展覧会遠征 伊丹・西宮編2
この土曜日も西宮でのライブ。キタエンコのロシアプログラムとのことだから外せないところである。これに美術館を絡めて・・・と思っていたのだが、さらに思いついたことがあったので急遽早朝に出発することに。
というのも突然にお子様映画を見てみようという気になった次第。それは先週から公開の「仮面ライダー1号」。本来は仮面ライダー妖怪ウォッチこと仮面ライダーゴーストの春映画のはずだったんだが、それがどうしたわけか藤岡弘、の「主演」映画になったとのこと。野次馬で公式HPを覗いてみたら想像以上に暑苦しそうな映画のようなので俄然興味が湧いてきた次第。
劇場は恐らく子供だらけでワイワイガヤガヤした中での鑑賞になるだろうと覚悟していたのだが、意外なことに子供は比較的少なく、20ぐらいのオタクっぽい3人組とか、40ぐらいのオッサン一人とか、50のオッサンが一人・・・ってこれは私だった、などの明らかに異質な連中がチラホラと見える。
さて映画の方なんだが、確かに藤岡弘、主演である。何やらゴーストが脇でチョロチョロしているが、存在感がまさにゴースト。弱い、チャラい、影薄いの平成チャライダーでは本郷猛が登場しただけで完全に脇に追いやられてしまう。
内容の方も藤岡イズム全開。さすがに「生命とは何だ」の説教始めてしまうのにはどうかとは思うが(やはりお子様にはこの辺りは退屈だったようで、場内がいささかざわついた)、一応「生命はすべてつながっている」というテーマをもろに前面に出してきている。
そして映画全編通して、とにかく「本郷猛が格好良すぎ」。これに尽きる。ストーリー自体は100%完全に先が読めるご都合主義炸裂のものなんだが、それをクソ熱いパワーで押し込んでくる感じ。一度死んだ本郷猛が炎の中から突然復活するという滅茶苦茶なドラマも、「俺は不死身だ!」の一言で強引に納得させられてしまうというパワー。そしてまさに「日本の正しい変身」と言いたいぐらいの気合いの入った変身。今時のチャライダーのアイテムピコピコ使っての軽い「変身」でなく、腹から振り絞った気合い満タンの「ライドゥァァァァ 変 身!!!!」には思わず胸が熱くなってしまう。
かつてのスリムな兄ちゃんから、いかついマッチョなオッサンに変化した本郷猛に合わせるかのように、マッチョでいかついデザインにリューアルされたライダー1号のスタイルには賛否両論ありそうだが、その分いかにも強そうと言うか、実際に強い。技なんてラダーパンチとライダーキックぐらいしか駆使しなかったんだが、これだけで平成チャライダーなんて束になっても丸ごと吹っ飛ばされそう。
この映画が言いたいことは最後の天空寺タケルの「本郷猛は俺の永遠の英雄だ」との台詞に尽きるだろう。ひたすら本郷猛というか、藤岡弘、のプロモーションビデオだったとも言える。それにしても藤岡弘、も御年70のはずなのだが、あのキレのあるアクションには唖然。この人自身が化け物である。
一つだけ残念だったのは最後に流れたレッツゴーライダーキック2016版のヘボさか。子門真人が引退したんだったら、水木の兄貴あたりに頼んで正しい2016バージョンを作って欲しかったところ。
ハッキリ言って予想以上に面白かった。馬鹿らしいと感じつつも感動したという映画である。ただこれは多分興行的には失敗するだろう。何しろ子供はついて行けない。これについていけるのはお父さん世代よりもさらに上である。そういう連中の中でわざわざこれを見に行くのなんて私のような者ぐらいだろうし。家族総出で見に行けば、お爺ちゃんが一番ハマるかも・・・。
映画を見終わったところで伊丹に移動する。目的はここの美術館。とりあえず美術館向かいのくら寿司で昼食を終わらせてから入館。
「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展」伊丹市立美術館で5/15まで
非常に緻密な線描の独特のタッチで、不条理で不気味でそれでいてユーモアのある独特の世界観の絵本を作成したのがゴーリー。時には内容があまりに不謹慎に見えて物議を醸したこともあるという。
とにかくインパクトの強い絵柄に謎多い内容なので、この超現実感覚に引き込まれるとかなりヤバいという印象か。これもシュルレアリスムの一つの形ということになるのか。
美術館の見学を終えたところでそろそろライブの時間。西宮北口に駆けつける。
第87回定期演奏会 ドミトリー・キタエンコ 深遠なるロシア
指揮 ドミトリー・キタエンコ
管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団
プロコフィエフ:交響曲 第1番 ニ長調 op.25「古典交響曲」
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 op.64
キタエンコの指揮はオーケストラを無闇に煽らない堂々としたもの。特にチャイコの5番などはラストに向けてテンポなどを煽りまくる指揮者が多いのだが、キタエンコはそこをあえて抑えて、壮大なるファンファーレへとまとめ上げた。またPACの演奏も最初がピリリと引き締まった緊張感を感じさせるものであり、かなりの好演であった。
これで今日の予定は終了。帰宅することとなった。
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