展覧会遠征 京阪神ライブ編
いよいよ年末だが、この週末は今年最後を締めくくる第九の三連チャンということに相成った。
金曜の夜は三宮へ。国際会館で開催されるPACの第九コンサートに参加する予定。とりあえず時間がないので、家族亭であまり美味しくないカツ丼を夕食に摂るとホールへ急ぐ。
以前は神戸に住んでいたというのに、私はこのホールに来るのは初めてである。震災後に建て直したとのことで綺麗な高層ビルになっており、ホールはここの2階に入口がありここから長いエスカレーターで6階のホワイエまで登ることになる。ホール内は3階席まである巨大なもの。建物は綺麗なのだが、クロークがなくてコインロッカーが有料なのにはまいった。おかげで荷物をゾロゾロと客席に持ち込む者が多いので狭苦しい。
ベートーヴェン「第九」特別演奏会
指揮:佐渡 裕
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
独唱:並河寿美(ソプラノ) 林美智子(メゾソプラノ) 佐野成宏(テノール) キュウ・ウォン・ハン(バリトン)
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団、オープニング記念第9合唱団 他
合唱指揮:矢澤定明 合唱指導:小玉 晃、有元正人
やや精密さには欠ける感があるが、明るくて元気なPACオケらしい第九と言えるだろう。最終楽章では佐渡が溜めたり、煽ったり、まくったりで変化を付けていたが、それが効果を上げていたかどうかはやや微妙。
綺麗なホールなのだが、どうも音が飛んでこないのは所詮は多目的ホールの限界か。アンコールではバリトンがマイクを使って「ホワイトクリスマス」をボーカルで歌ったのだが、こういうやり方をするとやけに音響がしっくりきた辺りが、そもそもどういう用途を想定しているホールかということを如実に現している。
アンコールはクリスマスソングとまさかの宝塚。場内はかなり盛り上がって終了となったのである。この辺りは佐渡はイベントの盛り上げ方を心得ているようだ。ただ会場内が終始やかましかったのだけが残念な点。どうしても年末の第九はこうなるようだ。
演奏が終了するとホテルに移動。今日宿泊するのは宝塚ワシントンホテル。楽天トラベルで地域振興券が配られていたのを利用しての宿泊である。おかげで1万円以上するホテルが5000円ちょっとという妥当な価格で宿泊できる。ちょうどさっき「すみれの花咲く頃」を聞いてきたところだが、駅に到着すると早速宝塚歌劇の像とポスターがお出迎えである。
ホテルに到着するとナトリウム・塩化物泉の温泉大浴場でくつろぎ、この日はさっさと就寝する。
☆☆☆☆☆
翌朝は8時まで爆睡。しかし朝からやや眠気が残っている。どうも疲労が溜まっているようだ。朝風呂で目を覚ますと、レストランで和定食の朝食を摂る。チェックアウト時刻は11時なのでそれまで部屋でテレビを見ながらぼんやり過ごす。
チェックアウトすると今日は京都に移動だが、その前に昼食を済ませておくことにする。京都で朝食を摂る手もあるがとにかく混む上に高いのが京都なので、宝塚で昼食を済ませてから行くことにする。
立ち寄ったのは以前にも利用した「八まき」で「ジャンボエビフライ定食(1450円→1400円)」を頂く。ボリュームも味も文句なし。やはり宝塚はキモいポスターさえ気にしなければ実に良いところである。
昼食を終えると夜食の菓子も仕入れてから京都に移動する。京都には昼過ぎに到着するので京都駅周辺の喫茶店でしばし時間をつぶしてからホールに向かう。
京響第九コンサート
高関 健(常任首席客演指揮者)
平野 雅世(ソプラノ)
西原 綾子(メゾソプラノ)
小餅谷 哲男(テノール)
桝 貴志(バリトン)
京響コーラス
シベリウス:交響詩「エン・サガ(伝説)」op.9
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付」op.125
やはり京響のアンサンブルの精度の高さが光る。一曲目のシベリウスは特に北欧情緒が強いというタイプの演奏ではないが、万事そつのない破綻のない演奏。
そのアンサンブルのレベルの高さは第九でも発揮されている。第一〜三楽章においてはそのオーケストラでなかなかに聞かせる。
最終楽章はPACのコンサートよりも合唱団の規模が小さいこともあって、オケと合唱がバランスを取っての掛け合いのような演奏になっており、オケが完全に合唱の伴奏になっていたPACとは趣が変わっていた。
コンサートを終えると宿泊ホテルに向かう。今日の宿泊ホテルはKKRホテルびわこ。公務員共済のホテルだが、じゃらんが例の地方振興券を配布していたことから選んだホテル。
