展覧会遠征 長崎編3

 

 この週末は長崎を訪問する計画を立てた。と言っても長崎市自体には特に目的はない。今回は五島列島や的山大島などの離島を訪問することを考えていた。しかしいざ計画実行直前になって計画を根本的に見直さざるを得なくなってくる。大型で超強力な台風19号がこの週末にかけて西日本を直撃する見込みとなったからである。

 

 当初予定は、金曜日に飛行機で長崎に渡り、土曜日はジェットフォイルで五島列島に渡る。日曜日は長崎でレンタカーを調達して平戸からフェリーで的山大島に渡り、平戸周辺で宿泊。翌月曜日は周辺の城郭を拾いながら、長崎空港から帰還というものであった。しかし天気予報によると12日から13日にかけて九州を台風が直撃とのことで、帰りの飛行機が飛ばない可能性がかなり高いと見込まれる。

 

 こうなると一番賢明なのは中止という決断だが、既に航空券をスカイバーゲンで購入している以上、キャンセルとなるとかなりのキャンセル料が発生してしまうという次第。エアバスへの違約金支払いでかなり資金調達に汲々としているスカイマークだが、私としては別にスカイマークを経済支援するべき義理はない。というわけで、とりあえずまだ台風の影響が出ていない金曜日に予定通りに長崎に飛び、台風が九州を直撃する前に12日に鉄道を利用して帰ってくるという計画に急遽変更と相成った。帰りの飛行機についてはもし欠航になれば晴れて全額戻ってくるが、もしスカイマークが強引に飛ばすなら直前キャンセルもやむを得ないところである。後は問題は果たして土曜日に五島列島に渡れるか(さらに言えばそれ以上に帰ってこれるか)なのであるが、もうこれは出たとこ勝負にならざるを得ない。

 

 金曜日は午前中で仕事を終えると神戸空港に移動、空港内で昼食を摂ってから長崎に飛ぶ。出発時刻は予定より20分遅れのいわゆるスカイマーク定時。天気はよいのだが、やはり台風の影響があるのか上空の気流が乱れていて飛行機が結構揺れるのでかなり気持ち悪い。

 

 空港からは高速バスで長崎市内に移動する。目的地である大波止に到着した時には6時過ぎ。あたりが薄暗くなり始めている。さて今回の宿泊ホテルだが、ホテルベルビュー長崎。長崎のホテルの大半が塞がっている中でようやく押さえたホテルである。なぜこんなにホテルが塞がっているのかの理由はこちらに来て初めて知った。どうやら長崎国体があるとのこと。それでいかにも体育会系の団体が飛行機に乗り込んでいたのか。ただこれからの天候を考えると、まともに開催できるのか?

 ホテルベルビュー長崎、手前が文明堂総本店

 ホテルの部屋は非常に見たことがある気がすると思えば、ドーミーインのレイアウトにそっくりである。ドーミーインと違うのは大浴場がないこと。そもそも長崎には温泉などがない上に大浴場付きのホテルも非常に少ない。しかも今回はかなり早くから各ホテルが塞がっていて選択の余地は少なかった。その中でこのホテルは、以前に稲佐山周遊のチケットを手配してもらった時のフロントの対応が良かったのが印象に残っていたのが、今回このホテルを選択した理由。

 長崎名物角煮マンを頂きながらフラフラ

 ホテルの部屋に荷物を置くと夕食に出ることにする。今までと違ったところでという気もあったが、面倒になったので結局は中華街に向かうことにする。しかし今日は土曜日のせいか休みの店が多い。結局はいつものように京華園に入店しちゃんぽんと炒飯を頼む。例によってこれがうまいのだが、それにしても私も工夫がない・・・。

 夕食を済ませると散歩がてらにプラプラと徒歩でホテルに戻る。ホテルに戻ると入浴。ここのユニットバスは浴槽がやや大きめだとは思うが、それでもやはり大浴場がないのは寂しい。

