展覧会遠征 大阪ライブ編24

 

 昨晩は七夕とのことで、織り姫と彦星の年に一度のデートの日だが、日本は各地で大雨で九州では甚大な被害と言うことでとてもそんな雰囲気ではなかったようだ。九州はそもそも火山灰土壌であるので山崩れが起こりやすいということもあり、それが今回の被害につながったのだろう。また日田は5年前にも豪雨で大被害が出ており、集中豪雨の起こりやすい地形ということもある。いち早い復興が望まれるところであるが、現政権は東北復興の名目で集めた税金を、東京利権ピックにつぎこんでいるような連中だから・・・。

 

 世の中ろくでもない話ばかりというせいでもないだろうが、最近は心身共に疲労が限界に近づいている。しかし疲労が溜まっているにも関わらず、この週末もコンサートの連チャン。全く懲りないことであると自分でも呆れるが・・・。

 

 家を出るのは土曜の昼前。昼頃に大阪に到着すると、まずは朝食である。久しぶりに「イレブン」を訪問してランチメニュー(900円)を頂く。

 ハンバーグとエビフライのセットだが、いずれも価格のことを考えるとなかなかに上々である。ビジネス街のランチメニューとしては良い内容。

 

 昼食を終えたところでザ・シンフォニーホールへ。ホール内は結構空席が目立つ。入りとしては5〜6割というところか。

 


日本センチュリー交響楽団 第218回定期演奏会

 

[指揮]ヤーノシュ・コヴァーチュ

[チェロ]イェンス=ペーター・マインツ

[管弦楽]日本センチュリー交響楽団

 

リスト:交響詩「前奏曲」S.97

シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 op.129

コダーイ:ハンガリー民謡「飛べよ孔雀」による変奏曲

コダーイ:ガランタ舞曲

 

 日本センチュリーのコンサートに参加するのは久しぶりだが、今回の演奏ではセンチュリーのアンサンブルのレベルの高さが光った。下手をするとゴチャゴチャしてわけの分からない曲になりかねない「前奏曲」も整然としたアンサンブルで魅力的に聴かせた。

 二曲目のチェロ協奏曲もソリストとオケのバランスがとれており、なかなかのもの。

 ラストのコダーイの2曲は日本では知名度が高いとは言い難い曲だが、ご当地指揮者のヤーノシュ・コヴァーチュのリードでセンチュリーの演奏もエキゾチシズムのあるノリの良いものとなっており、実に魅力的な演奏であった。


 センチュリーのコンサートは久しぶりだが、正直な感想は「こんなに上手いオケだったっけ」というもの。元々アンサンブル力では定評があったセンチュリーだが、今回は特にそれが光っていた。いずみホールでのハイドンマラソンも定評がある(実際になかなか良かったが、残念ながら私はハイドン自身にあまり興味がないので行ったのは一回だけ)ことから、やはりそういう路線がセンチュリーの王道か。そう考えると、飯森の大曲路線はセンチュリーの本領とはズレているような。実際に飯森・センチュリーのマーラーで面白いと感じたことは一度もないし。

 

 コンサートを終えると途中のイオンで夕食を買い込んで、いつもジーアールホテル江坂にチェックイン。この日は大浴場で入浴すると、買い込んだ夕食を部屋で摂ってから、かなり早めに就寝してしまったのである。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は8時頃まで爆睡していたが、それでも体がスッキリしない。どうにも調子が悪い。結局はそのまま朝食も摂らずにチェックアウト時刻の11時まで部屋でゴロゴロとしている。

 

 ホテルをチェックアウトすると朝食兼昼食をホテル近くの長崎チャンポンの店「十鉄」で摂る。野菜の多いチャンポンはこういう時にはありがたい。

 昼食を終えると大阪へ。ただし開演の15時までは時間があるので、結局はネカフェのフラッとブースでゴロゴロして時間をつぶし、開場時刻になってからホールへ向かう。最近はどうもこういうだらけた展開が多くなった。

 


イングリット・フジコ・ヘミング&モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

 

イングリット・フジコ・ヘミング(ピアノ)

ユーリ・シモノフ(指揮)

モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

 

ショパン:ピアノ協奏曲1番ホ短調作品11

リスト:ラ・カンパネラ 

チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64

 

 フジコ・ヘミングについては「テクニックがヨタヨタなド下手な老ピアニスト」という評と「魂を揺さぶるような名ピアニスト」という両極端な評を聞いているが、今回その演奏を聞いてその理由が良く理解できた。テクニックという観点だけから見ればかなり危なっかしい面が多い。しかしながらその音色には非常に深いものがある。それが最も端的に表れているのが、二曲目のラ・カンパネラ。かなりのスローテンポで弾かれるこの曲は、もう全く別の曲と言っても良い内容。ただしなぜかそこに感動させられるものがある。

 テクニックに比重を置いて聞く者には耐えられない演奏だと思われる。実際に暗譜が怪しいのか、時々後に控えた女性が楽譜を持って出てくることがあり、その度に明らかに演奏が気のそれたものになるということが何度かあり、特に第三楽章においては演奏が止まる寸前というかなり危ない場面もあった。こういう点を挙げればテクニックの衰えたド下手なピアニストとの評も妥当ではある。

 なおこれだけテンポの揺れるピアニストに対してキチンと合わせてきたシモノフとモスクワフィルの技倆には感心させられた。

 最後のチャイコの5番は、シモノフの計算とモスクワフィルの技倆がかみ合った凄い演奏。第一楽章をやけに抑えた調子で来るので、意外に地味な演奏をしてくると思っていたら、それは最終楽章のフィナーレに向けて徐々に盛り上げていくという大きな計算の元での演奏であったことが最後に分かった。ラストでは久しぶりに鳥肌が立った。シモノフもなかなかの巧者である。


 ショパンのピアノ協奏曲の第一楽章が終了した途端に場内に大拍手が起こったのにはまいった。要するに客層が辻井や五嶋龍と類似しているということだろう。これではチャイコの5番は大丈夫かなと心配になったが、とりあえず何カ所かのトラップで大惨事が起こることがなく終わり、それには安心させられた(6番でなかったのが幸いか)。

 

 世間的にはフジコ・ヘミングが主役のコンサートと認識されているのだろうが、私的にはシモノフの的確な指揮とモスクワフィルの技倆が印象に残ったコンサート。もう一度この組み合わせによるオケ曲だけのコンサートを聴いてみたいところ。もっともそれだと観客動員が期待できないのだろうな・・・。

 

 

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