展覧会遠征 阪神編2
今日は大阪で開催される京都市響のコンサートを聴きに行くことにした。開演は14時からなので、その前に神戸の美術館を回っていく。
「新宮晋の宇宙船」兵庫県立美術館で5/7まで
新宮晋は風力や水力などで動く独特の作品で有名な彫刻家。彼の作品は大体は野外で見るものであるが、本展ではあえて美術館の展示室という室内での展示を行っている。
彼の作品は芸術的感慨云々よりも、純粋にメカニックとしての工学的興味に駆られるのが特徴。本展では風を起こすためにあえて空調の送風を強めにしてあったようであるが、室内の風によってユラユラと不規則な動きをする作品群はなかなかに興味深い。
ちなみに彼は最初は画家を目指していたとのことで、アニメの絵コンテに当たるようなアイディアスケッチのグレードの高さも有名である。これらは彼の思考の過程をたどる上で面白い。
美術館見学後は大阪に移動だが、その前に近くの美術館をもう一軒ハシゴ。
「時を映す女性像」BBプラザ美術館で6/18まで女性像を描いた作品を集めている。ルノワールが一点あったりするが、基本的には日本人画家の作品が中心。ただしその内容は様々で、かなり写実的な作品から抽象絵画の手前の作品まで。ただその辺りまで来ると、既に女性を描く意味はなく、単なるモチーフのきっかけに過ぎないという印象が強くてイマイチ。
大阪に移動するとホールの近くのうどん屋「讃」で昼食を摂る。讃岐を名乗っているだけあってうどんはしっかりしているし、他のメニューも特に難はない。ただ特別な魅力があるかと言えばそこまででもないというのが正直なところ。
昼食を終えるとホテルに入場する。京都市響は大阪でも人気があるのか、ホールは大入りである。
京都市交響楽団大阪特別公演
[指揮]広上淳一
ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 「運命」 op.67
ハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」“ワルツ”“夜想曲”“マズルカ”“ロマンス”“ギャロップ”
ストラヴィンスキー:バレエ組曲 「火の鳥」(1919年版)
一曲目の「運命」から京都市響のうまさが目立つ。響きの乏しい北山コンサートホールで聴く今までの京都市響の演奏と異なり、ザ・シンフォニーホールの豊かな響きの中で聴く京都市響の演奏はかなりスケールの大きな印象を受ける。またメジャーすぎるが故に月並みな演奏になりかねないこの曲に対し、広上は細かい仕掛けをいろいろと用意して演奏に変化を加えている。そのおかげでかなり引き締まった名演となっている。
休憩後の「仮面舞踏会」はいきなりかなり楽しい演奏となった。広上もノリノリで、仮面舞踏会ならぬタコ踊りの炸裂。かなり元気な演奏であった。
ラストの「火の鳥」はかなりキリリと引き締まったこれも名演。弦楽陣のアンサンブルも安定しているし、管楽陣も在阪オケにはないような安定性であった。京都市響の底力を感じさせる。
なかなかの内容。やはり改めて京都市響のレベルの高さを感じさせる演奏であった。これを迎え撃つ在阪オケも奮起してもらいたいところだ。特に最近今一つ冴えのない大フィルには大いに奮起してもらいたい。
それにしても最近の在阪オケはあまり良い話がない。冴えのない大フィルもさることながら、以前から存続の危機が常に囁かれている大阪交響楽団。さらに橋下の「個人的趣味に基づいた俺様予算配分」のせいで支援を打ち切られたセンチュリーは、下手をすれば大阪交響楽団よりも先に危ないのではと言われる始末。いざとなれば「安倍晋三記念交響楽団」とでも名前を変えて、毎回コンサートの前に君が代でも演奏するか。そうすれば国から「忖度」してもらえるらしい。
全くろくでもない世の中になってきたものだが、権限も発言力も何もない私がどうこう言ったところで残念ながら社会は変わらない。暗澹たる気持ちになるところである。
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