展覧会遠征 東京・滋賀編

 

 この週末は東京に出向いて美術館の攻略とコンサートの予定。金曜の仕事を終えると新幹線に飛び乗る。

 

 相変わらずのぞみの車内は狭くて不快。かと言ってグリーンに乗る金なんかないし・・・。金持ちを優遇するために、貧乏人は徹底して迫害というのがアベノミクスの正体だから、世の中はこういう方向にばかり進むのか。

 

 暇だからスマホでネットを見ていたら、東京の区立高校の9万円のアルマーニの制服が論議を呼んでいる。私立学校なら制服を9万にしようが100万にしようが勝手だが、公立学校でこれは駄目だろう。しかも校長の独断というのだから、分かりやすい癒着の構図。こちらの要望に真摯に応えてくれたのはアルマーニだけだったとかいう類いのコメントを校長がしているようだが、それは「キックバックの要望」だろう。そもそも服育なんて言葉を引っ張り出しているが、それは何なんだ? 高い服を買えない貧乏人のことは蔑みましょうという教育か? 教育関係者の中にはたまにこういう勘違いした輩がいるからたちが悪い。まあ金持ちの馬鹿ボンが貧乏人の優秀な子弟に脅かされないように、貧乏人からは教育を剥奪するというのが安倍の理想であるから、そういう考えに沿っているとも言える。

 

 かなり疲れた頃にようやく東京に到着する。東京は最近は雪などで大騒ぎになっていたが、今日は寒いのは確かだがそう極端な寒さでもない。

 

 さてとにかく腹が減った。気分としてはガッツリと肉を食いたい。というわけで久しぶりに北千住の「いきなりステーキ」に立ち寄り、サーロインの300グラムをガッツリと頂く。

  

 夕食をガッツリと摂った後はホテルに移動。宿泊は例によっての定宿、ホテルNEO東京である。ホテルに到着すると直ちに大浴場で入浴すると、明日に備えて就寝するのである。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝の目覚めは最悪だった。どうも胸がムカムカしている上にひどい下痢をしている。どうやら昨日レアステーキをガッツリと食い過ぎたせいで消化不良になっている気配。私も年相応に胃腸が弱くなってきたということだろうか。とりあえず朝食を摂るが胸焼けに追い打ちがかかって吐き気がする。

 

 しかし部屋でゴロゴロしているわけにもいかないので、整腸剤を飲んでから出かけることにする。今日の予定だが、メインは都響とN響のコンサートのはしご。そもそも今回の遠征はこの週末に都響、N響、読響のいわゆる東京トップ3がそろい踏みするということで企画されたもの。しかも都響は私が注目している準・メルクルの指揮、N響はパーヴォでマーラーの7番、読響はテミルカーノフ指揮と蒼々たる内容。

 

 都響のコンサートはサントリーホールで14時からなので、それまでに美術館を回っておこうと考える。とりあえず近いところから上野の東京都美術館に出向く。しかし上野駅を降りるといつにない大混雑。何が起こっているんだと思ったら、その群集はそのまま上野動物園へ。どうやらパンダの赤ちゃんフィーバーの模様。上野動物園の入口前には長蛇の列が出来でいる。「パンダの赤ちゃんがそんなに珍しいかね?」というのは、白浜のアドベンチャーワールドに何回か行っている私の感想。

  

 私の目当ての東京都美術館の「ブリューゲル展」は観客はあまり多くなく、鑑賞にはなかなか好条件だが、これだと主催者はつらいだろう。何しろ、隣で開催されていた盆栽展の方が観客が遙かに多いのだから。

 


「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」東京都美術館で4/1まで

   

 ブリューゲル一族は16〜17世紀のヨーロッパでブリューゲル派と呼ばれる一大潮流となって絵画界に大きな影響を与えた。そのブリューゲル一族の作品を集めた。

 ブリューゲル一族の祖と言えるのがピーテル・ブリューゲル1世、さらに長男のピーテル2世、その弟のヤン1世の家系がまた多くの画家を輩出したらしい。本展では実に4代に渡っての作品が展示されている。

 一つの一族がこれだけの絵画を描き続けたというのも凄いが、作風が完全に引き継がれているのがまた驚き。ただこれはマンネリと紙一重というところ。正直なところあまりに王道過ぎて意外性の類いは全くない。

