展覧会遠征 大阪編8
今回はライブに絡めて、今まで未訪問の美術館を訪問する。
尼崎でJR東西線に乗り換えると目指すは大阪城北詰。目的地はここにある藤田美術館。明治時代の実業家・藤田傳三郎が収集した古美術品を展示した美術館である。古美術と言うことで茶道具などが中心となるので、茶道具に興味がなかった私は敬遠していたのだが、近年になって「へうげもの」の影響で突然に茶道具の良さに目覚めた(私も結構単純な人間である)ことから訪問する気になった次第。
この美術館があるのは元々は藤田邸のあったところらしいが、邸宅自体は大阪大空襲で焼失したのだとか。しかし幸いにも蔵が残ったので、これを改装して展示室にしているとのことである。
「組むたのしみ」藤田美術館で6/14まで
左 この蔵の中が展示室 中央 表にある多宝塔 右 庭園 季節に応じて茶会では様々な道具を選んで組み合わせる。そのような茶の湯のもてなしを意識した展示を行う。
掛け軸から茶碗に茶道具一式などが組み合わされているのだが、それらが組み合わせによってそれぞれ個性を発揮するのが面白い。なお私的には黒楽茶碗が好きなのだが、本展展示品では茶入れに目を惹かれる逸品が多かった。また竹を切っただけの花入れでも、よく見ると様々な風景があるということを改めて感じた。
私自身、茶道具でこれだけ楽しめるとは意外だった。何か本格的に目覚めたか?
今日のライブ会場はザ・シンフォニーホールなので、東西線で新福島まで移動する。今日のライブは日本センチュリー交響楽団と関西フィルハーモニー管弦楽団の合同コンサート。一つのコンサートで二つのオーケストラを聴けるという「一粒で二度美味しい」コンサートである。ちなみに来月にはフェスティバルホールで関西四大オケ揃い踏みの「一粒で四度美味しい」コンサートも開催されるのだが、そちらは平日ということもあって残念ながら行く予定はない。
やはりライブの前に腹ごしらえはしておきたい。福島駅近くの「ひまわり食堂」で昼食を摂ることにする。注文したのは「ビフカツ定食(1000円)」。
コスト面からも肉は一枚物ではなくて、小さいものの寄せ集めのようだ。ただ揚がり具合も良くてなかなかうまい。典型的なランチ使いの店というところ。大阪の繁華街はこの手の店が多い。
昼食を終えるとホールに入場する。今回の席もあまり高い席ではないので、二階席の最後列という場所。ステージはかなり遠い。ただ前回のようなステージを左後ろから見下ろすような席ではないので、ステージ全体が見えている。
飯森範親&日本センチュリー × 藤岡幸夫&関西フィル 大坂春の陣 2015
[指揮]飯森範親(日本センチュリー首席指揮者)
[管弦楽]日本センチュリー交響楽団
[指揮]藤岡幸夫(関西フィル首席指揮者)
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団
≪飯森&日本センチュリー≫
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版) (ピアノ:法貴彩子)
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
≪藤岡&関西フィル≫
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
日本センチュリーはアンサンブルはなかなか良いと感じたが、やや弦が非力であることは否定できない(と言うか、メンツが不足してないか?)。飯盛の指揮はいわゆる「熱い」指揮であり、ペトルーシュカではめくるめくサウンドを、運命では激しい情念を叩きつけるといったタイプの演奏である。
一方の関西フィルはアンサンブルに関してはさらに1ランク上であると感じた。弦と管のバランスも良く、全体的にレベルが高い。藤岡の指揮ぶりについては、適度に抑制のかかったタイプの指揮だが、一方で歌わせるところは徹底的に歌わせる。田園は私はやや冗長な印象を持っている曲だが、その田園の二楽章でこれだけ聴かされのは初めてだ。熱狂させるタイプの指揮ではないが、タップリと聴かせてくれる指揮である。
前回に聴いた時に薄々感じていたが、関西フィルは私が思っていたよりもうまいオケのようである。なかなかに良い音色を出している。その割にはこのオケは関西でも知名度はそう高くないのはなぜなんだろう?
さすがにこれだけの内容で、しかもオーケストラ交代の時の休憩時間が30分もあったから、トータルで公演時間は3時間半ほどであった。なかなかの長丁場で少々疲れもしたが、気分的にはかなり充実したのである。
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