貧乏人のための交通費節約術

 

 私のような貧乏人にとって、展覧会を回るための交通費をいかにして節約するかは深刻な大問題です。そこで私が日頃よく使用している交通費節約術を紹介しておきます。いわゆる旅行マニアの人には既に常識レベルかもしれませんが・・・。

 なお「交通費ったって、新幹線なんて安いじゃん」と言うようなブルジョアな方は、ここの内容は参考にならないでしょうから、スルーしてください(笑)。

 

鉄道編

 やはり1人で移動する場合は、一番安上がりになるのは鉄道です。さらに鉄道の場合はいわゆるイベント切符があるので、それを利用するとさらに安く移動することが可能になります。

 

青春18切符

 鉄道マニアには有名すぎる切符のようなので、今更私のような素人が解説するまでもありませんが、当HPを訪れる方は鉄道マニアではなく、美術館マニアであろうと思いますので少し解説をさせていただきます。

 青春18切符とは、年に3回、春休み時期3/1〜4/10、夏休み時期7/20〜9/10、冬休み時期12/10〜1/20に発売される特別切符で、JR全線の新幹線や特急以外の普通列車(新快速などは可)に1日乗り放題になります。なお名前に「青春18」などとあるので誤解されやすいのですが、使用者に年齢制限は一切ありませんので、40歳のオッサンが使用しても全く問題ありません。

 価格は5回分で¥11500。5回分という言葉の意味ですが、その日の最初の改札駅で日付のスタンプを押してもらって、その日は乗り放題になるということです。別の日にまた使用すると、今度はその日付のスタンプを押してもらうことになります。また1人で5回使用しても、5人で1回使用してもどちらでもOK。また3人で1回使用して、残りを1人で2回使用するなどということも可能です。ただし複数人で使用する場合は、全員が同じ駅で乗り降りをする必要があるので、家族旅行やグループ旅行などの団体行動である必要があります。

 この切符も、最初は5枚の切符だったそうですが、ばらして金券ショップに売るなどといったことが相次いだため、ばらせない1枚のチケットになったとのことです。また有効期間はそれぞれのシーズン内なので、春休みのシーズンに使い残した券を夏休みのシーズンに使用するということは不可能なので注意が必要です。

 ちなみに「5回も電車に乗らない」という人もいるでしょうが、そういう人は「必ず5回乗る必要があるわけではない」というところに注目してください。つまり4回しか使用しなくても、1回当たり¥2875、3回でも¥3833ということで、往復でこれよりもかかる地域に行くときは元が取れるということです。また途中下車自由というのは、かなりのメリットです。

 なお一部使用済みの18切符の売買などを仲介している掲示板もあるようです。私個人としてはインターネット取引でのトラブルの多さを考えるとあまりお勧めしませんが、あくまで自己責任で利用するのも1つの手です。

 

鉄道の日記念切符

 鉄道の日(10/14)に合わせて発売される切符で、発売期間は毎年微妙に変わりますが、大体10月上旬の2週間ほどです。青春18切符と同様でJR全線の普通列車が乗り放題になりますが、価格が少し異なっており3回で¥9180ですので、青春18切符よりは採算ラインが若干厳しくなります。なおこの切符が青春18切符と異なるのは、子供券があるということなのですが、このHPの読者に子供料金の方がいるとは思いにくいですね(笑)。

 なお関西地区の方には、同じ期間にJR西のエリア内限定の乗り放題チケットが、1枚¥3000で発売されるので、東に行くのでなければこのチケットの方が使い勝手が良いと思います。

 

関西お出かけパス

 これは関西限定の切符です。土日祝日限定で¥2000で関西の中心エリアが乗り放題になるというチケットです。適用エリアは西は西明石、新三田、東は草津、堅田、南は和歌山、奈良地域が加茂、五条になります。通常なら往復で¥3060かかる明石と京都の往復が¥2000ですむことになるので、かなりお得です。しかもここからさらに根性を入れて、奈良、和歌山と遠征したらさらにお得になるので、週末に長距離移動をする美術館マニアには最適の切符と言えましょう。エリアを端から端まで移動したほうがうまみが増すので、エリアの一番端の地域に居住する方が最も使いやすく、大阪の真ん中に居住している人は、逆に使いにくくなるかもしれません。なお発売は使用日の3日前までですので、事前に遠征計画を立てておく必要があります。

