展覧会遠征 姫路ライブ編
今日は姫路までブリュッセルフィルのコンサートを聴きに行くことにした。なぜわざわざ姫路まで出向くかと言えば、なぜか大阪公演がないから。全国を回る外来オケは、大抵は大阪か京都か西宮か辺りで関西公演をやるものだが、なぜかこのオケは関西公演が姫路だった次第。これは謎である。
仕事後早めに姫路に移動、夕食はホールの近くの「お食事処てつや」で摂ることにする。「大エビフライ定食(1944円)」。大エビフライと言うほど大きいかは若干の疑問もあるが、一応エビフライが3本も入っている。普通にうまいというのが正直なところで、典型的な普段使いの店。近くにあったらたまに昼食を食べに行くような店である。またここに来ることがあったら立ち寄っても良いが、そんなことはもうなさそう。
コンサート会場の姫路市文化センターは典型的な地方の文化ホール。大小の2つのホールがあり、大ホールで開催される模様。開場前のホール前には大勢の高校生が。入場者が少なくてチケットをばらまいたのだろうか? なお全席指定なのでわざわざ並ぶ必要もないのだが、それでも入口前で整然と長い行列を作って待っているのは律儀な日本人気質である。
大ホールは一階が1300人、二階が300人収容ということで結構大きなホール。ザッと見たところ入りは5割というところか。
ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団演奏会
指揮:ステファヌ・ドゥネーヴ
演奏:ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:モナ=飛鳥・オット
・コネソン/フラメンシュリフト(炎の言葉)
・ラヴェル/ピアノ協奏曲(ソロ:モナ=飛鳥・オット)
・ドビュッシー/交響詩「海」
・ラヴェル/ボレロ
一曲目は半分現代音楽のような華々しい奇妙な曲。正直今ひとつ分からない。
二曲目のラヴェルのピアノ協奏曲はジャズなどの要素も取り入れた、ラヴェルらしい軽妙で華麗な曲。これに対するモナ=飛鳥・オットの演奏は、いささか生真面目すぎるように聞こえる。ガツンガツンとテクニックは問題ないのだが、演奏が今ひとつ一本調子に聞こえる。この曲に対してはもう少し茶目っ気と色気が欲しいところ。
休憩後のドビュッシーはオケの色彩がポイントになるのだが、そこのところはもう少し煌びやかさが欲しかったように感じられた。
その煌びやかさが現れたのがラストのボレロ。このオケらしい明るくて元気な音色が音楽とマッチしてまずまずの演奏。結局はこのボレロとアンコールのファランドールが一番の好演か。
尻上がりに良くなった印象の演奏に、最後は場内はやんやの盛り上がりで、地方のホールにしては珍しい一般参賀あり。なお地方のホールということで、一楽章終了ごとにわき起こる拍手、会場内に鳴り響くケータイの着メロ、退屈に我慢できなくなってザワザワし出すガキ共などといった地獄図もある程度覚悟していたのだが、そういうこともなくまずまずのマナーでコンサートは終了した。むしろいつも必ず異常な客が数人はいる大阪よりも良かったかも。もっとも拍手の仕方を見ても玄人っぽい客がチラホラ見えたことから、大阪方面から遠征してきていたコアな音楽ファンもいる模様。実際、6時半に開演して8時半に終演というやや早めのスケジュールは、明らかに阪神方面に帰宅する客の利便性を考えたものと思われる。
ただ一番残念だったのは、姫路市文化センターの音響の壊滅的な悪さ。古い設計の多目的ホールであることと器の大きさが災いして、音響のブラックホールとでも呼ぶべき残響0のホールになっており、楽器の直接音しか聞こえない。そのために演奏の華やかさが減殺されていたようにも感じられる。あちこちの地方のホールも行ったことがあるが、その中でもこのホールはかなり最低クラス。音響で言えばNHKホールクラスのお粗末さである。姫路市には音楽専用ホールを作るか、せめてもう少しマシに改装するかして欲しいところだが、そんな予算はないのだろう。
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