展覧会遠征 西宮編3
先日は関西フィルのコンサートに出かけたが、今日はPACのコンサートに出向くことにする。このコンサートは以前にチケットを手配しようとした時には「完売」となっていたのだが、直前になって再チェックすると空席が出来ていた次第。しかもかなり良い席が確保できた。多分、会員か何かのキャンセルでも出たのではないかと思われる。
西宮北口には13時頃到着。開演は15時なのでまだ時間に余裕がある。この間を利用して近くの美術館を訪問する。目的の美術館はここから今津線で二駅先の住宅地の中にある。
「春期展 墨美」頴川美術館で3/29まで水墨画作品を集めた展覧会。展示作には長沢芦雪のものなどもあるが、印象に残ったのは山本梅逸の作品。墨は五色などと言うが、黒の濃淡だけであらゆる色彩を描き分けられるというのが墨絵の奥深い点である。
なおこの館の代表作としては、重文に指定されている「赤楽茶碗」があるが、これがなかなかにドッシリとした渋い逸品。なかなかに見応えがある。
美術館の見学を終えると昼食を摂ることにする。近くをプラプラすると「カレーの市民アルバ」なるカレー店があったので、ここでビーフカレー大盛り(600円)を昼食に摂る。
奇妙な名前の店であるが、「カレーの市民」は国立西洋美術館にあるロダンの彫刻「カレーの市民」のパロディだろう。百年戦争でのフランスの港・カレーが包囲されたカレー包囲戦での出来事にちなんだ像で、包囲戦の中で降伏を余儀なくされたカレー市民の中から、6人が処刑されることを覚悟で出頭した英雄的行為を描いている。ただしロダンの像は彼らを英雄としてでなく、包囲戦の中で飢餓で疲れ切ったリアルな人物像として描いたので、市民の間では賛否が分かれたとか。
国立西洋美術館にある「カレーの市民」像
なお変な名前はともかくとして、カレー自体は極めてオーソドックスなうまいカレーである。私は時間の関係でビーフカレーを注文したが、見ていたら人気メニューはカツカレーのようである。
昼食を終えると今津線で西宮北口に戻って兵庫県立芸術文化センターに移動する。
兵庫芸術文化センター管弦楽団 第77回定期演奏会
指揮 ガエタノ・デスピノーサ
ピアノ リーズ・ドゥ・ラ・サール
管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 op.30
シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 op.43
ロシア及び北欧の大家の作品を二曲。リーズ・ドゥ・ラ・サールのピアノはかなりダイナミックで力強いのが特徴。ただ力強いのが行きすぎて、ともすれば粗っぽいようにも聞こえた。この曲は激しい中にも叙情を秘めた曲だと思われるのだが、繊細な叙情性を奏でるというタイプの演奏ではなかったように感じられた。またホールの音響が悪いためにピアノの音色がどうしても痩せて聞こえてしまうのも不利に働いている。
若手のイケメンハゲ指揮者・デスピノーサの指揮はなかなかに聞かせる力の入ったもの。二曲目のシベリウスは思わず唸らせられるような熱演であった。オーケストラも弦を中心にまとまりが良く、「熱い」シベリウスを奏でてくれた。
これで今日の予定は終了、自宅に戻ることにしたのである。
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