田中美術館
美術館規模 中
専用駐車場 有
アクセス方法
井原線 井原駅より徒歩10分
お勧めアクセス法
駅からは遠くないんですが、問題は井原線の本数が極端に少ないこと。結局は車に頼らざるを得ないことになる。個人的にはローカル線を応援したいんですが・・・。
コメント
展覧会レポート
「甦る近代木彫りの鬼才 佐藤朝山展」 2006.10/27〜12/10
佐藤朝山は明治21年に生まれ、大正から昭和にかけて院展を中心に活躍した彫刻家だという。代表作は日本橋三越本店に飾られている「天女像」。彼の才能は平櫛田中も高く評価しており、横山大観も彼をして天才と呼んだという。しかし戦後は安直な抽象芸術が氾濫する中で、彼の名も一般には忘れられてしまったとのこと。
立体を捉える感覚の鋭さとその確かな技巧には感心する。まるで今にも動き出しそうなトカゲの像の不気味なまでのリアリティには絶句した。その一方で形態を大胆に単純化して、彫り跡を残してザクザクと刻んだような大胆なタッチの作品もあり、その表現の幅の広さにも驚かされる。彼の作品を見ていると、単純化表現などは確かな技巧と鋭い感覚に支えられて、初めて説得力を持つということを痛感させられる。
収蔵品展 2006.10/25訪問
「たなか」美術館と読んでしまいそうだが、正解は「でんちゅう」美術館だそうである。この美術館は地元出身の彫刻家である平櫛田中の作品を保存展示したものだとのこと。平櫛田中は特に木彫り彫刻で大家と言われている人物であり、六代目菊五郎をモデルにして製作した「鏡獅子」の像は、国立劇場を飾る彼の代表作となっているが、本美術館ではその試作品や、彼が造形の参考にするために製作したという裸の六代目菊五郎の像などが展示されている。
木彫り彫刻にはほとんど興味がないと言って良い私だが、彼の作品についてはその生々しくリアルな肉体表現が興味を惹いた。六代目菊五郎の像は鏡獅子製作のために彼にとっては必要なことだったとのことだが、確かに彼の作品は衣装を通してその下の肉体まで見通しているような鋭さがあり、並外れた立体造形力をうかがわせる。
実のところ、たまたま通りすがりに立ち寄っただけの美術館であったが、思わぬ逸品に出会ったという印象である。これだからこういう地方巡回をやめられないのである・・・。
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