新見美術館
美術館規模 小
専用駐車場 有
アクセス方法
伯備線・新見駅から徒歩10分
お勧めアクセス法
駅から見えるところですが、斜面は結構キツイです。電車で行くか車で行くか、判断が難しいところです。伯備線の本数がもっと多ければ、迷わず電車なんですが。
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展覧会レポート
「鉄斎 貽咲墨戯画帖と扇面画展」 2006.12/1〜2007.4/15
コレクション展ということで、同美術館が所蔵する鉄斎の作品と、地元ゆかりの画家である山室恒民の作品を展示してある。
鉄斎については、例によっての楽しげな絵である。貽咲墨戯画帖は米寿のお祝い返しとして制作されたとのことなので、その楽しげな風情にさらに拍車がかかっているのか。鉄斎らしい自由なのびやかさのうかがえる作品。
山室恒民の風景画については、とにかく精緻に写実に徹しているという印象の作品。妙な誇張や変な技法には走らず、とにかく忠実に描こうという姿勢がうかがえる。個人的に抱いた印象は「高校生の絵画がそのまま上手になったもの」というもの。真面目な姿勢が見えるのが好印象である。
「生誕110年前田寛治展」 2006.9/29〜11/26
前田寛治は渡欧後写実主義に傾倒し、帰国後は帝展を中心に活躍、木下孝則、里見勝蔵、小島善太郎、佐伯祐三とともに一九三〇年協会を結成するなどをしながら、後進の指導にも貢献した人物であるという。本展ではその前田寛治の代表的作品を展示すると共に、一九三〇年協会の画家達の作品を併せて展示している。
渡欧を機にして画風が変遷したのは私にも分かる。彼はゴッホを敬愛しており、渡欧後にはセザンヌの影響を受けたとのことであるが、帰国後の作品は明瞭な色彩で立体を意識した作品が多くなっている。もっとも彼も帝展の保守性は心得ていたのか、帝展用の作品は技法的にはおとなしめの抑えた作品を制作していたらしい。
実は前田寛治の作品は先に訪れた成羽町美術館でも展示してあった。つまりは彼もいわゆるこの時代の空気の中の一環を形成している画家であるということである。正直なところ、単独での印象はあまり強いようには感じなかったのだが、そういう文脈の中で解釈してみると面白さがある。そういう意味では両展はつながっていると言えるだろう。
「ヒサクニヒコ恐竜原画と恐竜の化石展」 2006.7/11〜8/27
いかにも夏休み向け企画といったイメージの内容である。展示物はアンモナイトの化石や恐竜の足跡の化石など、さらにはヒサクニヒコ氏によるかなりリアルな恐竜のイメージスケッチなども合わせて展示している。
なかなか面白い内容で、展示されている標本なども興味深いが、残念ながら新見美術館の展示スペースでは大型恐竜の骨格標本を展示というわけにはいかないので、どうしても展示物が地味な印象を受ける。またヒサクニヒコ氏の恐竜画はイラストとして精緻で見応えがあるのだが、残念なのはいかにも古いこと。最新の羽毛恐竜などの知見は反映されていないので、実物は違ってきている可能性が大きくなっているのが辛い。
「長谷川富三郎と棟方志功展」 2006.4/28〜7/2
長谷川富三郎と棟方志功は、共に民藝運動に関わった版画家として有名である。本展では遺族から寄贈を受けたという長谷川富三郎の版画作品と、棟方志功の版画及び直筆画(本人は日本画ではなく大和画と呼んでいたとのこと)を展示している。
棟方志功といえば版画が圧倒的に有名で、私としては彼の直筆画は初めて見る(油絵は以前に見たことがあるが)。題材やタッチは版画とほとんど同じであるのだが、線の柔らかさが出る分、彼の本来の芸術性がより鮮明に反映しているように感じられる。私は彼の版画作品からは素朴さの次に力強さを感じていたのだが、彼の直筆画を見ると、本来の彼の持ち味は柔らかさと暖かさだったのだと思い至らされた。版画とは違う味わいを感じさせられる。
長谷川富三郎の版画については、大胆であるが精緻という印象。構図の妙で知られる作家だとのことだが、揺るぎない画面構成力は見事というしかなく、一作品ごとに唸らされることが多かった。これだけの作家を今まで全く知らなかったとは、己の無知を思い知らされた次第。
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