内部には撮影可のフロアも有り


 面白いのであるが、どうしても地味という印象は拭えない。一点だけあったルーベンス工房による絵の方が明らかに目を惹くのは事実。やはりブリューゲルはまだ中世絵画の伝統を引きずっているところがある。

 

 腹の具合も胸のむかつきもまだあまり良くはなっていない。これはあまり今日は無理はしない方が正解だろう。美術館はもう一軒だけにしておくことにする。東京駅まで移動すると、そこから美術館へ移動。

 


「ルドン−秘密の花園」三菱一号館美術館で5/20まで

 

 この美術館が所蔵するルドンの「グラン・ブーケ」はフランス・ブルゴーニュのドムシー男爵が城館の食堂の装飾のために注文した作品である。他の15点の作品は現在はオルセー美術館の所蔵となっている。今回これら15点が来日し、一堂に会するというのが本展の最大の売り。

 ルドンと言えばモノクロの不思議絵画の印象が強いのだが、本店の出店作は装飾と言うことで色彩豊かで穏やかな調子の作品が多い。こういう絵画もルドンの一面ではある。


 ルドンの絵画については、好きとも嫌いとも言えない奇妙なところである。

 

 さてそろそろ時刻が迫ってきたサントリーホールに移動することにするが、さすがに昼を過ぎているのに腹に何も入れないというのは体調がおかしくなりそうなので、六本木一丁目駅近くの「杵屋」「きつねうどん」を一杯だけ腹に入れておく。今は整腸剤と水分を抑えることで下痢を無理矢理止めている状態なので、腹具合を見ながらの昼食である。

 


都響プロムナードコンサートNo.376

 

指揮/準・メルクル

チェロ/エドガー・モロー

 

メンデルスゾーン:序曲《フィンガルの洞窟》op.26

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104 B.191

シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 op.97《ライン》

 

 準・メルクルの指揮はメリハリのついた表情のハッキリしたもの。一曲目のフィンガルではそれがやや表情過多気味の印象がなくもない。

 ドボルザークのチェロコンはモローのチェロ演奏に尽きる。音色が太くて堂々としている。オケもそれに合わせてしっかりとした演奏をしている。

 圧巻はラストのシューマン。下手に演奏すると単にダラダラした退屈な曲になってしまうことさえあるシューマンの交響曲を、メルクルの指揮は的確な表情をつけて魅力的な音楽に紡ぎ上げる。またメルクルの細かい指揮に対して的確に反応している都響も見事なもの。実に魅力的なシューマンとなったのである。


 やっぱり都響はうまいなあというのと、準・メルクルは今後も注目だなと言うのを再確認である。

 

 この後はNHKホールへ移動。幸いにして腹の方は強攻策が功を奏してやっと落ち着いてきたようだし、胸のむかつきも大分遠のいてきた。ただそれでも渋谷駅からNHKホールへの道のりはいささかしんどい。

  

 久しぶりのNHKホールだが、やはりとんでもなくでかいホールだ。さすがに紅白歌合戦ホール。ただそれだけに音響に関しては絶望的であるということでもある。私の席はステージの正面ではあるが、2階席の一番奥というかなり距離のあるポジションなので、果たしてここまで音が飛んでくるかどうかが心配である。

  

 それにしてもこの巨大ホールがほとんど埋まっている。さすがにN響は人気も一流のようだ。関西のオケでこのホールを満員に出来るところは残念ながら一つもないだろう。何しろ大阪四大オケが束になってもフェスティバルホールが満員にならないのだから。オケの力もさることながら、ファン層の人数が違う。もっとも首都圏は無駄に人口が多いので、分母の大きさが効いているとも言えるが。

 


N響第1879回 定期公演 Aプログラム

 

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ

 

マーラー/交響曲 第7番 ホ短調「夜の歌」

 

 難しい曲だなというのが一番の感想。うまく演奏しないと単なる冗長で退屈な曲になってしまうのがこの曲である。ヤルヴィはこれに対して多彩な音色で表情をつけ、引き締まったテンポで推進していくという方法をとったようである。これに対してN響の演奏はある程度まで指揮者の要請に応えているのは感じられたのだが、それでも完璧に統率がとれているとは言えない部分も多々見えた。もう少しピシッとした演奏となれば、かなりの名演になったのであるが、残念ながらまだ随所に甘さの見られる演奏であった。


