展覧会遠征 大阪ライブ編29
今日は関西フィルの定期演奏会に出向くことにした。仕事終了後に大阪まで移動すると、駅ナカの「利久」でタンシチュー定食を腹に入れてからホールへと急ぐ。この店のおかげて仙台まで行かなくても牛たんが食えるようになったのはありがたい。
ザ・シンフォニーホールは所々空席もあるが決してガラガラではないといういつもの入り。演奏前に藤岡のプレトークがあり、作曲家の大島ミチル氏自身による今日の演奏曲の紹介がある。
関西フィルハーモニー管弦楽団 第287回定期演奏会
[指揮]藤岡 幸夫
[ピアノ]松田 華音
[管弦楽]関西フィルハーモ二―管弦楽団
大島ミチル:サマ〜空から、そして空へ(仮題)
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82
一曲目は大島ミチルの初演曲。イラクの少女から見た空を描いているとのことで、爆弾が降ってくる危険極まりない恐ろしい空から始まって、最後は未来への希望を描く空へとつながる。いわゆる尖った現代音楽ではなく、映画音楽のような印象の聞きやすい曲。関西フィルの鮮やかで明快な演奏はこの曲と合致しているようである。
二曲目は松田華音によるグリーグだが、2日前のヤブロンスキーとは対極的な情感たっぷりのメロメロのメロドラマ演奏。ただ彼女のメロドラマは単に甘いだけのドラマではなく、叩きつけるような力強さに満ちている。あの体のどこからそれだけのパワーが出てくるのかと驚くようなパワフルな演奏である。藤岡の指揮も彼女の演奏に合わせてドラマチックなものなっており、なかなかに感動的な演奏。
三曲目はシベリウスだが、これがまさにフィンランドの自然の風景がまざまざと浮かび上がってくるようなドラマチックで爽快な快演。分かりにくいとも言われるシベリウスの交響曲に対する印象さえ変えてしまうような見事な演奏であった。藤岡のシベリウス作品に対す共感の高さや意気込みのようなものが伝わってきた。
なかなか久しぶりに名演を聴いたなという印象。帰り道でもあちこちから「今日は良かった」という声がチラホラと聞こえてきていた。確かに同感。満足して帰途についたのである。
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