展覧会遠征 神戸・西宮編2

 

 この週末は神戸の美術館に立ち寄ってから西宮のPACオケの公演に出かけることにした。朝に出かけると神戸に向かう。なお電車の中でスマホでベルリンフィルのチケット一般販売に挑戦するが、ぴあ、ローソンチケット、イープラス、サントリーホール、フジテレビダイレクト、いずれも数秒で瞬殺。本当に一般にチケットが販売されているのか? なおぴあではプラチナ会員とやらで当選確率アップ券なるものが配布されたが、二回の事前抽選でも何の御利益もなし、またサイトがつながりやすくなるプラチナパスなるものが設定されたというが、完売したことが早く分かるというだけ(笑)。相変わらずぴあのサービスはいずれも全く使い物にならない。

 

 去年に続いてのチケット争奪戦完全敗北が確定した頃に電車は目的の灘駅に到着する。最初の美術館はここからしばらく歩いたところ。

 


「ベルギー奇想の系譜展」兵庫県立美術館で7/9まで

 ヨーロッパ絵画の中でも一癖あるのがベルギー・フランドル絵画であるが、ヒエロニムス・ボスから始まる「奇想絵画」を歴史を追って紹介。ブリューゲル、アンソール、デルヴォー、マグリットなどの一癖ある画家の作品を時代を追って紹介、最後は現代のヤン・ファーブルなどにまでつながる。

 ボスの悪魔などが登場する絵画は宗教的な教訓も含んでいたりするのだが、時代が降ると共にいわゆるシュルレアリスムなどの超現実主義につながっていく。そもそもフランドル絵画とは、今回紹介された奇想系以外でもどことなくひねたようなところがあるのが特徴。どこか人生を突き放した冷めたような目で見ていることが現れており、これはこの地域の何かの文化に根ざしているのだろうかなどと考えてみたりするところ。

 かなりあくの強い画家の作品が揃っているので、ボンヤリしていると頭がぶっ飛びそうな気がしてくる。なかなかの不思議展である。


 美術館の見学を終えた頃には昼時なので、岩屋駅近くの「富義」で昼食を摂ることにする。今回はいつものとんかつ定食でなく「カツ丼(980円)」にする。甘めの味付けはなかなかに私好み。昼食時で結構大勢の客が来ていたが、確かに普段使いに良い店である。

 

 昼食を終えると一旦三ノ宮に戻る。次はここの博物館に立ち寄る。

 


「遥かなるルネサンス 天正遣欧少年使節がたどったイタリア 」神戸市立博物館で7/17まで

 

 16世紀に日本からヨーロッパに派遣されたのが有名な天正遣欧使節であり、伊東マンショら4人の少年はローマ法王に謁見したり、各地で手厚くもてなされた。本展ではその足跡を追いながら、各地の芸術品などを紹介する。

 一応天正遣欧使節がモチーフとはなっているのだが、実際にはルネサンス期のイタリアの芸術品などを紹介という内容。遣欧使節の4人はその後、それぞれに厳しい生涯を送っているのだが、そういう歴史的な解説を行うものではない。

 展示品には当時の調度品から、肖像画など様々。突然にティントレットの絵画が登場したりするが、美術品展示としてはこの辺りが目玉。展示の内容は全体的に散漫で展覧会として考えた時の一貫性と印象が非常に薄い。


 最近はどうもこういう感じのテーマがあるようなないような展覧会が多いような気がする。

 

 博物館の見学を終えるとそろそろホールに向かうことにする。阪急で西宮北口に移動する。毎度のようにPACのコンサートはなかなか盛況である。

 


第96回定期演奏会

 

指揮 下野 竜也

ハープ 吉野 直子

管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団

 

ロドリーゴ:アランフェス協奏曲

ブルックナー:交響曲 第6番 イ長調

 

 アランフェス協奏曲のハープ版という毛色の変わったところから始まるのが本公演。ただハープはギターと違って音色が美しすぎて、この曲の持つラテン的雰囲気というのが感じられないのが評価の難しいところ。吉野の演奏は美しくて優しいものなのだが、やはりこの曲の曲想からすると、もう少しエッジの効いた演奏の方がしっくりくるように感じられる。

 ブルックナーについては陽性で歯切れの良い演奏。メリハリが強くて非常に聴きやすいという感を受ける。ただこのオケの若さのおかげで元気が良いのは良いが、金管群の元気が良すぎて他をかき消してしまうきらいがあり、交響曲というよりはブラスバンドに聞こえてしまうようなところがあった。


 PACオケの若さがやや暴走気味だったかなというのが今回の一番の印象。

 

 これで今日の予定は終了。家路へとつくのである。

 

 

 

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