展覧会遠征 大阪ライブ編
まだ週半ばの水曜日だが、今日はザ・シンフォニーホールで開催されるライブのチケットを入手している。仕事を終えてから慌てて大阪まで出向いた次第。
とりあえずホールに入る前に手早く夕食を。以前にも一度だけ入店したことがあるラーメン屋「まこと屋」で「牛醤ラーメンと並盛炒飯のセット(1080円)」を注文。以前に食べた鶏醤ラーメンよりもコクが強いラーメン。まずまずだが、全体的に少々塩っぱい。
夕食を終えるとホールに入場。今回はやや安めの席なのでポジションはあまり良くない。
場内は6〜7割の入りというところで、価格の高い席を中心に結構空席が目立つ。平日開催の上に知名度的にはやや劣るオケで、その割にはチケット代が結構高かったということが反映しているように思われる。
ハンブルク北ドイツ放送交響楽団
[指揮]トーマス・ヘンゲルブロック
[ヴァイオリン]アラベラ・美歩・シュタインバッハー
プログラム
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」(1893年ハンブルク稿)
アンコール
プロコフィエフ:無伴奏ヴァイオリンソナタより第1楽章
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲
一番最初に聞いた時からややアンサンブルのバランスの悪さを感じた。基本的に管がブイブイと演奏したがる傾向があるようなので、ともすれば弦をかき消してしまうようなケースが見られた。今回は私の席が決して良い位置ではないことも考慮に入れる必要があるだろうが、それにしてもやはり管が前に出すぎのように思われる。そもそも管楽器の演奏が、ピアニッシモからフォルテッシモの間の強弱刻みが3〜4段階ぐらいしかないような印象を受けた。そのためにアンサンブルがいささか「雑」に感じられ、実際にマーラーの演奏ではフルオーケストラで旋律が錯綜する部分では、音色の混濁が起こっていたように思われた。この傾向は小編成でのメンデルスゾーンでも、大編成のマーラーでも同じである。また明るくて華々しいこのオケの管の音色は、ロマン派初期のかなり古典派寄りの作曲家であるメンデルスゾーンの曲にはやや不似合いの印象もあった。
アラベラ・美歩・シュタインバッハーのヴァイオリン演奏は、非常に流麗な演奏であるのだが、やや繊細で線の細さを感じさせるものであり、この辺りがブイブイと鳴らしてくるオケに比べるとやや押されているような印象を受けた。
このオケがもっとも「らしい」鳴り方をしたのがアンコールの「ローエングリン」。全楽器がフォルテッシモで鳴らすとそこでバランスが取れたようである。華々しい金管が前に出て、いかにもワーグナーらしいダイナミックな演奏になっていた。
マーラーの巨人については今回はハンブルク稿を用いたのが最大の特徴。一般に演奏される稿とは細かい違いが種々あるようだが、最大の違いは「花の章」を含む5楽章構成になっていること。現在の1楽章と2楽章の間に花の章が入る。トランペットソロ付きの弦楽セレナーデのような趣のある花の章は、前後の楽曲と雰囲気がやや異なる感があるが、音楽的には明らかに現在の第2楽章とスムーズにつながっている。私は以前から巨人の第2楽章はどうも曲全体から浮いている気がしていたのだが、こうして花の章を挟むとその違和感がなくなる。マーラーがどういう思考の果てに花の章を削除することにしたのかは分からないが、私なら花の章を残したかなと考える。
何やらやけに辛い評価になったが、決して下手なオケというわけではないのだが、何か「どこか違うな」という違和感が最後まで解消できなかったのである。
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