展覧会遠征 京都編8

 

 先週は大阪の美術館(と言うよりも百貨店の方が正しいかもしれないが)を回ったが、この週末は残った京都の美術館の訪問である。

 

 最初の目的地はアサヒビールの大山崎山荘美術館。ここを訪問するのは久しぶりであるが、相変わらず駅からの坂道はキツい。なおこの建物はいつも見るたびになぜかジブリのアニメを連想してしまう。

 いきなり坂道がキツい


「野口哲哉展−野口哲哉の武者分類図鑑−」大山崎山荘美術館で7/27まで

 独特の感性で鎧武者をモチーフとした作品を制作している野口哲哉氏の展覧会。展示される武者人形は、どこかにあるような実はどこにも存在しないという、架空と現実が入り交じったパラレルワールドのような世界になっている。

 ヘッドフォンで音楽を聴く武者やタケコプターで飛行している武者など、かなりぶっ飛んだ世界ではあるのだが、そこに現れている人間らしい怠惰な表情が妙にリアルだったりする。これを見ていると、戦国の武者だって常に命を張っているだけでなく、「あー、ダリィなぁ・・・」なんて感じるような時もあっただろうなんてことが頭をよぎる。一種人類普遍の悲哀のようなものが現れているとも言えるだろう。

 全くでたらめの世界でありながら、甲冑の表現なんかは実はかなりリアルでよく研究されていたりする。その徹底ぶりが楽しめる作品となって興味をひく。


 もう既に昼を回っているのだが、今日は朝食も摂らずに飛んできたので腹が減った。次の目的地に行く前に昼食を摂る店を物色していたら、駅前に「レストラウンジHIRO」なる店を発見したので昼食を摂ることにする。注文したのはオーソドックスに「カツ丼(850円)」

 取り立てて特徴もない普通にうまいカツ丼である。ただ若干ボリュームは少なめ。ランチメニューが多々あるので、美術館ついでに昼食を摂るのにちょうど良さそうな店である。

 昼食を済ませると阪急で京都まで移動。次の目的地である京都文化博物館へ。しかし腹が減りすぎていた上に昼食がやや軽かったのか、なぜかもう一度空腹を感じてしまう。結局は文化博物館に入館する前にその手前の「季節家」「ステーキ丼(860円)」をガッツリと食べることに。ダイエットが云々なんて言っているのに何をしているのやら・・・。

 以前にここに来た時に、ここのランチでおすすめは多分ステーキ丼だろうと感じたのだが、それは正解だった。がっちりと食い応えがあってCPも上々。

 今度は食べ過ぎでやや腹が重くなったが、そのまま美術館に入館する。


「黒田清輝展」京都文化博物館で7/21まで

 日本洋画界の巨匠、黒田清輝の代表作を並べた展覧会。

 目を惹くのは有名な「湖畔」に「知・感・情」といったところ。ただこの辺りは既に何度も目にしている。今回目新しいのは、「知・感・情」について赤外線画像などで修正の跡を展示しているところ。黒田がかなり試行錯誤しながらモデルのスタイルなどを決定していることが覗える。

 初期の頃のスケッチから渡欧時代の作品など展示は様々だが、黒田もご多分に漏れず印象派の影響を強烈に受けたことを匂わせる。その一方で師匠であるコランに近い淡い色彩の絵画まであり、画風についても試行錯誤していたことが覗える。時折、全く違った画風の作品が入り交じっていたりして、やや違和感を感じる部分もあったりした。こういう巨匠の様々な試みの跡を覗えるのは面白い。


 予定では京都国立近代美術館の「上村松篁展」にも立ち寄りたかったのだが、大山崎山荘美術館などで想定以上に時間を食い、モタモタしているうちに夕方になってしまってタイムアップになってしまった。まあ上村松篁の作品については松柏美術館などでも諸々目にしているので良しとするか。それに私は松篁の花鳥画には松園の美人画ほどには興味を感じないし。

 

 結局はこのまま家路についたのであった。それにしても暑さでかなり疲れた。今日はそう特別に暑い日というわけでもなかったろうに、やはり夏場の京都はかなり過酷であることを感じずにはいられなかったのである。

 

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