 

 入浴を終えると夜食を頂きながらテレビを見てマッタリ。この夜はこうしてふけていく。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は6時前に起床。今日は朝7時40分発のジェットフォイルを予約している。これで五島に渡り、昼の便で長崎に帰ってくる予定。朝の便は問題なく出航するようだが、問題は帰りの便。どうなるかは天候次第だという。ただ最悪でもフェリーまで止まるということはないんじゃないかとの話。結局は出たとこ勝負である。

 

 朝の長崎は天候は曇ってはいるものの荒れているという状況では全くなく、風も大してない。台風は沖縄手前でゆっくりと北上しているそうなので、そのまま状況が変化しないことを祈るのみ。気になるのはかなり風が強い台風であるということ。海上の荒れはもろに風が影響するだけに。目下のところ、沖縄周辺はかなり荒れている模様。

 ジェットフォイル

 さすがに内海の長崎港内は至って平穏である。長崎港から外洋に出るとややうねりがあるようであるが、伊王島を抜けた最初の頃は特に航行に支障が出そうなレベルではない。しかし五島に近づくにつれて状況が変化する。波頭が白く泡立ち始め、船が上下に激しく揺れ始める。また波の直撃を避けるためか、右に左にと細かい航路の修正が多くなる。はっきり言って気持ち悪くて仕方ない。途中で酔いそうになる。

最初は比較的穏やかだった海が次第にうねりだして波頭が白く泡立ち始める

 ヨレヨレになりながら、船は福江港に到着する。降り立った福江港は台風が来ているとは思えないほどの晴天なのだが、明らかに風は強い。これは帰りの船が運行されるかどうかが非常に気がかりなところだ。場合によっては帰りはジェットフォイルではなくてフェリーに切り替えた方が良いかもしれない。

 福江港に到着

 とりあえずは急いでここに来た目的であるところの「石田城」を目指す。石田城は幕末の1863年に福江藩当主の五島盛徳が異国船の来訪に備えて、幕府の命で建造した城であり、北海道の松前城と共に幕末になって建造された最後の和式の城郭である。

現地案内看板より

 福江港から歩くこと数分で石田城の石垣が目に入る。想像していたよりも随分立派な石垣であり、一気にテンションが上がる。

左 正面に石田城が見えてくる  中央 表門  右 枡形構造を取っている

 右手に進むと二の丸に当たると思われる位置になんちゃって天守のような建物が見えてくるが、これは五島市立図書館と五島観光歴史資料館。観光歴史資料館は民俗史料館兼科学博物館のような施設で、私の訪問時には一階で恐竜展を、二階と三階の常設展示は五島の歴史と風俗を紹介。歴史展示についてはキリスト教文化についての内容が多い。

左 これは図書館  中央 これが観光歴史資料館  右 内部では恐竜展開催中

 歴史資料館の裏手からは本丸の石垣が間近に見えるが、この石垣が角の部分を除いては野面積みの石垣。水はけなどの点からあえて野面積みを採用したのだろうか。そういう点では実戦を意識した城と感じられる。

左 そこに見えるのが本丸の石垣  中央 ここにはかつて橋があったらしい  右 野面積みの石垣である

 石田城は基本的に水城であり、かつてはかなり幅広い堀に囲われていたと思われるが、現在はその面影が残るのは正面に当たる城の東側のみ。南側と西側は堀跡は細い水路になってしまっており、北側に至っては全く堀が残っていない。また本丸は高校の敷地になっており、二の丸内も先ほどの図書館、歴史資料館にさらに文化会館、幼稚園、高校のグランドなどになっていて、残存する建物などは全くない。

城の東側の堀が一番立派

左 東南角にある台場  中央 南側の堀はほとんど残っていない  右 ここは本来は堀のはず

 ただ石垣などはかなりの部分が残っており、かつての本丸周囲にも堀が残っている。私の訪問時は休日のクラブ活動か、ブラスバンドの練習の音が常に聞こえてきていた。また生徒は観光客に慣れているのか、向こうから挨拶をしてくる。

