展覧会遠征 香寺編
GWにかなりハードな遠征をした挙げ句、ここのところの相次ぐ東京出張で私は完全に疲弊してしまっていた。おかげでここのところ目に見えて活動量が低下している状態。しかし実は来週に私は大型遠征を企画しており、そこにはかなり本格的な山城攻略が含まれる予定である。しかしこうなると気に掛かるのが現在の体調。この調子だと来週の登山が危ぶまれる。そこでリハビリを兼ねて手頃な山城に登ろうと思い立った次第。
さて目的地であるが、県内でそう険しくない山城という条件でザクッと調べたところで浮上したのが「恒屋城」。1441年頃に恒屋氏が築城し、1576年に羽柴秀吉によって落城したという中世城郭である。知名度的にはかなり低いものの、山上には中世山城らしい遺構が残っているとのこと。
この山上に見えるのが恒屋城
恒屋城があるのは姫路市北部の旧香寺町地区。姫路バイパスと播但道を乗り継ぎ、県道409号を香寺荘の方に向かって走ると、その向かいにある山が恒屋城である。香寺荘があるのは元々は屋敷だった場所らしい。香寺荘に着く前に道路に案内看板が立っており、それに沿ってかなり狭い道を進むと突き当たりに駐車スペースと登山口がある。
案内看板に従って狭い道を抜けると駐車スペースがある 登山口からは山道を登ることになる。かなり木が茂っている上に道は険しいが、整備は一応されているようであるので足下に不安はない。ただ体の好調の時はこんな道はなんてことないはずなのだが、今は少し登っただけで息切れがしてしまう状態。これは思ったよりも体力が落ちている。
登山道はかなり鬱蒼としているが整備はされている 山道を登ること10分少々ですぐに開けた場所に出る。これは下からも見えていた祠のある曲輪のようである。恒屋城は南の前城と北の後城からなり、後城の方に本郭があるらしい。今到達した曲輪は前城の一番下の曲輪のようだ。ここは弓を打ち下ろすようになっていたようで、説明板が立っていると共に、弓兵のための防御柵が一部復元されている。
左 急に視界が開ける 中央 祠がある 右 弓兵用の防御柵 左 こんな感じで守ったらしい 中央 後にも曲輪に登れる 右 ここに畝状竪堀・・・と言われても この曲輪背後に前城の曲輪が二段ほどあり、その最上段が三の郭らしいが、こちらの見学は帰りにすることにして、まずは本郭のある後城を目指すことにする。ここを回り込むルートの脇に畝状竪堀があるらしいが、藪が深すぎてそれはよく分からなかった。
左 前城裏手の虎口を抜ける 中央 土塁 右 その先には横堀 前城の後方に回り込むと、ここには土塁が築かれている。ちょうどこの土塁上が通路のような構造で、そのまま進むと後城の最前線の二の郭周囲の横堀に突き当たる。
左 横矢掛かりで狙われる 中央 ここを抜けて先に進むと 右 二の郭の虎口に登る 鬱蒼とした二の郭 後城の本郭に上がるにはこの二の郭の横を回り込む必要があるのだが、ここは横矢掛かりになっていて狙い撃ちされる仕組み。
いくつもの曲輪と虎口をくぐり抜けてようやく本郭にたどり着く ここを抜けると二の郭の虎口を抜けて本郭に向かって上がっていくことになる。本郭にたどり着くまでにいくつもの帯曲輪を経由する形になっており、それが悉く本郭への関門になる仕掛け。
本郭 本郭から南を望む 本郭から北を望む 最後の虎口を抜けるとようやく本郭である。ここがちょうど山頂になる。ここからは周囲をグルリと見渡せる絶景の場所。ただそんなに大きな山ではないので、本郭のスペースも決して広くはない。なお穴を掘ったようなへこみがあったので井戸跡かと思えば、これは盗掘跡とのこと。昭和10年頃に城跡に金銀財宝が埋まっているという噂が流れ、その時に盗掘された跡だそうな。いわゆる埋蔵金伝説というやつである。何か出たのだろうか? 金銀財宝ならぬ陶器片ぐらいなら出そうだが。
井戸跡ならぬ盗掘跡
本郭から降りると前城の三の郭に向かう。前城と後城の間の土塁をまっすぐ進むと斜面上で三の郭に登れる。しかし三の郭は完全に藪化していて眺望もなし。そこから回り込むともう一段下に広い帯曲輪がある。ここは一応木が刈られていて眺望もある。なお黒田官兵衛の旗が立っていたことから、NHKの大河ドラマに関連して整備されたのか。まあここも羽柴秀吉に落とされたということは黒田官兵衛と全く無縁ではあるまい。ただ黒田官兵衛絡みで城郭を整備するなら、上月城や利神城をもっと整備して欲しい。特に利神城はあの山上の石垣が崩落してしまう前に早急の整備が必要である。キチンと整備してアピールしたらあの「天空の城」竹田城に匹敵するポテンシャルを秘めている城郭だけにもったいないとしか言いようがない。利神城と平福の町をセットでPRしたらかなり強力な観光資源となるのに・・・。
左 先ほどの土塁を直進 中央 斜面に沿って登る 右 三の郭に出る 左 鬱蒼としている 中央 虎口を通って降りると 右 広い曲輪に出る 下の曲輪 眺望も抜群 恒屋城の見学を終えると汗もかいたことだし帰る前に一風呂浴びていきたい。最初は香寺荘に立ち寄ったのだが、駐車場が満杯で入れない状態。では塩田温泉に立ち寄ろうかと思えば日帰り入浴は3時までとか。仕方ないので雪彦温泉に立ち寄ることにする。
雪彦温泉に向かう
雪彦温泉は雪彦山のキャンプ場のようなところにある山小屋風の温泉。以前に訪問した時はハイキングかキャンプの馬鹿ガキ御一行が浴槽内で水泳大会をやっていて惨憺たるものだったのだが、今回は幸いにして馬鹿ガキ御一行と出くわすことがなかった。
雪彦温泉
泉質はアルカリ単純泉とのことだがヌルヌル感はそう強くない。なおここは以前から露天風呂の方が塩素がキツくて水質が悪かったのだが、湧出量が少ないのかとうとう露天風呂は温泉でなく沸かし湯にしたようである。しかも露天の塩素が強いのは相変わらずなのでこうなると露天の方は入る価値はない。
とりあえずここで汗を流すと、風呂上がりにコーヒー牛乳で一服。さっぱりしたところで家路についたのである。
来週に備えてのリハビリが目的の近距離遠征(言葉としては妙だな)だったのが今回。適当に選んだ目的地だったが、恒屋城は意外に見所のある城郭であった。兵庫県内にはこういったマイナーな城郭はまだまだあるようである。実はこういう地元地域が一番侮れないのかもしれない。
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