展覧会遠征 加東編
この一週間は風邪がぶり返したせいで見事に中盤まで寝込んでしまい、後半もヘロヘロの状態で仕事に出る羽目になってしまった。週末頃にはようやく体調は持ち直したが、土曜日は一日中寝ていて、ようやく日曜になってから起き出した状態。この体力低下も最近の運動不足が祟っているのか? と言っても今はいきなり山に登る体力なんてないし、そんなことしたらまた風邪がぶり返す恐れもある。この日曜日もおとなしくインドア系活動に終始しておくことにする。
ここで浮上したのが、姫路市立美術館で開催中の「シャガール展」及び加東市の東条文化会館で開催される関西フィルのライブ。文化会館に問い合わせたところによると当日券もあるとのこと。そこでこの2件を組み合わせようと考える。
昼前には姫路に車で到着。しかしここで計算違い。姫路城周辺の駐車場が全滅状態なのである。改装なった姫路城はちょっとしたブームになっているとは聞いていたが、未だに週末はこの調子らしい。仕方ないのでシャガール展は今度に回すとして、加東市に向かうことにする。
姫路から山陽自動車道に乗ると、三木小野で降りて北東に向けて走る。加東市は例の平成の大合併で社町と滝野町と東条町が合併して出来た市である。今回の会場はその旧東条町の中心部にあるらしい。
ただ会場に早く到着しすぎても仕方ない。とりあえずは昼食を摂りたい。途中で東条温泉とどろき荘があるので、そこで昼食とついでに一休みしておくことにする。
昼食は施設内の食堂「成山」で「カツ丼(700円)」を頂く。可もなく不可もなく何の特徴もなしといったところ。
昼食を終えるとついでにここで入浴していく。施設は内風呂のみで、高温槽が源泉掛け流しになっていた。この源泉掛け流しは女湯と男湯で日替わりらしい。私の訪問時は運良く男湯が掛け流しの日だったようだ。ナトリウム・カルシウム塩化物泉とのことだが、やや褐色がかった湯は少しなめると強い塩気と苦みがある。さらに弱アルカリ泉とのこと。肌当たりはややきつめである。
銭湯的に入浴に来ている地元客が大半という印象の施設である。それにしてもこの施設自体がよく分からない施設だ。とどろき荘という名前だけ聞くといわゆる宿泊施設のようで、実際に宿泊もあるようなのだが、施設名には加東市東条福祉センターともついている。福祉施設と宿泊施設が合体しているようで、実際にデーサービスの案内なども施設内に張り出してあった。また後でHPで調べてみると、宿泊は食事なしで一人4500円(食事は先ほどの「成山」で勝手に食えということだろう。ただ夜は良いとしても朝はどうするんだ?)はともかくとして、入浴が夜の9時まで(受付は8時半まで)で門限が9時とのことで異常に夜が早い。ここに宿泊したら夜をかなり持てあましそうである。もっともどこかに繰り出すと言っても何もない地域ではあるが・・・。
入浴を済ませて会場の東条文化会館コスミックホールに到着したのは1時40分頃。当日券を入手すると、開館時刻の2時まで同じ施設内の図書館で時間をつぶす。
開館時刻になると表で待っていた観客がゾロゾロと入場。入場してしばらくするとロビーコンサートとしてロビーでフルート四重奏の演奏が始まる。関西フィルと加東市にどうゆうゆかりがあるのかは知らないが、関西フィルのコンサートは1年前にも開催されているらしい。
ロビーコンサートが終了するとゾロゾロと大ホールへ入場。大ホールは収容人数は570人ほどの中規模ホール。客の入り具合は8割といったところか。正直なところ田舎の文化会館とかなり侮っていたのだが、想像していたよりは随分とまともなホールである。
デュメイ&関西フィルハーモニー管弦楽団 特別演奏会
オーギュスタン・デュメイ (指揮・バイオリン独奏)
■プログラム:(予定)
マスネ: タイスの瞑想曲
ブラームス: ハンガリー舞曲 第2番・第5番 (バイオリン独奏:A.デュメイ)
モーツァルト: 交響曲 第29番イ長調
ブラームス: 交響曲第4番 OP.98
上の2曲はデュメイの弾き振りで下2曲はデュメイの指揮。
デュメイの独奏に関しては特別な難曲というわけでもないせいか、デュメイのバイオリンはさらりと弾き流している印象。それにも関わらず音色の美しさと響きはさすがである。
デュメイ指揮の2曲に関しては、やはりデュメイはバイオリニストの指揮者だなというのが強く感じられる。またオーケストラを良くコントロールしている。デュメイに鍛えられた関西フィルは弦がかなり艶っぽくてアンサンブルが美しい。これは明らかにデュメイの嗜好を反映しているのだろう。またデュメイが振るとブラームスの交響曲が弦楽セレナードのように聞こえるし、響きがかなりベートーベン的になる。元よりブラームスはベートーベンの影響をかなり受けているが、その部分がかなり強調されるような印象になる。
一方で管に関してはやや響きが硬質な木管に音程に不安定さがある金管と、弦に比べると粗さが目立った。この辺りがレベルが上がってくると、国内オケの中でもかなりの位置に来そうな気がするのだが。
デュメイは私の事前のイメージに反してかなりの背の高い人物で、ステージに上がってきた時には「うわっ」と驚かされたほど。彼が持つとバイオリンがかなり小さく見える。後で調べたところによると、かつてはかなりの巨体だったらしく、そのせいで足を痛めたのでダイエットしたらしい。確かに体全体のプロポーションとして、上体に比べると足が華奢な人物だなとはその時に感じたのだが。
関西フィルのコンサートを以前に聴いた時、弦のレベルの高いオーケストラという印象を持ったのだが、どうやらその原因は音楽監督に就任したデュメイによるものだということが今回ハッキリと感じられた。やはりオーケストラのレベル向上には、芸術性や技量の高い指揮者が指導者として存在することが重要なんだなとつくづく思い知った次第である。
関西フィルは明日の大阪での公演の後、ヨーロッパ公演に出向くとのことである。関西フィルがどの程度ヨーロッパで通用するか興味のあるところである。
なお私は今回は地方でのコンサートであることから、演奏中に袋をガサガサさせながら飴を出す婆さん、演奏中にいびきをかく爺さん、さらに楽章の度に起こる拍手なんて光景も覚悟していたのであるが、そのような光景は全くなかった。それどころか都会の大ホールで出没するフラブラ馬鹿なんかがいない分、むしろコンサートマナーは良い方であった。これには私は加東市の方々を見くびっていたとお詫びしたくなった次第。
演奏会終了後にはデュメイのサイン会があったので、私もミーハーしてプログラムにしっかりとデュメイのサインを頂いて帰ってきたのである。
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