展覧会遠征 大阪ライブ編13
この週末はまたライブのはしごである。金曜の仕事を早めに終えると大阪まで移動。エキマルシェの「利久」で牛タン焼きとタンシチューの「利久定食(1674円)」を夕食に頂く。
夕食を摂るとホールへ移動。いつもなら福島までJRで移動するところだが、一駅だけ列車に乗るのも馬鹿らしいのと、まだ開演まで時間があることからホールまで歩くことにする。
ホールには開演の30前に到着。私の席は2階の一番奥だが、見渡したところ異常に観客が少ない。2階、3階の入りは1割程度。1階席を加えてもホールの入りは3割も行っていないのではないかと思うほど。明らかに高すぎる価格設定が祟っているように思われる。
ウィーン放送交響楽団 ジャパン・ツアー2016
[管弦楽]ウィーン放送交響楽団
[指揮]コルネリウス・マイスター
ベートーヴェン:レオノーレ 序曲 第3番 op.72b
交響曲 第7番 イ長調 op.92※
ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 op.73
一曲目からどうもしっくり行っていない印象を受ける。オケの音色がゴチャゴチャとしてスッキリと聞こえないのである。マイスターの指揮は動作の大きい派手なものであるが、オケを完全にコントロールしていないのではないかとの印象がつきまとう。どうもオケの演奏とマイスターの指揮が微妙にずれている印象を受ける。各楽器で微妙に入りのタイミングがバラバラになるせいで音色か濁るのである。
二曲目のベートーベンの交響曲第七番になると、マイスターの指揮がほとんど暴走、異常に速いテンポで突っ走る。オケはそれに合わせるのがやっとの印象で、空中分解寸前の危うい場面も見受けられた。おかげで特に感銘を受けることもないまま音楽が過ぎ去ることに。
三曲目のブラームスでは、先のベートーベンのようにマイスターが突っ走るということはなかったが、アンサンブルの微妙な乱れは相変わらず。また金管を無造作にバリバリと鳴らすせいでオケ全体のバランスが崩れ、弦楽器が一向に前に出てこない。おかげでゴチャゴチャと音色の入り交じった冴えない演奏になってしまった。
ウィーン放送響自体は決して下手なオケとも思えないのだが、それを統率するマイスターがやや力量不足に感じられた。最後まで終始空回りの印象であった。
残念ながら正直な印象はイマイチというものであった。アンコールで演奏されたブラームスのハンガリー舞曲第5番がもっともオケのバランスもまとまりも良いという結果であった。この価格でこの内容だと次回はないなというのが本音。もっとも、もっと老練な指揮者がこのオケを率いれば全く印象が変わる可能性はあり得るが。何となくヒメノ指揮のコンセルトヘボウの悪夢が思い出された。
コンサートを終えるとホテルまでブラブラと歩く。今日の宿泊ホテルは法華クラブ大阪。私にするとやや贅沢目のホテルである。ホテルには20分ちょっとで到着。チェックインするとすぐに大浴場で体をほぐしてからこの日は就寝することにする。
☆☆☆☆☆
この晩は爆睡して、翌朝は8時前に目覚ましで目が覚める。やや眠気が残っているので入浴で目を覚ます。
目が覚めたところでレストランに朝食を摂りに行く。ここのホテルの一番のメリットは地元食を中心とした充実したバイキング朝食。串カツを中心としたメニュー数は豊富。朝からしっかりと燃料補給する。
チェックアウト時刻の10時ギリギリまで粘ってからチェックアウト。さて今日の予定だが、NHK大阪ホールで開催されるN響のコンサートを聴きに行くこと。しかしこれの開演が4時からだから、大分時間に余裕がある。しかし現在の大阪では立ち寄ろうと思うような展覧会は皆無。特にNHK大阪の隣が大阪歴史博物館だからそこで面白い展示でもしていたら良いのだが、生憎と現在は特別展は開催されていない時期。結構雨が降っていて表をウロウロ歩き回るのも嫌だし・・・結局は泉の広場近くのネカフェで時間をつぶすことになる。
ゴルゴを7冊ほど読みふけって時間をつぶすと、地下の飲食店で遅めの昼食に「カツ丼」を食べる。特に悪くもないのだが魅力もない。まあこの店は次は来ないだろう。
昼食を終えると地下鉄でホールに移動する。現地に到着したのは開場時刻の直前。エスカレータの前には行列が出来ている。例によっての「全席指定だから特に待つ必要もないのに、それでも律儀に開場時刻前から行列を作って待つ日本人の習性」である。開演時刻が来て続々と流れていく行列の後からついていく。
NHK大阪ホールはあまり大きなホールではない。オケのステージのために前部の客席をつぶしているからさらに収容人数は減っている。またそもそも音楽ホールでもないようである。音響的には地方の文化会館よりも悪いかもしれない。ホールが大して大きくないこともあって会場内は満員。さすがにN響は大人気である。
NHK交響楽団演奏会 大阪公演
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ピアノ:カティア・ブニアティシュヴィリ
管弦楽:NHK交響楽団
曲目:リヒャルト・シュトラウス/変容
シューマン/ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
リヒャルト・シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」作品30
一曲目の変容は弦楽だけでの複雑な曲で、各弦楽器がいくつものセクションに分かれて多様な旋律を重ねる曲であるが、パーヴォのコントロールが非常に行き渡っていて、音色が混濁するようなことがない。
二曲目のソリストのブニアティシュヴィリは長身の色っぽい女性。その演奏も官能的で艶っぽい音色から力強く激しいものまで硬軟自在。曲の構成にいろいろと難が言われがちなシューマンの曲であるが、それを魅力タップリに奏でる表現力はなかなかのもの。
三曲目は音響の大スペクタクルであるが、パーヴォの指揮は明快にしてクレバーなもの。感情に流されないクールな演奏である。またオケに対するコントロールはここでも行き渡っている。暴走にならないようにしっかりと手綱を締めてのコントロールに対し、オケの方も技術の確かさで応えており、これだけ複雑な曲にも関わらずやはり音色の混濁はない。なかなかにレベルの高い演奏であった。
今までどうもN響の演奏に関しては本気のものを聴いた記憶がないのだが、今回についてはやはり指揮者のパーヴォがN響を完璧に制御した本気モードのものになっていたようだ。こうなった時のN響のレベルはやはり高いことを感じさせられた。
これで今回の予定は終了。雨の中を家路へとついたのである。
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