左 西側の門  中央 正面に見える高校が本丸  右 本丸西の入口

左 本丸堀  中央 内部には城跡碑が  右 本丸北東隅の櫓跡

左 本丸大手口  中央 そこから出て本丸の堀  右 先ほどの西の入口の石橋

 二の丸の北西に五島氏庭園があるのだが、残念ながら私の訪問時には工事中とのことで締め切られていた。この奥に蹴出門が残存しているが、この辺りが最も城郭らしい部分。

西側の門を出て、石垣沿いに五島氏庭園に向かうが残念ながら庭園は工事中

左 さらに進んだ先にある蹴出門  中央・右 立派な門で実に絵になる

 石田城の見学を終えると近くにある武家屋敷街の見学に向かう。武家屋敷街は往年の門構えや石塀などが残っていて風情がある。ここの石塀の特徴は石積みの一番上に丸石を積み上げていること。これは石塀を賊が乗り越えようとした時に石積みが崩れて音が立つので分かるという仕掛けらしい。またいざという時には武器にもなり得るとか。

左 武家屋敷街  中央 この丸石が最大の特徴  右 こういう仕掛けだそうです

 ただ石塀や門構えには往時の風情は残るものの、その奥の住宅は完全に現代的なものだったり、空き地になってしまっていたりなどで残念ながら往時のままの住宅はほとんどない模様だ。台風などにさらされることも多い場所だし、往時の建物を残すのは無理だったか。

 石田城と城下町の見学はざっと2時間程度で終了した。それにしても暑い。カンカン照りである。やや風が強いことを除けば台風接近を思わせるような兆候は微塵もない。ただ現在も確実に海は荒れているはずである。現在11時。帰りのジェットフォイルが出るのが13時40分で、次のフェリーが出るのは11時45分。今から港に戻ると余裕でフェリーの出航時間に間に合う。わざわざジェットフォイルの出航時間まで待つ気はしないし、何よりもそれまで待っていたら天候がどうなるか分かったものではない。さらに言えば、再びあの揺れを体験するのは御免である。フェリーは離島に寄り道するので、到着時間はジェットフォイルよりも1時間後になるが、そもそも長崎に急いで帰っても予定は何もない。フェリーに振り替えることにして港に向かう。

 

 歩いてみると港は思っていたよりも近い。まだまだ時間に余裕があるので昼食を摂ることにする。港近くに「御食事処うま亭」なる飲食店があったのでそこに入店する。注文したのは「五島うどん定食(850円)」

 五島うどんは手延べのものを使用していると言うが、それなら折角のうどんをもっとコシのある状態でゆでて欲しいところ。あまりにうどんが柔らかすぎる。それがいささか残念。

 昼食を終えると港へ。ジェットフォイルのチケットをフェリーのチケットに振り替えてもらったことで3000円ほどが戻ってくる。フェリーは全座席が2等で、一部が2等の指定という構成。2等席はカーペット席で雑魚寝である。

 船室は雑魚寝席

 福江港を出たフェリーは奈留島、奈良尾に立ち寄ってから長崎に向かう。フェリーが五島の周辺を航行しているうちはよいが、外洋に出た途端に激しく揺れ始める。それまではNexus7でマンガを読んでいたのだが、こうなると横になって半分眠りながらグッタリしているだけ。体を起こすと酔いそうである。回りを見るとほとんどの乗客が同様の状況。それまで見かけた船内を歩き回っていた乗客が皆無となっている。結局は伊王島辺りで波が穏やかになるまでこの調子で過ごすことに。

 五島を後にする

 ようやく長崎港に到着した時には4時頃。結局昼のジェットフォイルが運行されたのかどうかは定かではないが、夕方の便は運休になったようである。フェリーも明日は全便欠航の模様。とりあえず五島から帰ってこれてやれやれである。

