展覧会遠征 神戸・西宮編3

 

 今日は西宮でのコンサートの前に神戸での展覧会に立ち寄ることにする。

 

 まず最初に立ち寄るのは兵庫県立美術館。ここで開催中の「ジブリの大博覧会」が目的。しかしジブリの常で会場はかなりの混雑が予想されることから戦略が必要。

 

 JR灘駅に到着したのは11時前。今から美術館に直行しても良いが、今の時間だと開館直後の混雑が続いていることが予測されることから、まず昼食を先にして昼食時間帯を狙う戦略をとることにする(この手のイベントでは大抵昼食時間は空く)。

 

 昼食を摂るために立ち寄ったのは「洋食SAEKI」。町の洋食屋が大好きな私としては以前から気になっていた店である。現地に到着したのは営業開始時刻の11時の直前で、既に7人程度の待ち客がいる状態だった。私が到着してから3分程度でオープン。席数は決して多いわけではないが、広々とした印象の店内である。私は「ミックスフライランチ(1000円)」を注文する。

 チキンカツ、ミンチカツ、クリームコロッケなどと共に大きめの有頭エビフライが盛ってある。このエビフライが目玉のようで、席にはわざわざ頭の食べ方の説明まである親切さ。確かにこの価格でこのエビフライは値打ちものだ。また肉肉しいミンチカツも、胸肉を使用したチキンカツ、クリームコロッケなども十分に美味い。若干気になったのは、私の好みよりは味付けがやや塩っぱいぐらいか。

    有頭エビの食べ方解説

 CPで考えると圧倒的とも言える。一品メニューなどもあるが、いずれも概ね1000円台前半までで全体的に低価格なのが目立つ。それでいて味が安っぽくないと来れば結構多くの客が訪れるのも納得。実際にこの日も私が食べ終わる頃には店内は満席の状態になっていた。

 

 昼食を終えると美術館を目指す。私の読み通り、到着時には待ち客はおらずにスムーズに入場できる。

 


「ジブリの大博覧会」兵庫県立美術館で7/1まで

     

 ジブリ展の類いは今まで原画展のようなものが多いが、本展はジブリ作品の世界を体験するというようなイメージで、展示品は当時のグッズなどの類いが多い。その間にトトロがカウンターに立っていたりなどの楽しい演出がある。またジブリファンの夢とも言える「猫バスに乗る」ということも体験することが出来る。

ジブリファンの夢、猫バス乗車

 展示の後半は宮崎駿の趣味が露骨に出ている人類の空への挑戦の歴史のコーナー。飛行機の発展などを科学的かつオタク的観点から解説しており、一般よりはかなりマニアックな世界。ラストはラピュタのOPに描かれていた世界を再現したジオラマ。あのOPには人類の英知と愚かしさが凝集されている気がして初めて見た時からなぜか涙ぐんでしまった私には、まさに感涙ものの展示であった。


 不思議な話なのだが、私にとってはラピュタの一番の泣かせ処はあのOPなのである。いかにも「人類ってこうなんだよな・・・」と感じさせる内容で、すべての世界観が集約されいるようにも感じられる。またこのイメージは「未来少年コナン」のOPのイメージでもある。灰色の世界に描かれる人類の終末イメージ。人類が自らの愚かさが原因で滅亡に瀕するエピソードである。そして一番残酷なのは、宇宙への脱出を試みたロケットまでが地表に引きずり戻されるラスト。そしてすべてが滅び去った・・・と思われるところから、急に曲調が変化すると共に光溢れる世界となって野生児コナンが登場するという流れ。皮肉にも人類が滅亡に瀕したことで地球が再生を始めるという話。初めて見た時から胸に強烈に焼き付いたメッセージである。

 

 ジブリ展の見学後は、手前にあるもう一つの美術館に立ち寄る。

 


「日本の風景をみつめて 須飼秀和 ふるさとの詩(うた)」BBプラザ美術館で6/17まで

  

 日本各地の風景を鮮やかで緻密な絵画で描いた須飼秀和の作品の展覧会。そこに描かれる風景はどこか懐かしく、郷愁を誘うものである。

 彼は実際に各地を旅してその風景を描いたようだが、確かに各地を様々に回った経験のある私には見たことのある風景も多数ある。いずれもが単なる町の風景を越えて「懐かしく、そして日本の原点を感じさせる」ものでもある。

 絵画の技術云々という次元でなく、画家の感性や心を感じる展覧会でもある。実に心惹かれる風景がここには展開していた。


 展覧会の予定を終えたところでホールに移動することにする。今日は西宮でのコンサートである。

 


第105回定期演奏会 井上道義×シャルリエ ドイツ音楽の系譜

 

指揮 井上道義

ヴァイオリン オリヴィエ・シャルリエ

管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団

 

ヒンデミット:序曲「エロスとプシュケ」

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.61

 

 ヒンデミットは現代音楽の要素が入ってきながらも現代音楽ではないという微妙な位置の作曲家でもある。金管の派手目な音色が目立つ曲なのであるが、それをPACオケはまさにバリバリと鳴らしてきている。ただ最近のPACオケは金管が元気ではあるがやや雑に聞こえ、弦とのバランスもやや欠いているのが気になるところ。

 ベートーヴェンに関してはシャルリエの妙技に尽きると言うところか。ピアニッシモの音色が非常に美しく、非常にニュアンスの籠もった演奏である。もっともバックのPACオケがそれを生かし切れているかに少々疑問はあるのであるが。


 オケのメンバーチェンジがあったせいか、最近のPACは金管にややデリカシーの欠けるのが気になるところ。若いオケなので元気なのは良いが、いささかそれが暴走気味なのではと感じる次第。

 

 そう言えばPACの2018年度のラインナップが発表されたのだが、どうも今ひとつ興味を惹くプログラムがない。佐渡裕の演奏はいつもやや面白味に欠けるし、このホールは観客マナーも良くないということで、2018年度はPACオケに来ることはもうあまりないかな・・・。

 

 

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