級」ホテルに2日続けて泊まるだけの予算がない(土曜になると宿泊料金はさらに高くなることが最大の理由。
こちらのホテルはチェックインが午前から可能なのがありがたいところ。部屋は三畳と狭く、壁も薄く、風呂・トイレが共同というのがミドルクラスたる理由。空調に冷蔵庫があるだけでありがたいというところか。ちょうどランク的には私の東京での定宿のホテルNEO東京に匹敵する。またコンセントが少ないので、ここで私の旅の必需品である延長ケーブルが活躍する。またアメニティにバスタオルがないのでこれは持参。安いホテルに泊まるにはそれなりの準備が必要である。今日は基本的に午後3時からのPACのコンサートを聴きに行くのが最大の予定なので比較的ゆっくりしている。部屋に入って一息つくことにする。
部屋に入って一息ついたところで、今日はフェスティバルホール会員優先予約の日だったことを思い出す。慌ててフェスティバルホールチケットセンターにネット接続してチケットを購入するが、どうもサーバがアップアップのようで、購入できたのかがハッキリしない。何度もクレジット情報入力の前でシステムがズッコケて、1時間以上かかってようやく購入が確定する。
何だかんだで11時を過ぎてしまった。とりあえず外出することにする。時間的にはまず昼食を摂るべき時間。実は昼食を摂る店は考えている店が一軒ある。それは六甲道にある「山猫亭」。神戸に多い所謂「町の洋食屋さん」である。以前に一度立ち寄ろうとしたが駐車場がなかったためにスルーしたことがある。
六甲道から徒歩で10分ほど。到着時には待ち客もいたがすぐに順番が回ってくる。注文したのはハンバーグやエビフライなどを組み合わせた「ホリデーランチ(1600円)」。
まずはスープが出てくるが、この味は私の好みには合わない。ランチは結構ボリュームがあってなかなかうまい。ただ普通のうまさで想定外なものはない。近くにあったら多分ちょくちょく来るだろうが、わざわざ遠くから出向くほどでもないというのが本音か。
デザートにプリンもつける
昼食を終えると一旦三ノ宮に移動する。PACに行くのに阪急に乗り換えないといけないからだが、その前にもう一つ目的もある。
と言うのはNexus7を売ろうと思っているから。何やかんやを入れすぎたせいでNexus7が重くなりすぎて最近は全く使っていなかったので、つい最近になって初期化したのだが、もう初期化してしまったのなら売ってしまっても良いかと思った次第。じゃんぱらに立ち寄って見積もってもらったところ、2000円強の見積もりが出たので売却を決定。ついでに持参したpomeraのDM100も見積もってもらったのだが、こちらは最高額が1000円のところから、状態が悪いなどで減額されて300円との見積もりだったので、馬鹿らしいので売却を止めた。やはりpomeraはユーザーが限られるニッチな商品なので需要が少ない上に、DM200の登場でコアユーザーはそっちに乗り換えたからDM100はダブついているんだろうと思われる。
三ノ宮で用事を済ませると阪急で西宮に移動する。今日のPACのコンサートはアンサンブル金沢との合同公演。指揮は佐渡ということで人気なのか、場内はほぼ満員である。
PAC第102回定期演奏会
指揮・芸術監督 佐渡 裕
管弦楽 オーケストラ・アンサンブル金沢
兵庫芸術文化センター管弦楽団
ハイドン:交響曲 第44番 「悲しみ」
フォーレ:「ペレアスとメリザンド」組曲
チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
チャイコフスキー:大序曲「1812年」
一曲目のハイドンはアンサンブル金沢のアンサンブル力の高さが光る。さすがにしっかりした演奏である。ただ曲自体がいささか地味なので私には退屈。
二曲目はPACオケだが、やはりアンサンブル力ではアンサンブル金沢に劣るのが分かる。PACの売りは力強さ。ただこの曲はそれが生きる曲想ではない。
休憩をはさんでチャイコの二曲。今度は一転して合同オケの大編成でバリバリ鳴らす演奏となる。特にラストの「1812年」は完全にお祭り騒ぎ。終盤に巨大な作り物の大砲が登場するのも面白いが、金管のバンダが登場したのには驚いた。さすがに佐渡はこういうお祭り演出には長けている。ただ残念なのは演奏自体にはあまりカタルシスがなかったこと。ノリとしてはアンコールのスーラが一番良かったか。
場内は大いに盛り上がっていたが、個人的には今ひとつ盛り上がりきれなかったのが本音。佐渡の指揮は常に悪くはないのだが、取り立てて魅力もないというのが今までの感想。相性が悪いんだろうか?