 

 長崎に戻ってくるとまずは美術館に立ち寄る。


「テオ・ヤンセン展」 長崎県美術館で12/7まで

  

 テオ・ヤンセンの作品は、プラスチックチューブを用いて風力をエネルギーにまるで生物のように動く。彼の作品はタンパク質で構成される生物をモデルにした、プラスチックを構成素材にした生物なのだという。

 作品は非常に精巧に構成されており、芸術作品に触れるというよりは、精巧な機械に触れるという印象。その辺りが非常に興味深い。

 作品のデモンストレーション中


 ミュージアムショップには、なぜか「大人の科学」シリーズがよく見ると「テオ・ヤンセン式風力ロボット」だとか。この世界ではかなりの有名人なのか。

 大人の科学シリーズが

 美術館見学後は夕食を摂るためにプラプラ。今日夕食を摂る店は実は昨日の内に目を付けていたのだが、今日訪ねてみるとなんと日曜日で休み。ガックリである。他の店も探したが、まだ夕食には若干早いのか開店していない店が多い。やむなく一旦ホテルに戻ることにする。ただしホテルに戻る前にホテル隣の文明堂総本家に立ち寄ってみやげのカステラを購入する。

 文明堂総本家

 ホテルに戻ってから少し調査するが、どうもホテルの周辺にはめぼしい店がない。今日は洋食の気分だったのだが、どうも長崎にはこれという洋食屋が見あたらない。そこでとりあえず出たとこ勝負で自分の勘に頼ろうと繁華街の方に向けて歩いていくことにする。

 

 結局は思案橋の辺りまで歩いていくことになる。この辺りはいかにもの店が多いのだが、なぜか私的にはビビッと来る店がない。その内に福砂屋本店に到着してしまったので、みやげにカステラを一本。今回の土産は長崎カステラの双璧揃い踏みということになってしまった。

繁華街をうろつくうちに、変な交番と坂本龍馬と福砂屋本店に出くわした

 長崎の繁華街をうろつくことしばし、もう面倒になりけた頃にようやくビビッと感じる店に遭遇する。見つけたのは「はくしか」。とりあえず「クジラの三点盛り」「うなぎの白焼き」「おにぎり」を注文する。

 クジラの三点盛りはベーコンなどどこかで見たことのあるようなクジラのおつまみ三種。そのままだと今一つ味がないのだが、ポン酢をつけていただくとなかなか。うまかったのがうなぎの白焼き。やや甘めのタレとわさびを少しつけていただくと絶妙。そこでさらに「クジラカツ」「カラスミの出汁茶漬け」を追加注文する。

  

 クジラカツがうまい。まるでビフカツのようなのだが、下手なビフカツよりもうまい。和牛はともかく、少なくともアメリカ牛やオージーよりはうまい。この一点で今日の洋食を食べたかったという気持ちを満足させることが出来た。これはアメリカやオーストラリアの食肉業界が宗教対立や人種差別意識を煽ってまで捕鯨を中止させようとするはずである。ちなみに彼らのシンパは海外においてはテロで捕鯨の妨害をする一方、日本国内では「クジラなんてまずくて食えたものではない」とのデマを広げることに躍起になっている。今改めて「くたばれ!シーシェパード!」。

  

 さらに驚いたのが出汁茶漬け。わさびを少し加えて一口頂いた途端に、思わず「何これ!?」という声が出る。今まで経験したことのないタイプの旨さ。濃厚にして豊かな味で、思わずガツガツと食ってしまう。

 

 以上につきだしとウーロン茶で支払いは5012円。少々予算オーバー気味だったが、帰りの船賃で浮いた3000円は夕食に突っ込むつもりだったからまあOKか。

 

 腹一杯になってホテルに戻ると入浴。このホテルは悪いホテルではないのだが(特に全館禁煙というのが実に良い)、大浴場がないことだけが非常に寂しい。やはり風呂には手足を伸ばして入りたい。

