展覧会遠征 神戸編12
先日、神戸への出張の仕事後に兵庫県立美術館に立ち寄った。
「フェルディナント・ホドラー展」 兵庫県立美術館で4/5までスイスの国民画家とまで言われているというホドラーについて、国内では40年ぶりの回顧展。
ホドラーの活躍した19世紀末から20世紀にかけては、ヨーロッパでは象徴主義が勃興した時期であり、ホドラーもその影響を受けているという。初期の作品は世紀末的退廃ムードを受けてか陰鬱で不安な色彩を帯びた絵画が中心であったが、途中からそれがガラリと転換する。色彩は明るく華やかなものとなり、彼の絵画の特徴と言える「リズム」が画面に溢れるようになる。
彼の作品は近代舞踏にも影響を与えていると言うが、絵画上の各キャラクターの動作がそれぞれ連携して一つの動きの流れのようなものが画面に現れているのである。これが画面全体に調和感を醸し出している。荒々しくも見える描き方に関わらず、画面全体が落ち着いて見えるのはこの調和によるためだろう。
一方、彼は初期から風景画も手がけているのだが、こちらについては初期の写実的な画風が、段々と抽象画に寄って行っているのがまた特徴的である。晩年に至ると画面が極限までに簡略化され、最早そもそも何を描いているのかが不明になってきている。
作品全体がザクッと描いているように見えて、実はかなり計算ずくで設計されているということが彼の制作の過程からは覗える。彼の絵は決して私の好みのタイプとは言えないが、それにも関わらずどことなく面白味の感じられる作品である。
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