展覧会遠征 京都編10
この週末は京都まで脚を伸ばすことにした。目的は京都市交響楽団の演奏会。ただし京都まで行くとなればコンサートだけというのも勿体ない。ついでに美術館に立ち寄ることにする。
土曜の午前に出発。まずは向かうは烏丸御池。京都文化博物館で開催されているダ・ヴィンチ展が目的。現地到着は開館時刻の10時前なので、なか卯で朝食を摂ってから一仕事。と言うのは年末の京響の第九の演奏会のチケット手配。しかし10時前からサーバが落ちているようでチケットを取るのに一苦労させられる。結局はすったもんだの末にようやくチケット確保。それにしても今年の12月は私は第九三昧になる予定。特に最終週の週末はPAC、京響、センチュリーと三日連続で第九というスケジュールになっている。なんか途中で飽きそう・・・。
一仕事終えたところで文化博物館に入館する。
「レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展」京都文化博物館で11/23まで
「アンギアーリの戦い」は、フィレンチェのシニョリーナ宮殿を飾る壁画としてダ・ヴィンチによって製作されたが、技法の問題などから未完のまま放置された作品である。後にジョルジョ・ヴァザーリの壁画によって壁面は覆われることになるが、しばし未完のまま放置されていたこの作品は、その躍動感ある絵画表現などが多くの芸術家に影響を与えたという。本展ではその壁画のダ・ヴィンチ自身による下絵と言われるタヴォラ・ドーリアが日本初公開なると共に、ダ・ヴィンチの作品と共にこの宮殿を飾る壁画として企画されながらやはりこちらも未完のまま終わったミケランジェロによる作品の模写を併せて展示している。
ダ・ヴィンチのアンギアーリの戦いについては、非常にドラマチックで躍動感溢れる画面であり、「モナリザ」などでイメージする静かなダ・ヴィンチの絵画とはややイメージが異なる。現代の劇画の一画面のように劇的演出がなされているので、当時の芸術家に大きなインパクトを与えたのは確かに想像に難くない。実際にこの作品の影響を受けたと見られる他の画家の作品も併せて展示されていたが、いずれも表現が劇画的になっていたのが印象的であった。
文化博物館の次は近代美術館に立ち寄るために東山に移動。しかしまだ暑さの残る表を歩いている内にお茶をしたくなったので「ぷちぽち神宮本店」に立ち寄って宇治金時(864円税込)を頂く。
出てきた氷の量を見た途端に「うわっ」という声が思わず出る。味はなかなか良い。添えられている練乳をかけると味がまろやかになってさらに良い。また食べている間に氷が全く溶けなかったところを見ると、氷も本格的な良いものを使っているようだ。ただこれを完食したら完全に体が冷え切ってしまった上に水腹になってしまった。見ていたらこれを二人で分けていた夫婦がいたが、確かにそれでちょうど良いぐらいの量である。
お茶をした後は美術館に入館するが、水腹になったらなぜか急激に腹が減ってきた。しかも不思議なことにパスタが食いたい。ちょうど美術館内に手作りパスタの店「cafe de 505」があるのでそこに先に入店する。注文したのは特別展連携のスパセット(1680円税込み)。
前菜はサラダと一品。サラダはイチジクのサラダだそうな。もう一品はカボチャらしい。味は良い。
スパはスープスパというか出汁スパ。具は鮭とムール貝とゴボウとシメジ。味が完全に和風で、パスタと言うよりは高級なラーメンという印象。パスタと考えれば奇妙な感じがするが、これはこれでなかなかに美味い。
昼食を終えるとようやく美術館の見学に入る。
「現代陶芸の鬼才 栗木達介展」京都国立近代美術館で9/27まで
富本憲吉などに学び、独自のスタイルで高い評価を受けた近代陶芸の鬼才・栗本達介の展覧会。
花びらのような貝のような、人工的でありながらなぜか自然のもののような独特の形態の器や、金属テープを貼り付けたかに見える独特の装飾模様などが非常に印象に残る作品が多い。作品自体が奇妙な存在感と質感を持っており、そこに鎮座しているだけで空間に影響を及ぼすような感覚があり、なかなかに興味深い。
陶芸はそもそも守備範囲外なのであまり期待していなかったんだが、予想に反して結構面白かった。こういう完全に芸術志向の陶芸も作品によっては意外に面白いものらしいと今回初めて感じた。
何だかんだで展示を一回り終えた頃にはそろそろホールに向かわないといけない時間になっていた。地下鉄で東山から北山に移動である。このホールも久しぶりに来る。
京都市交響楽団 第594回定期演奏会
指揮/ジャン=クロード・カサドシュ
Pf/萩原 麻未
曲目
ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
ラヴェルの作品については彼らしいオーケストレーションがキラキラした曲。ピアノ協奏曲は萩原がなかなかに熱演で良かった。彼女の演奏は初めて聴くが、非常に揺るぎない安定した演奏という印象。テクニックもしっかりしており、それでいて無機質な演奏でないのがポイント。
京響はラストの火の鳥がなかなかの好演だった。演奏が安定しており、やはり京響は関西のオケの中では技量は一番のように思われた。特に管の安定性が大フィルなどと比較した時に著しい。
演奏はなかなかだったと思うのだが、今回は生憎と曲目が私の好みからはかなりズレていた。私はどちらかというと旋律を聴く方らしく、ラヴェル、ドビュッシー、ストラヴィンスキーといった旋律よりも響きで聴かせるタイプの作曲家はどうも苦手である。この辺りが私はマーラーは聴くがブルックナーは今ひとつ苦手な所以か。
ところで京響の演奏会は演奏内容は良いのだが、どうも観客がよろしくないというのを感じる。今回の演奏中でもあちこちでやたらにガサゴソと五月蠅い輩がいたし、ひどかったのは演奏後のフラブラ。馬鹿じゃないかと思うぐらいにタイミングが早い輩がいた。人より早く声を上げたら偉いとでも思ってるんだろうか? どうもマナーの良くない客が多いようで、それが演奏会の質を下げることになっているのは残念である。関東では都響の客層が悪いという噂を聞いたことがあり、関西ではPACオケの客層の悪さも著しい。公営のオーケストラ(京響は今は市営ではないそうだが)は、たちの悪い客を引きつけやすいのか?
これで今回の予定は終了。列車に揺られて帰宅と相成ったのである。
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