 

 この日は福江と長崎でさんざん歩き回ったせいで2万2千歩越え。両足を中心に体にかなりのダメージがあるので早めに就寝する。なお大荒れのフェリーは予想以上に心身を疲労させていたようで、ベッドで横になった途端に体が上下に揺れるような錯覚を感じていることに気づいたのである。まだ目眩が残っていたようだ。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は6時前に自動的に起床する。体が目覚めてきて各所のスイッチが入ると同時に肩や両足に痛みが現れる。特に両足のだるさがひどい。昨日歩きすぎたダメージが確実にあるようだ。手早く朝風呂を浴びると朝食、7時半頃にはチェックアウトする。

 

 まだ雨は降ってきていないが空模様は極めて怪しく、いかにも風雲急を告げてきた感がある。私は8時29分発のかもめの指定席を取っているが、早々に長崎からの撤退をもくろむ者が少なくないのか、指定席はかなり混雑している模様である。

 特急つばめ

 特急かもめに乗車するのは久しぶりだが、路盤が悪いのかよく揺れるしシートは狭いし、あまり快適とは言い難い列車である。

 シート自体は悪くはないのだがやや狭い

 かもめに揺られることしばし、やがて沿線風景が清々しいまでの田圃となると佐賀である。佐賀駅で途中下車する。わざわざ佐賀に立ち寄った理由は1つ。昨日、たまたまネットで佐賀県立美術館で「岡田三郎助展」が開催されると聞いたため。岡田三郎助は佐賀出身なので、地元の大家として力を入れた企画のようだ。岡田三郎助は私の好きな画家の一人である。これは途中下車してでも立ち寄らないとと思った次第。

 一面の清々しいまでの田んぼ

 佐賀駅で降りるとロッカーにキャリーを預け、美術館までタクシーで移動する。バスがあればバスを使いたかったところだが、とにかくこのバスの本数が少ないのが難点。

 


「岡田三郎助展」 佐賀県立美術館で11/16まで

  

 佐賀出身の洋画家で、久米圭一郎、黒田清輝らと共に白馬会創立に参加し、さらには東京美術学校の助教授に抜擢されて多くの後継の画家たちにも影響を与えた大家の展覧会である。

 フランスに留学した彼は、黒田も師事したことがあるラファエル・コランの元で絵画を学ぶが、コランの柔らかくて上品な色調を最も忠実に受け継いだのが彼だと言われている。

 実際に彼の作品は明るく優美でありながら非常に上品なものである。また女性の肌を描いた精緻な筆致は驚愕の限りである。

 本展では彼が収集していた布類も展示されており、それらをモデルが着用して描いた作品なども展示されている。彼が布類の染色に興味を示したのは、彼自身の色彩に対するこだわりを反映している。

 とにかく文句なしに美しいのが彼の絵画である。その彼の作品を大量に見学できるという非常に希有な機会であった。


 なかなかに堪能した。実に見応えのある展覧会だった。途中下車の甲斐があったというものである。そもそも帰路の変更がなかったらここに立ち寄ることはなかったのだからついていたと言うべきだろう。

 

 美術館の後は佐賀城に立ち寄る。佐賀城は既に訪問済みなので、あえて再訪するべき理由もないのだが、佐賀城では大閑叟展が開催中で岡田三郎助展の半券を見せれば粗品がもらえるとのこと。閑叟とは10代佐賀藩主の鍋島直正のことで、幕末に大改革を断行して佐賀藩を立て直し、日本近代化に貢献する多くの人材を育成した名君として知られる人物である。興味がないわけではないが、実際は粗品につられる貧乏人の悲しい習性。なおもらった粗品は鍋島直正のクリアファイル。うーん、かなりマニアック。