湖西線の唐崎駅に到着するとホテルに連絡して送迎してもらう。ホテルは琵琶湖湖岸にある3階建ての建物である。送迎バスの運転手によると、今日は土曜日とは思えないぐらいに予約客が少ないとのこと。いつもは土曜といえば予約客や宴会客でごった返すらしいが、今日はもう既に年末年始モードに突入しており、あえてこの時期に忘年会をするという連中もいないんだろう。なお明後日ぐらいからは年末年始モードでまたごった返すらしい。
チェックインを済ませるとすぐに夕食になる。夕食はふぐ会席。年末の贅沢というやつである。半分は税金から出ていることになるが、そうでもないとこんな贅沢なものは食べられない。どうせ例のバラマキを決めた連中はいつも税金で贅沢している輩だから、私がここで税金を使ったところで罰も当たるまい。
なぜびわ湖でふぐなのかという疑問はなくもないが、料理自体は非常に美味い。多彩な前菜がいかにも会席料理的で楽しくて美味いが、この後に来たてっさがやはり絶品。しかし隠し球はまだまだあり、塩で食べるふぐの炙り寿司も何とも言えぬ味わいがあるが、てっちりが非常に美味であった。以前にてっちりを食べた時にはそれほどに感じなかったのだが、やはりこのような鍋物でも料理の善し悪しがあるのか。これが意外ににボリュームもあり、最後の雑炊にたどり着いた時には完全に満腹だった。少々食い過ぎた。
夕食を終えると入浴。ここには別棟の露天風呂と二階に内風呂がある。まずは琵琶湖が見える露天風呂へ。今日は確かに館内が静まりかえっている印象があるが、露天風呂は完全に貸切状態。湖に向かった浴槽には湯がなみなみと注がれ、全面にある窓は開放されている。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉とのことだが、なめてもあまり味はしない。ただ肌当たりはしっとりしている。
入浴後は宝塚で購入した和菓子でマッタリと過ごす。しばらくくつろいだ後に再び今度は内風呂の方に入浴に行ってからこの日は就寝する。
☆☆☆☆☆
翌朝は7時に起床するとまずは露天風呂へ。昨晩は真っ暗で何も見えなかったが、今朝行ってみると琵琶湖がよく見える見晴らしの良い風呂である。
入浴を終えると朝食。朝食は和定食だが、なかなかうまい。朝食を終えるとチェックアウト時刻の10時前までマッタリと過ごしてからバスで駅まで送迎してもらう。一昨日は暖かいほどだったのに、昨晩辺りから猛烈に冷え込んでおり、風に雪が一片混ざっているぐらい。寒風吹きすさぶホーム上は寒さが半端でないので、待合室は客でごった返すことになる。
ここから大阪まで移動だが、その移動の列車は乗客でごった返して混雑が半端でない。もう既にこの辺りは年末年始モードか。
さて今日の予定はザ・シンフォニーホールでのセンチュリーの第九だが、開演前に天王寺に立ち寄る。まずは昼食を摂っておこうとのことでMIOの「四六時中」に立ち寄り、おひつご飯と牡蠣フライのセットを頂く。
昼食を終えるとハルカス美術館に立ち寄ろうと思ったが、あまり時間に余裕がないのと美術館周辺にやたらに「子供を連れてきたい美術展」と書きまくっているのにどん引きして、美術館手前で引き返してくることになる。結局はそのままホールへ。
21世紀の第九
[指揮]ケン・シェ
[管弦楽]日本センチュリー交響楽団
[合唱]京都バッハ・アカデミー合唱団
[ソプラノ]上村智恵
[アルト]福原寿美枝
[テノール]松本薫平
[バリトン]萩原寛明
ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 「合唱付」 op.125
どの辺りが「21世紀の」になるのかは私にはよく分からなかったが、ケン・シェの演奏はややメリハリが強めの演奏で、センチュリーのアンサンブル力の高さも相まってなかなかに緊張感のある内容になっている。
第四楽章はまさに一大音響スペクタクルとなっていたが、これは合唱団が抜群に上手いということも関係しているだろう。なかなかに密度の濃い第九であった。
ケン・シェはステージ上での存在感があるタイプの指揮者だが、それ以上に彼の演奏は妙にこちらにプレッシャーをかけてくる印象のあるものだった。こういう感覚を受けたのは初めて。「この感じは・・・まさか奴もニュータイプか?」 そういう意味では「21世紀の・・・」とは要はケン・シェのことなのか。
これで年末第九三連荘は終了、家路へとついたのであるがその列車もやはり馬鹿混みであったのである。結論、疲れた・・・。
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