展覧会遠征 西宮・京都編
この週末だが、西宮のPACと京都市響のライブに出向くことにする。まずは土曜のPACから。昼頃に出かけるとまずは三ノ宮で昼食。立ち寄ったのは「破り子」。ランチメニューの「おろしトンカツ定食(900円)」を頂く。ランチメニューとしてはまずまずだが、昼食時でドタバタした店内はどうも落ち着けない。
昼食を終えると、コンサート開始時間までの間に美術館に立ち寄ることにする。阪神三宮から魚崎で六甲ライナーに乗り換え。そう言えばこの美術館を車以外で訪問するのは久しぶりだ。
「国立美術館巡回展 洋画の大樹が根付くまで」神戸市立小磯記念美術館で11/3まで
西洋からそれまでの日本画とは異なる新しい表現としての洋画が渡ってきて以来、日本国内で多くの画家が西洋の影響を受けつつ、独自の道を模索して日本の洋画を発展させてきた。その日本の洋画の歴史を東京・京都の国立近代美術館の収蔵品で概観する展覧会。内容的に浅井忠辺りから始まり、日本の代表的な洋画家の作品を一点ずつ紹介しながら、日本の洋画史を解説するという趣向。
初期は印象派の影響を受け、それがやがてフォーヴやキュビズムに変わり、さらには現代絵画になるといったように、時期ごとに露骨に西洋の流れの影響を受けているのが顕著で、なかなか日本の洋画というスタンスを確立するのに苦労しているのが何となく読み取れる。しかも現代になればなるほど、個性を目指してかえって画一化している傾向も見られる。何やらいろいろと考えさせられる展覧会である。
展覧会の見学を終えると館内に貼っていたポスターをチェックして今後の遠征計画。この秋には京都で琳派関係の展覧会がいろいろあるようなので、それは見学しておくべきだろう。琳派、琳派と考えていたら頭に妙な歌が浮かんでくる。
筆に願いをこめて描けば、屏風で器で掛け軸で
楽しい絵画が泉のように、みんなの夢を映し出す
琳派ッパ 琳派ッパ 誰でも 琳派ッパ 琳派ッパ 知っている
宗達、光琳、抱一も 一緒に琳派ッパ
ウーン、怪しい琳派のテーマソングができあがってしまった。これを琳派展のイメージソングに・・・んなアホな!
美術館の見学を終えるとホールに向かうことにする。六甲ライナーで住吉まで移動すると、JRで隣の摂津富田へ、そこから徒歩で阪急岡本、西宮北口へは3駅である。乗り換えはややこしいが意外と時間はかからない。
第81回定期演奏会 佐渡 裕「春の祭典」
指揮/佐渡 裕
ピアノ/小林 愛実
管弦楽/兵庫芸術文化センター管弦楽団
ハイドン : 交響曲 第7番 ハ長調 Hob.I:7 「昼」
ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58
ストラヴィンスキー : バレエ音楽 「春の祭典」
一曲目は古典で三曲目は現代音楽の古典というプログラム。一曲目は特に強く印象に残るところではないが、二曲目のベートーベンは小林のピアノのうまさが光った。やや甘い部分がないわけではないが、チャーミングな演奏である。
三曲目は原色の音色が炸裂する複雑怪奇な音楽であるが、この困難な曲をオケはなかなかにうまくまとめきったと言える。佐渡の指揮はやや芝居ががったところもあるが、この曲の場合にはそれがうまくマッチしていたように感じられた。
コンサート内容はまずまず。今回私は初めて「春の祭典」を面白いと感じた。各楽器がギラギラと咆哮するのはライブでないと実感できない。私が自分のオーディオでこの曲を聴いた時に面白くないと感じたのも道理である。また非常に複雑な曲であることも理解できたし、現代音楽の古典と呼ばれる理由も納得できた。これは大きな収穫である。
佐渡の指揮を聴くのは初めてだが、指揮としては特別な特徴は感じられなかった。それよりも印象に残ったのはマイクを使っての喋りのうまさ。ああ、慣れてるなという感じが非常に出ていた。
ところで何かと評判の悪いこのホールの客層は相変わらず。とにかくホール内で演奏中に雑音が多いのは確かである。演奏中に聞こえてくる咳なども他のホールの倍は多い。PACは入場料が安いために客層が悪いとの指摘もあるが、それも考えられるところではある。
コンサートを終えるとホテルに移動することにする。今日の宿泊地だが、宝塚に宿泊することにした。なお、あえて宝塚を選んだのは宝塚歌劇を見学するため・・・ではない。私はそもそも芝居が嫌いな人間で、だからオペラも見ないというかなり偏った嗜好をしている。そもそも宝塚歌劇も興味がないというか、ヅカファンのド顰蹙を買うことを覚悟してあえて本音を言えば、宝塚はオカマショーのように感じられてキモイのである。つまり私の頭の中では宝塚歌劇とマツコ・デラックスは同一次元に存在していると言っても良い。
