展覧会遠征 芦屋編

 

 先週は山城攻略戦となったが、情けないことにその時に痛めた左足首が未だに完治していない。左足を引きずりながらでも歩くことはできるが、これではとても長距離を歩き回ることは不可能。必然的に今週は「近場に車で」ということになった。

 まずは阪神高速で西宮まで。例の高速1000円以来高速の混雑がひどいのだが、なぜかそれには関係ないはずの阪神高速まで今日はひどい混雑である。おかげで目的地に到着するのに異常に時間を費やすことになってしまった。目的地に到着したのは、予定よりも30分以上遅れてである。


「旅 ー作家と巡る場所ー 展」西宮市立大谷美術館で8/2まで

 

 旅によって新たな事物に接することは、新たな知見や感性を引き出すことがある。最近とみにそのことを感じている私であるが、私などよりもさらに感性が敏感であるはずの芸術かならなおさらである。古今東西多くの芸術家が旅によって触発され、多くの芸術作品を生み出している。本展はそのような「旅」に基づいて描かれた絵画を中心として展示した展覧会である。

 とは言うものの、テーマはあまりに漠としているし、展示されている作品については風景画が中心であると言うだけで、作家等には特に脈絡はない。それだけに展覧会自体の印象は薄い。


 美術館の見学を終えた頃には既に昼時。まずは昼食から摂ることにする。実は今回の巡回プランは3通りほど考えており、それぞれに応じて昼食場所を想定していたのだが、今回はその中のプラン1Bを適用することとする。目的地は美術館からそう遠くない(と言っても、車の場合は道路の形態の都合で直行できないのでかなり大回りになるのだが)「達磨亭」に行くことにする。町の洋食屋であるが、この辺りでは珍しく駐車場付きであることも大きなポイント。

 大きな道路の交差点にあります

 店の隣に3台停められる駐車場があるが、店自体がそう大きくないので駐車場はこれで妥当なところ。駐車場に空きがあるかどうかが気がかりだったが、ランチ開始時刻直後ぐらいに訪れたためか駐車場は空いていた。店はこじんまりしており、いかにも町の洋食屋というたたずまいだが、雰囲気は悪くない。

 肉料理と魚料理を選択できるランチコースなどもあるが、今回私が注文したのはビーフカツランチ(2200円)である。

 まずはスープが登場。ポテトの冷たいスープである。悪くはないのだが、私は基本的に冷たいスープはあまり得意ではない。それは牛乳が生の感じがするのと、ポテトの特有の臭みのようなものが冷たいスープでは感じられるから。ここの冷たいスープも残念ながらあまり私の得意なタイプではない。

 さっぱりしたスープです

 次にメインが登場。この店の売りでもあるデミグラスソースがたっぷりかかっている。まずは一切れ。うまい。肉の厚さ加減と言い、火の通り具合と言い、ビーフカツとはこうでないとという出来である。ビーフカツというのはビフテキが衣をかぶっているわけではない。あくまで肉と衣が一体となった料理なのである。だからその一体感を損ねるほど肉が厚すぎても駄目だし、薄すぎると当然ながら肉を食べている感じがしない。また火が通りすぎでパサパサではどうにもならないが、あまりに生焼け過ぎると衣との一体感が阻害されるのである。ここのビーフカツはまさに私が食べたいと思っていたイメージ通りのビーフカツ。またデミグラスソースも個性を主張しすぎず、カツの味を非常に引き立てている。またこれは伏兵のようなものなのだが、付け合わせてあるサラダが意外なほどにうまい。概して野菜のうまい店は料理がうまいのであるが、まさにその原則通り。

  ボリュームもなかなか

 なかなかに満足のいく昼食であった。ただ一点だけ残念な点と言えば、サラダとビフカツをワンプレートに盛ってあるので、野菜の水分で自慢のデミグラスソースがビシャビシャになってしまうこと。サラダは別盛りの方が良いような気がする。なお食後の飲み物にアイスティーを選択したが、これがお冷やでも入ってきそうないかにも安っぽい(だけでなくて小さい)器に入ってきたのはご愛敬にしとこう。

 

 昼食の後は次の目的地へ移動。芦屋の山の手の路地をカーナビを頼りにクネクネと走るが、こういうところではとにかくカーナビが頼りにならない。途中で道を間違えてUターンなどをしながら、ようやく目的地に到着する。目的地は芦屋のお屋敷をそのまま美術館にしたという風情の建物で、建物自体に味わいがある。

 


滴翠美術館

 茶道具を中心として展示した美術館。とは言うものの、私は茶器に関しては全くの素人。なぜか黒茶碗は感性にマッチするのだが、それ以外は特に印象に残らない。


 さて今日は神戸までわざわざ出てきたのは、実は映画を見るためというのが主目的だったりする。既にHAT神戸の109シネマズで午後一番の上映の予約を取っているので、早めに劇場に到着しておくことにする。今日は道路がやけに混雑しているので、もし渋滞で遅れたりしたら目も当てられない。

 現地に到着すると駐車場に車を停め、まずは劇場で予約した入場券を入手。さらに駐車料金無料の手続きをしてから、先にパンフを購入しておく。何とパンフは袋とじになっており、「映画を見終わるまで開けないように」とのこと。とりあえずこれで準備は完了したので、後はその辺りをブラブラしながら上映開始まで時間をつぶし、上映開始の15分ほど前になって劇場に戻ってくると、劇場前に行列ができていて唖然。どうやら前回の上映が終了した後に見終わった観客がグッズ購入のために売店に殺到している模様。パンフを先に購入しておいて正解だったようだ。


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

 

 10年前に空前の大ヒットをしたアニメ作品のリニューアル新シリーズの第二作である。しかし大体前シリーズをそのままなぞった第一作と違い、本作では前シリーズと完全に異なる展開に持って行っている。いきなり冒頭から新キャラの登場には度肝を抜かれるが、従来の主要キャラについても名前のみならずその位置づけが大胆に変更されている場合が存在しており、リニューアルと言うよりは前シリーズのキャラと世界観を流用した新作品と言えるまでに変貌している。カットにおいてもほとんどが「見たことのない場面」ばかりで、完全新作という印象が強い。

 ストーリーにおいては基本は前シリーズに沿っているが、キャラクターの解釈などが異なっており、心理劇の一人芝居に突入してキャラの主体が意味不明になってしまった前シリーズと違い、一般的にキャラクターが分かりやすくなっているという印象を受ける。また作りとしてエンターティーメント志向が強まっているようで、第一作を見た時に感じた「私がエヴァンゲリオンを作ったとしたら、こう作っただろうな」という感覚が本作でさらに強くなったように思われる。


 劇場内はほぼ満席であったが、上映終了後の場内は唖然としたような静けさであった。前シリーズが大ヒットした時に比べると、私の状況も完全に変化してしまっているが(少なくとも現時点の私はアニメとはほとんど関わりを持っていない)、制作者側も心境が変化したのだろうか。とにかく前シリーズのような「ひきこもり的不健康さ」が消えているのが一番強烈に印象に残ったのである。

 これで本日の予定は終了。後は帰途につくだけなのだが、帰り道もやはり大渋滞で苦労することとなったのである。

 

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