展覧会遠征 岡山ライブ編

 

 世間一般は夏休み突入。しかし社会人には夏休みがない。灼熱地獄の中を仕事に勤しむしかないわけだが、そんな中で心のオアシスになるのはライブ。とは言うものの、夏休みはオーケストラも大抵は休みということになるのがこの時期。そんな中で岡山で広島交響楽団のライブがあるという情報を入手した。広島交響楽団の演奏は今まで聴いたことがない。野次馬的興味とライブ切れの禁断症状解消のために岡山まで聴きに行くことにした。

 

 仕事を早めに終えると新幹線で岡山まで。いつもライブは大阪方面なのでいささか勝手が違うが、岡山には予定通りに到着する。

 

 岡山に到着するとまずは地下街で夕食を摂っておくことにする。立ち寄った店は「はしや」。定食ものが中心で少しオシャレな飯屋というところ。「マグロレアかつの梅おろしポン酢定食(1100円+税)」を注文。

 名前に反してマグロカツは中まで火が通っており、せいぜいミディアムと言ったところ。それはともかくとして、マグロはこうしてカツにすると味・食感共にかなりトンカツに似ることに気づいた。欧米でツナが肉扱いされている理由が頷ける。内容的にはマズマズなので、駅前地下街の店にしては悪くない。

  

 昼食を終えたら岡山シンフォニーホールに向かう。シンフォニーホールは路面で3駅。ホールはかなり巨大な建物の3階にある。ホールに到着したのは6時頃だが、開場は6時半とのこと。ここで待っていても仕方ないので、近くの商店街を散策。ここは岡山でもメインストリートのはずなのだが、今一つ活気がない。いずこの地方都市でも起こっている状況だ。岡山は極端な車社会なのにも関わらず、この周辺には駐車場が多くないことが響いているように思われる(ここのホールにも駐車場はない)。また駅前に巨大なイオンモールが開店したとのことだから、そちらにも客を取られているのだろう。

 

今ひとつ活気のない商店街の中央にある謎の塔

 天満屋の地下をウロウロして抹茶ソフトで一服などをしているうちに6時半になったのでホールに戻る。

 抹茶ソフトで一服

 ホールは3階席まであるかなり巨大なホール。天井がかなり高いのが特徴である。私の席は一階席中央のやや奥。まずまずといった場所か。ホールがかなり奥に深いのと、一階席に傾斜がほとんどないので前席の頭がいささか気になるのが難点。またこのホールは座席がプラスチックの事務椅子のようでやや安っぽい。

 客は一階席のフロアと二階席の正面にだけ入れている模様。座席の埋まり具合としては8割というところか。

 


クラシック名曲コンサート

 

指揮:田中祐子

ピアノ:加藤大樹

広島交響楽団

 

モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」K.588〜序曲

シューベルト:交響曲第7番ロ短調D.759「未完成」

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23

 

 広響の演奏を聴くのは初めてだが、評判としては「数十年前はかなり下手だった」という風に聞いている。さて今回の演奏だが、決して下手ということはないとは言える。ただ決して上手でもない。アンサンブルにやや甘さがあるので特に強奏になった時に音色が若干濁るし、オーケストラが一斉にフォルテッシモで入るところなどは微妙なタイミングズレが発生して、ダーンでなくてバシャーンという感じの音になってしまう。また金管については明らかに上手くないと言えるだろう。デリカシーに欠ける上に音程も不安定である。一曲目ではアンサンブルの乱れが、二曲目では金管の不安定さがいささか気になった。演奏内容としては三曲目のピアコンが一番安定していたようである。

 指揮者の田中祐子については元気なお姉さんという印象。小さい体をフルに動かしてオーケストラをドライブしている。かなり明快な指揮であり、表現ははっきりとサバサバしている。ただこのオケと曲では彼女独自の音楽表現というものまでは残念ながら伺えなかった。もう少し大胆な表現をしても良いように感じられる。

 加藤大樹のピアノについてはうまいのだがやや平板な印象。もう少し表現に陰影や奥行きが欲しいところ。サラッと軽く弾きすぎているように感じられる。


 オーケストラの世界については東京一局集中が甚だしいが、今後来るべき地方の時代を考えた時、中国地方の雄である広島交響楽団にも是非とも頑張ってもらいたいところである。

 

 なお岡山ハーモニーホールだが、地方都市の音楽ホールとしては立派なホールであるという印象。音響についてもやや天井が高すぎるきらいはあるものの、意外と悪くはない。またチャイコのピアコンで第一楽章終了後の拍手が全くなかったところをみれば、観客も結構音楽慣れしているように感じられた(その割には演奏中に雑音がやや多めだったのが気になるが)。岡山にも中国地方の文化の歴史のある都市としてがんばってもらいたいところ。このホールの建設に当たって岡山フィルをプロ化して強化している最中と聞くので、その成果のほどはまたいずれ確認したいところ。

 

 なおピアコンの演奏終了後に、「ブラボー」はともかく「キャー!」という場違いな黄色い歓声が上がったのだが、ピアニストの女性ファンだろうか。ただこの歓声はさすがに耳障りだった。

 

 コンサート終了は9時40分頃。会場を後にした群衆は各々散っていったが、駅とは逆方向に向かう者も少なくなかったところを見ると、かなり地元民が多かったようである。

 祭りの後

 

 

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