 

 

自動車編

 旅費を安く上げるという観点から言えば、1人の場合は圧倒的に鉄道が有利ですが、京阪神のように公共交通機関が整備されている地域ならともかく、そうでない地域の場合はどうしても自動車を使わざるを得ないようになります。また2人以上で行動する場合は、コスト的に自動車の方が有利になるケースもあります。自動車を使用する遠征の場合は、高速料金をどうやって節約するかが最大のポイントになります。高速料金の節約といえば、やはりETC割引の最大活用が有効ですので、その方法を紹介します。

 

ETC料金割引

 ETCでの割引料金と言えば、早朝夜間割引、通勤割引、深夜割引の3種類が有効な割引制度となります。この中で最もポピュラーなのが深夜割引で、これは深夜の0時から4時の間に高速道路の入り口か出口を通ると、走行距離に関係なく料金が3割引になるという制度で、私が長野遠征の際に使用した制度です。長距離トラックのドライバーなどには定番で、0時になるのを待つために料金所の前でトラックが行列を作り、問題ともなっています。

 長距離移動の場合に非常にありがたい深夜割引ですが、使用する局面は意外と限られてきます。中距離移動が多い展覧会マニアの場合、むしろ頻繁に使用することが可能なのは早朝夜間割引と通勤割引でしょう。

 早朝夜間割引とは、夜22時から朝6時までの間に、東京圏や大阪圏などの都市近郊区を最低1区間含んだコースを100キロ以内走行した場合に、通行料が5割引になるという制度です。これに対して通勤割引とは、上記の大都市エリア以外の道路を、朝は6時〜9時、夕方は17時〜20時までの間に100キロ以内走行した場合に料金が5割引きになる制度です。ただし通勤割引は、1日で朝夕の1回ずつしか適用されないのが要注意です(早朝夜間割引にはそのような回数制限がない)。

 1日1回ずつしか使用できない通勤割引ですが、実は裏技があります。通勤割引の適用は1日で1回ずつであると先に述べましたが、これは正確に言えば「1枚のETCカードにつき、1日に1回ずつ」なのです。だからここで別のETCカードに差し替えると、もう1度通勤割引を適用することが可能になります。この技があるためにETCユーザーはカードを2種類持っていると言われています。なおこの裏技ですが、明らかにシステムの不備だと思われるので、いずれ突然に是正されてしまって利用できなくなる可能性もあるので注意が必要です。

 なお私の説明では今ひとつ分かりにくい部分があると思うので、そういう方はこちらを参考にしてください。

 

 ただこの割引制度を最大限に活用するには、走行距離を考えての計画をきちんと練っておく必要があります。参考までにケーススタディを掲載しておくと。

 

1.明石から東に行く場合

 往路

 この場合、東には大阪近郊エリアが控えているので、ここの通過ががポイントとなります。まずは第二神明と阪神高速西線を乗り継いで、西宮入り口から名神高速に乗る(阪神高速西宮出口で一端下りてから、もう一度名神の西宮入口に入り直す)。ここから100キロ以内となると竜王までなのですが、それは最適のルートとは言えません。一度6時までに、近郊エリア内の京都東で一旦降りてもう一度入りなおします。すると西宮−京都東間には早朝夜間割引の5割引が適用され、さらに京都東から100キロにまた早朝夜間割引が適用されるので、関が原までが早朝夜間割引の適用となるわけです。関が原に到着した頃には順調に行っていれば7時台でしょうから、ここでさらに一旦降りてもう一度入りなおすということをすれば、今度は100キロに通勤割引が適用されるということになります。すると100キロ先の岡崎まで5割引でいけるわけです。

 もし割引を使用しなければ、明石西−岡崎で¥6500かかるところですが、この方法だと、明石西−西宮¥800、西宮−京都東¥1000、京都東−関ヶ原¥1250、関ヶ原−岡崎¥1350の合計¥4400で行けることになります。

 なお、頻繁に高速道路を乗り降りするのが嫌だという人の場合は、早朝の4時までに西宮で名神に乗って、そのまま岡崎まで直接行けば、深夜割引を使用してで¥4800で行くということも可能です。