コンサート終了後は天王寺に移動、ハルカス美術館で開催中のジブリ展に行こうと思ったのだが・・・会場が一杯で整理券を配っているとか。ジブリ関係のコンテンツの動員力をなめていた。そんなもの待つ気もしないのであきらめて移動することにする。電車賃を無駄にしてしまった・・・。
一駅戻ると新世界界隈で夕食を摂ることにする。一度典型的な大阪飯を食べてみようかとジャンジャン横丁をうろつき、常に行列が出来ることで有名な串カツ店「八重勝」に入店することにする。既に10人以上の行列が出来ていたが、回転も早いので20分程度で入店できる。
店の前には大行列
モツ煮や串カツなどを適当に頼む。味はまずまず。普通にうまいというところか。1本100円程度のメニューが多いので安上がり。ただどことなく急かされている雰囲気があって、ゆっくり出来る店ではない。それに特に油が悪いわけではないが、串カツはある程度食べると胸がむかついてくる。結局はコーラを頂きながら、肉から野菜まで一渡りザクッと腹がふくれる程度に食べて2000円。確かにCPはかなり良く、行列の意味は分からなくもない。さすがに恐るべし大阪飯。
いかにも大阪らしい町並みの中をしばしプラプラ 結構食べたのだが、やはり串カツだけだと今ひとつ満腹感がない。そこで通天閣の辺りまでプラプラと歩いて、近くのそば屋「更科」に入店。「鴨なんそば(950円)」を注文。
出てきたそばは白っぽいいわゆる「更科そば」。これは店名のままだ。そばは腰があってなかなかにうまい。出汁の味も良く、申し分ないそば。これは今後も使えそうだが、問題は老夫婦が経営しているようなので、いつまでこの店があるか。
夕食を終えたのでホテルに戻る。それにしても疲れた。ホテルに戻って入浴するとさらに疲れが押し寄せる。この日はほとんどダウンするように就寝する。
☆☆☆☆☆
安ホテルは壁が薄いのが難点。夜中に壁をド突くような音が何度か聞こえ、その度に叩き起こされることが数回。結局は比較的浅い眠りで翌朝を迎えることになる。
今日の予定だが、京都コンサートホールで開催される京都市響のコンサートを聴きに行くのが目的。とりあえずチェックアウト時刻の10時まで部屋でグッタリと過ごしてから外出、JRで京都を目指す。
京都駅は相変わらずの混雑。たださすがにこの寒い最中のせいか、いつもよりは若干人出が少ない印象を受ける。とりあえず昼食を摂る必要があるので伊勢丹の飲食店街を一回り、「美々卯」でうどんと天ぷらの御膳を頂く。
例によってCPはあまり良くないが、うどんはうまい。ただ以前に比べて味が落ちたような感じがしてしまうのは私の体調が良くないのだろうか?
昼食を摂ったところでついでにここの美術館に立ち寄る。
「京都市美術館所蔵品展 描かれた“きもの美人”」「えき」KYOTOで1/21終了
京都市美術館が改装中につき、その所蔵品の中からきもの美人を描いた作品を集めて展示。
テーマがきもの美人というだけなので、展示される絵画は様々。その中でやはり目を惹くのは菊池契月と上村松園の作品。品があって清々しい。特に菊池契月の「散策」は私の好きな絵。颯爽として清涼な風が吹き抜けるような印象の作品である。
印象に残ったのは日本画が大半の中で3作だけ展示されていた洋画の中から、鹿子木孟カの「新夫人」。明るい色彩の美しい絵である。また菊池契月の次男・菊池隆志の父の作品を思わせるタッチの日本画も面白い。またインパクトという点では甲斐庄楠音のおどろおどろしい作品が印象が強い。
結構各人各様の作品が並ぶのでザッと見比べてみると面白い。
会場には京都市美術館の改装の詳細についても紹介されていたのだが、これを見るとかなり大規模な改装で、新たに常設展示用の建物を建てたり、地下にスペースを作ったり、現代アート用の展示スペースを作るなどの計画が紹介されていた。私はてっきり耐震補強を入れる程度だと思っていたので、これは驚いた。この施設は展示室が結構貧弱だったので、これでかなり強化されそうで楽しみである。しかし京都の美術館がこうやって強化されると、いよいよ大阪市立美術館のお粗末さが目立つな・・・。
まだホールに行くには時間が早すぎるので、「都路里」に入店する。ここはいつも大抵大行列が出来ているのだが、昼食時のせいかそれとも冬の京都は客が少ないのか、待ち時間なくすんなりと入店できる。窓際の席に陣取って「特選都路里パフェ」をのんびりと頂く。
しばし喫茶でマッタリしてから、京都駅の地下のコインロッカーに荷物を預けると北山のホールまで移動する。
京都市交響楽団 第619回定期演奏会
[指揮]ジェームズ・ジャッド
[Vn]木嶋真優
[合唱]京響コーラス
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調op.63
ホルスト:組曲「惑星」op.32
木嶋のヴァイオリンは澄んでいるが決して弱くはない音色。なかなかに安定した堂々たる演奏で楽しませてくれる。
ジャッドの指揮は京都市響から実に力強く華麗な音色を引き出している。ダイナミックレンジも広く、爆音の火星から静かな金星の対比が見事。また下手をすれば退屈になりがちな後半の曲を、その音色の多彩さで美しく聴かせる。これはなかなかに見事。私がこの曲を本当に面白いと感じたのはこれが初めてかも。ジャッドはホルストと同じイギリス人であるが、そこに何らかのシンパシーのようなものが通うのかもしれない。
なかなかの快演。前の二日が今一歩だったので、ここでようやく納得のいく名演に出くわして目出度し目出度しである。京都市響はこういう華麗な音色を引き出すタイプの指揮者と特に相性が良いようである。かなり以前にアクセルロッドの指揮で「シェエラザード」の名演があったのを思い出した。
これで週末の予定はすべて終了。雨がぱらつき始めた中を帰途についたのである。
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