 佐賀城本丸御殿

 佐賀城の本丸御殿を一回りすると駅に移動する。もうかなり風が強くなってきていてやばい雰囲気。しかも気がついたら予約していた列車の時間に余裕がない。しかし佐賀テレビ局前のバス停の時刻表を見たがまだ大分先のよう。さらに先の県庁前ならもう少しバスがあるだろうと道路を急いでいたところ、たまたまタクシーが通りかかるので咄嗟に手を挙げる。佐賀のタクシーは佐賀駅を起点にして各地に客を送った後、基本的に駅へは空車で回送運転の場合が多いようだ。ついていた。

 

 急いで荷物を回収すると、自販機でe5489の切符を受け取る。何やら九州新幹線では架線に飛来物があったせいでダイヤが乱れているとか。台風の影響がそろそろ出始めているようである。なお私の乗るかもめは3分遅れて到着。遅れを取り戻そうとしている上に既に風が強くなってきているのでよく揺れる。しかも車両が揺れるとかもめの革張りシートは結構滑るので尻の位置が定まらない。何やら難儀な車両である。

 

 ようやく博多に到着。博多はつい最近に訪れたところなので別に用事はない。ここでは乗り換えついでに昼食を摂ろうと考えた。しかし博多駅の飲食店は大混雑でどこも長蛇の列。諦めて弁当を買っていくことにする。併せて博多通りもんも補充しておく。

 結局はこれが昼食

 エクスプレス予約の特急券を購入しようとみどりの窓口に行けば、ここも大混雑の長蛇の列である。私は自動券売機で手続きできるので待たなくて良かったが、窓口だと果たしてどれだけ待たされるやら。これがあるから私はエクスプレス予約を利用するのだが、駅によっては自動券売機の台数がなくてそこで待たされるということがたまにあるので注意。

 みどりの窓口もこのパニック

 九州新幹線が一時運休になっていた影響で、新幹線のダイヤの一部に乱れがあるようだが、私が乗車するさくらは時間通りに到着する。乗車率は比較的高いようだ。車内で弁当頂くとウツラウツラする。

 

 このまま帰っても良かったのだが、最後にもう一カ所だけ立ち寄る。岡山で途中下車。台風の影響など全く感じられない。キャリーをロッカーに入れるとバスで県立美術館を目指す・・・つもりだったのだが、駅前ロータリーの構造の悪さと案内のなさでバス停が分からずにウロウロする羽目に。さすがに岡山ダンジョン、侮れない・・・。

 


「光琳を慕う 中村芳中展」 岡山県立美術館で11/3まで

 江戸時代後期に大坂で活躍した中村芳中は、尾形光琳に傾倒してその影響を受けた作品を描いている。その技法の特徴はたらし込みの多用で、あらゆるものをたらし込みを使用した独特なタッチで描いている。

 作品の印象としては、とにかく「楽しげ」というのが一番に感じられる。ごちゃごちゃと細かいことを言わずに非常に楽しそうに描いていることが作品からあふれ出ているのである。だから見る方も細かいことは考えずににんまりと楽しめば良いという気がしてくる。そういう点で、妙に気持ちの良かった展覧会である。


 これで岡山での予定は終了、追加の土産物としてきび団子を買い求めて帰宅することにする。岡山と言えばきび団子に桃太郎。ちなみに現在の桃太郎は地獄の鬼に仕事を斡旋されて、桃源郷で色ボケ神獣のツッコミ役をやっている模様。

 岡山のご当地ヒーロー

 結局は当初予定を大幅に削減して早々に引き上げてくる羽目になってしまった。幸いにして帰宅後にスカイマーク便の欠航が決定され、経済的被害は最小に収まることになった。ただ今回中止した後半プランは、いずれ日を改めて再実行を行う必要がある。まあ来年度になるだろうか。

 長崎カステラの双璧

 なお帰宅後は文明堂と福砂屋のカステラ食べ比べと相成ったが、文明堂はしっとり、福砂屋はふんわりという印象で、我が家ではざらめの食感が香ばしい福砂屋の方が好みに合うという結果に相成った次第。

 

  

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