展覧会遠征 大阪ライブ編28
今日は世界最北端の北極オケの演奏会。名前を聞いたことのないオケだが、私は北欧好きと言うことで一応チケットを入手している。
夕食は駅ナカの「ロマン亭」で錦重を頂く。この錦とは二色のことで、肉重とステーキ重のハーフという内容。肉がなかなかうまくCPは高い。北新地の人気店がこちらに出店したとのことで、この店は行列が出来ていることがよくあるのだが、それも納得は出来る内容。
夕食を終えるとザ・シンフォニーホールへ移動。やはり無名のオケの平日公演と言うことで、3階席は完全に空けているにも関わらず、残りで入りはザッと8割程度。以前の広響の大阪公演ぐらいの入りか。
ノルウェー・アークティック・フィルハーモニー管弦楽団
[指揮]クリスチャン・リンドバーグ
[ピアノ]ペーター・ヤブロンスキー
[管弦楽]ノルウェー・アークティック・フィルハーモニー管弦楽団
オーレ・オルセン:アースガルズの騎行 op.10
ラッセ・トーレセン:触れられざるものへの讃美歌
グリーグ:ピアノ協奏曲 op.16
チャイコフスキー:交響曲 第5番 op.64
初っ端から、映像も駆使しつつ煌びやかなサウンドで聴かせるご当地音楽で観客の心をつかむ。指揮のリンドバーグも、燕尾服でなくてジャケットで登場して、その色を曲ごとに変えてくるというビジュアル系。また北欧のオケということで地味で落ち着いたサウンドを予想していたのだが、実際のこのオケのサウンドはかなり陽性で、何も言われずに来たらポップスオケかと感じるような演奏である。ただ各奏者の力量は予想以上に高い。
また驚いたのが10・8・6・6・5の2管編成という小編成にも関わらずの音量の大きさ。どうやってこの編成でこれだけの音量が出せるのかには驚かされた。ここよりも編成としては若干大きいはずの関西フィルの音量を遙かに超えている。
二曲目のグリーグのピアノ協奏曲は、一般的にメロメロのメロドラマ的演奏が結構多いのだが、ヤブロンスキーの演奏はそれとは対極的。過度の表情付けを排して、速めのテンポでガツンガツンとテクニックメインで弾いてくる。それが「これこそが正しいグリーグの演奏だ」と言わんばかりの堂々としたもの。またこういう演奏をされると、それまでメロドラマの陰に隠れて見えなかった、ノルウェーの舞踏のようなリズムが表面に浮かび上がってくる。この曲のこんな演奏の仕方もあったのかと驚かされた。
三曲目のチャイコの5番も基本的にはその路線。細かい表情付けはあるものの、過度の演出は排されている印象で、しかもやや早めのテンポでグイグイと押してくる。やや戸惑うところもないではないが、これはこれで説得力のある演奏ではある。楽団の力量も高く、リンドバーグが少々飛ばしても乱れることなくオケがついてくる。
なお実はコンサートがさらに盛り上がったのはこの後、なんとアンコールが4曲にも及び、中でもペールギュントからの一曲などはなかなかの名演。そして最後はそもそもは有名なトロンボーン奏者であるリンドバーグが、自らトロンボーンを持ち出して大道芸さながらの演奏を披露。これにはやんやの喝采で大盛り上がりのうちに幕となったのである。
事前の予想とは大分違っていて戸惑うところが多かったが、非常に楽しくて良いコンサートであった。北極の僻地オケと侮っていたが、その力量には驚かされた。まだまだ未知の優れたオケは世界中にいくらでもありそうだ。
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