展覧会遠征 姫路編6
仕事が洒落にならない状況になってきているのと、先週からの遠征疲れが相まって完全にダウンしてしまっていたこの週末だが、土曜日丸一日寝込んでいたら、日曜日になるとムクムクと行動力が沸き上がってきた。とは言っても今から遠出する時間も体力も財力もない。そこで近場を回ることにした。
まず頭に浮かんだのは、以前の恒屋城訪問の際に入浴できなかった塩田温泉。そこでまずは塩田温泉上山旅館に直行する。
露天風呂と大浴場内風呂があるが、露天風呂は完全に離れになっていて服を着て現地まで行く形式。普通の山の中に風呂があるというような非常に開放感がある浴槽に温泉が注ぎ込まれている。源泉が17度なので加温・循環ありで塩素殺菌もあるよう。露天風呂の方は若干塩素の臭いがある。
内風呂は檜風呂。塩素はこちらの方が少ないようで、かすかに硫黄臭が感じられる。泉質は含二酸化炭素−ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉とのこと。塩田温泉とは呼ぶが、厳密に言うと鉱泉である。鉱泉は自噴しているとのことで、もう少し深く掘れば温泉が出るのでは(基本的に地下水は深いほど温度が上がる)との勧めもあったらしいが、それで泉質が変わると意味がないと頑なに現在の形式を守ってきたらしい。
肌にしっとりと馴染む柔らかいお湯。加熱しているので炭酸の泡つきはないが、温度の割には温まる湯である。湯温がやや低めなのでじっくりと入れて具合が良い。
温泉でゆったりとくつろぐと昼食を摂りに移動することにする。今日の昼食に目を付けていたのはここからさらに北上した夢前夢工房にある「農家レストラン夢工房」。有機栽培の野菜などを使用したレストラン。そばが中心のようだが、ランチのコースメニューもある。私が注文したのはランチメニューの「夢咲ランチコース(2050円)」。
思わず「デザートのプリン?」と首をかしげるのは前菜の空豆のムース。これを上に乗っている追いがつおのジェレと混ぜて食べると絶品。空豆の味がかなりキツいのだが、それが決して嫌みにはならないのが絶妙。なお付け合わせている明太子と芋がやけにうまい。
彩りも鮮やかな前菜 メインは穴子のフライと野菜。特に驚くのがこの野菜のうまさ。決して野菜好きではない私が純粋にうまいと思うのだから素材が良いのだろう。以前から私は無農薬栽培などの野菜はそもそもの味が全く異なるということを感じているが、明らかにその事例である。トマト嫌いの私がトマトをうまいと感じたのは、今まで数えるほどしかないのだが、今回がその一例。なお添えられているご飯がこれまたうまい。
メインは穴子のフライに野菜の盛り合わせ キャベツのふわふわ焼きはキャベツの多いお好み焼きという趣。これをだし汁につけて食べる。これはメニューとしては少し平凡な印象。さらに冷たいそばが出てくるのだが、これがしっかりしたそばで絶品。またいずれここにそばを食べに来たいと思った。
キャベツのふわふわ焼きと椀子そば デザートは5品盛り合わせ。これがまたうまい。きなこのブラマンジェというのが絶品である。
アイスコーヒー付きのデザート なかなかに堪能した。ちょっと贅沢目のランチであるが、満足度は高い。また明らかにカロリーは低めだと思うので女性には良いだろう。ガッツリ食べたい男性にはやや物足りないかもしれないが、私がこれで特に足りないという感じがなかったのだから(腹8分目ぐらいではあるが)、意外にボリュームはあるようにも思われる。
昼食を堪能した後は売店で黒糖わらび餅を購入して次の目的地を目指す。
今回出てきたのは前回入り損ねた温泉に入るということも目的だが、実はもう一つ大きな目的がある。それは外壁修理がなった新装姫路城を見学しようというもの。
姫路城の駐車場に車を停めるとすぐそこに姫路城が見える。思わず絶句。真っ白である。白くなりすぎなほどに白くなったと噂は聞いていたが、ここまで真っ白とは。壁が白いのは当然としてなぜか屋根まで白い。以前の姫路城とはまるで異なった色彩になっている。おかげで天守閣だけが周辺の建造物からも浮いてしまっている。しかも写真を撮ったら天守閣だけが白飛びしているように写ってしまう。
以前の姿(右)と比較するとあからさまに真っ白である 天守をグルリと南から北まで周回して見学。しかしどうしても一部だけが白飛びしているような違和感は拭えない。これは馴染めるまでにかなり時間がかかりそうだ。
見る角度によって姿を変える姫路城 相変わらず絵にはなるが、白すぎて白飛びしているように見える 姫路城を見学したついでに近くの美術館を訪れる。
「聖コージの誘惑 スズキコージの絵本原始力展」姫路市立美術館で8/31まで
絵本原画と聞いていたので、のほほんとした作品をイメージしていたのだが、そんな私の予想は完全に裏切られた。とにかく凄まじいまでの色彩の爆発。色彩がイメージを物語るという印象で、この色彩の使い方はシャガールのようにも思われ、また何となくラテンアートを思わせるような強烈なパワーが感じられる。
正直なところ「強烈」という一言でしか表現のしようがない。インパクトの点では特A級である。それでいて決して不快な絵画ではないというところがうまい。私個人の感想としては、絵本としてはどうなんだろうという疑問は少々なくもないが、芸術としては完全に正解である。
これで本遠征の全予定は終了。帰途につくことになったのである。
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