宝塚駅前の像
ではなぜわざわざ宝塚を宿泊地に選んだかだが、それは楽天トラベルがふるさと旅行券をばらまいていたから。宝塚のホテルは朝食付きで1万を越えるような高級ホテルばかりだが、ふるさと旅行券で5000円引きになるので妥当な宿泊料になるという次第。
宿泊ホテルは阪急宝塚の駅前にある宝塚ワシントンホテル。部屋は普通のビジネスホテルタイプ。川に面した眺めの良い部屋である。若干タバコの臭いがするのと照明がやや暗めなのが難点か。
部屋に荷物を置くと夕食に出かける。駅前に商業ビルがあるのでその中の飲食店外を散策。夕食を摂る店の目星をつける。入店したのは「八まき」。「ジャンボエビフライ定食(1450円税込)」を注文する。
頭付きの大エビのフライが2つ盛られている。頭の中を食べても臭みはない。ボリューム・味ともに文句なし。これはなかなか良い店に当たった。
夕食後は夜食の仕入れのために辺りをウロウロ。探していたコンビニは見当たらなかったが、タカラジェンヌ御用達という「永楽庵」の寶もなかと、これも宝塚名物という「河本本舗」のやきもちを仕入れる。
ホテルに戻ると入浴。このホテルは温泉大浴場付きである。宝塚温泉で泉質はナトリウム塩化物泉。なめてもほとんどしょっぱみのない新湯に近い印象の湯だが、それでもなかなかに快適。
風呂から上がると先ほど仕入れた夜食をいただく。やきもちは結構あっさりしていてなかなか美味。もなかについては「作りたてなので明日か明後日ぐらいの方がおいしい」とのことだったが、皮がやや硬めだがこれでもなかなかうまい。多分明日になると皮と餡がもっと馴染むのだろう。宝塚にはなかなかに上質な和スイーツがあるようで、私にとっても歌劇団のポスターさえ我慢すれば、宝塚はなかなか良いところのようだ。
寶もなかとやきもち 夜食を頂くとこの夜はやや早めに床につく。
☆☆☆☆☆
翌朝は7時に目覚ましで起こされる。とりあえずザクッと入浴に行くと、レストランで朝食。洋食、和食、おかゆの選択式で私は和食を頂く。内容はまずまずというところ。
ホテルをチェックアウトしたのは10時前。今日の予定だが、宝塚まで来たのだから手塚治虫記念館に立ち寄るつもり。途中で宝塚歌劇場の前を通過するが、閉ざされた門前に既に大勢がたむろしている。
手塚治虫記念館は前に火の鳥の像が立っていていかにもというところ。中に展示されているのは手塚治虫の原稿やら漫画本やら。ただ私は実を言うと手塚治虫自身にはあまり思い入れはない。手塚治虫がジャストミートする年代よりは若干若いような気がする。それに漫画の原稿の類いを見ても絵心のない私にはフーンで終わってしまう。
特別展として河森正治の展覧会が開催されていたが、これも要は彼のデザインしたメカニックの原画展。展示してあったロボットフィギュアなんかは格好いいが、原画を見てもやはりフーンで終わってしまう。
サクッと手塚記念館の見学を終えると阪急で京都まで移動することにする。京都で昼食を摂るつもりだったが、朝食が遅かったせいか今ひとつ腹が減っていない。結局は京都大丸の風月堂でアイスクリームを食べてこれが昼食代わり。
昼食?後は地下鉄でホールまで移動する。今回は京都の音楽祭の開幕コンサートとのことで、招待された市民などもいるらしくホールはほぼ満席である。
第19回京都の秋 音楽祭 開会記念コンサート
指揮/高関 健(京都市交響楽団常任首席客演指揮者)
ヴァイオリン/山根一仁
管弦楽/京都市交響楽団
曲目
デュカス:舞踏詩「ラ・ペリ」ファンファーレ
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調
一曲目は音楽祭開幕を告げる華々しいファンファーレで、本番は二曲目からと言うところである。
二曲目はとにかく山根の技巧が冴え渡る曲であった。かなり難度が高いと思われる曲であるにも関わらず、それを悠々と弾きこなす山根の技術にただただ圧倒される。アンコールのパガニーニもその調子で技量で圧倒されっぱなしであった。
三曲目のブラームスはこれはかなり熱のこもった力演。京響のアンサンブルには乱れがないし、高関の指揮もキチンと要所を押さえて謳わせるべきは謳わせ、盛り上がるべきところは盛り上げるというツボを突いた隙のないもの。かなりの名演であったと言える。
まず熱演であったと言って良いだろう。場内も割れんばかりの拍手でかなり盛り上がっていた。子供などもいたことからどうして場内がガソゴソした感じであったが、それを吹き飛ばすような熱演である。
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