 復路

 早朝夜間割引が6時までで、通勤割引が6時〜9時までとつながっていた往路と違い、復路の場合は通勤割引が17時〜20時、早朝夜間割引が22時からと間隔が空いているために、途中でどうしても時間つぶしが必要となります。一番オーソドックスなのは、関ヶ原で乗りなおした後、多賀SAで入浴&仮眠(¥700)で時間をつぶし、京都東出口を22時以降に出るというものですが、仮眠などしたくもないという人もいるでしょう。そういう人の場合は、大都市近郊区間の境界となっている大津出口で降りてしまう方法がお勧めです。ただこの場合は関ヶ原から大津の間は通勤割引にする必要があるので、関ヶ原入り口でETCカードを差し替えるという裏技が必要となります。

 大津で22時前まで時間をつぶした後(何も大津で時間をつぶさなくても、一般道を走って京都に入る手もある)、名神に再び乗って、西宮出口を22時以降に出れば良いわけです。

 なお高速を降りるのが0時以降になってもかまわないという夜型の人の場合、深夜割引で一気に突っ走ると言う手もあります。その時の料金も往路と同じく¥4800です。

 

2.明石から西に行く場合

 こちらのケースでは通勤割引のみを使用することになります。まず姫路バイバスから太子龍野バスパスを乗り継いで、龍野西入り口から山陽自動車道に乗る。そしてここから鴨方までが100キロ弱です。鴨方を6〜9時までの間で降りれば通勤割引が適用されて、¥2700の料金が¥1350になります。

 で、ここで裏技を使用すると、鴨方からさらに100キロ、志和まで¥1350で行くことが出来ます。ここまで来ると広島は目の前というわけです。割引なしだと¥4600かかるところが、¥2700で行けてしまうということになります。

 なお西に行く場合は通勤割引しか使用しないので、復路も往路と同じで単純です。志和から山陽自動車道に乗って、17時〜20時の間に鴨方で乗り降りをするだけであり、途中で時間つぶしがいらない分は楽です。

 

 出発地によって100キロの距離は戦略は変わってくるので、上のケーススタディを参考にして、自分流の戦略を練ってください。なお走行距離計算の参考になるのがこちらのページです。

 

その他

 

1.高速バスの使用

 長距離の移動費を節約するにはもっともポピュラーな手段が高速バスの使用です。特に夜行バスを使用した場合、現地に早朝に到着して、その日1日をフルに使えるので、かなり有効な手段になります。

 例えば新神戸から東京に行く場合、新幹線だとのぞみの自由席でも¥13760かかりますが、夜行バスだと¥8690と¥5000も安くあがります。このクラスのバスだと、1列×3の3列独立シートで、かなり深くリクライニングできる夜行バス用の車両を使用しています。なお大阪からだとさらに安い便もあるようです。有名なところでは、大阪から東京まで¥5000の青春ドリームなるバスがあります。ただしこのクラスのバスの場合は、2列×2の4列シートになり、リクライニングもほとんどしない椅子になります。

 ただ概して価格と安全性及び快適さはトレードオフの関係にあります。あまりに格安のバスの場合、リクライニングもしない観光バスに客をすし詰めにして、交代運転手なしで1人で眠い目をこすりながら運転しているなんてケースもありますので注意が必要です。腰の丈夫な若者ならともかく、私のように腰に爆弾を抱えているような者の場合、この手のバスに乗るとほぼ確実に爆弾が爆発する羽目になります。

 また夜行バスを使用する場合は、徹夜でもびくともしない体力やどこでも寝られる強い神経が必要です。経験から言えば、揺れが上下だけの列車と違い、左右に身体をひねられるような揺れが起こるバスの中は、想像以上に眠りにくいです。私の場合はろくに眠られず、東京について一番最初にしたことは、インターネットカフェを見つけてとりあえずそこで一度爆睡することでした。

 

2.航空機の使用

 将来的に大赤字確実と言われている神戸空港がオープンしましたが、ここが開港の目玉としているのがスカイマークによる格安便です。かなり安い便もあるようですので、命の危険を恐れない方は利用しても良いでしょう(笑)。

 なお私は航空機は使ったことはないので、細かいことは説明できません。

 

 旅行の達人などなら、これ以外にも方法はあるのでしょうが、私のようなアマチュアの場合は大体この程度のテクニックぐらいの持ち合わせしかありません。もっと良い方法があれば、私に教えてください(笑)。

 

 

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