 さすがにN響は関西のオケよりも技量が上だなというのは感じられたのだが、残念ながら手放しで絶賛という内容ではなかったようである。実際にマーラーのこの曲はなかなか難しいようである。特に金管陣の技量が問われる場面が多く、これが大フィルだったら完全に空中分解していただろうと思われる。

 

 コンサートが終わったら夜の8時前。腹具合がまともになってくるにつれて、昼食をかなりセーブした反動もあって、猛烈な空腹感が襲ってきた。これはどこかでしっかりと夕食を摂る必要がありそうだ。南千住まで戻ってしまうと良い店がないので、これは途中の上野で夕食を摂ることにするか。となったら・・・と思いついたのは「黒船亭」。結局はここに立ち寄って「ミンチカツ」を注文することに。

サラダに続いてかなり肉々しいミンチカツが出てくる

 かなり肉肉しいミンチカツというイメージ。そんじょそこらの下手なミンチ肉を使ったものではなさそうだ。しっかりと肉の味がしてうまい。やっぱり私はいわゆる町の洋食屋というのと相性が良い。

 デザートも頂きました

 満足して夕食を終えるとホテルに戻ってくる。それにしても今日も疲れた。万歩計を見ると何気に2万歩を超えている。とにかく乗り換えだなんだで意味もなくやたらに歩かされるのが東京である。ホテルで入浴してゆったりすると、そのまま就寝する。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝はやや眠気はあるものの昨日のようなむかつきなどはない。とりあえず昨日買い込んでおいたパンを朝食に摂る。

 

 さて今日の予定だが、14時から芸術劇場での読響のコンサートに行くと、すぐに明日に備えて滋賀に移動する予定。明日はびわ湖ホールでオペラである。

 

 とりあえず9時過ぎにホテルをチェックアウトすると東京駅に立ち寄り、キャリーはここでロッカーに入れておく。毎度の事ながら東京駅のロッカーは混んでいる。今までの経験から言うと10時を回ると空きがない可能性が高い。というわけで今日は特に急いでいるわけでもないのに行動を早めた次第。

 

 無事に荷物をロッカーに放り込むと渋谷に移動する。とりあえずBUNKAMURAで開催されているルドルフ展は見ておきたい。

 


「神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展」BUNKAMURAで3/11まで

 

 神聖ローマ帝国の首都をウィーンからプラハに移し、そこで芸術文化を華々しく開花させたのが皇帝ルドルフ2世である。彼は芸術作品の収集や芸術家の支援、さらには世界中から様々な文物を取り寄せてコレクションするなどを行った。それらのコレクションの一部を展示。

 展示絵画は野菜などで作った人物像で有名なアルチンボルドを始め、スプランガーなどルドルフ2世が支援した画家たちの作品から、東京都美術館でも展覧会が開催されているブリューゲルの作品など。宮廷コレクションだけあって、基本的には品の良い作品が多い。

 また工芸品や博物展示などもあるのが特徴的なところ。権力と富にものを言わせていわゆる珍品の類いを多数蒐集していたようで、なかなかに面白いものがある。

   アルチンボルドの絵画を立体化した作品


 ルドルフ2世のコレクション展という今ひとつ主題のハッキリしない展覧会だが、その割には内容的には結構面白かった。特にサーフェリーの絵画が多数展示されていたが、これがなかなかに優れた絵画。私的にはブリューゲルよりも評価が高いかも。

 

 ルドルフ2世は領土拡張などよりも文化やコレクションに尽力したという印象が強い。幼い頃から高度な教養を身につけたとのことだが、裏を返せばオタク的要素のある人間だったのではないか。昔から文化とはオタクが発展させるものである。多くの芸術家のパトロンになったようだが、私も財力と権力を持っていたら多分同じことをしただろう。

 

 美術館を出てきた時には昼前になっていたので昼食を摂る必要がある。しかしどこに立ち寄るかを考えるのも面倒になってきたので、出口の目の前にあるラーメン屋に入って魚介出汁のつけ麺を注文する。ただ大盛りを頼んだのは失敗。今の私は年齢と体調から明らかに食べる量が減っていることを考慮していなかった。ラーメン自体は結構うまかったのだが、量が多すぎて途中で胸が悪くなってきた。

   ラーメンの量が多すぎた

 昼食を終えると12時過ぎ。まだ1時間ほど余裕があるのだが、行くあてもすることもその気力もないので、さっさと池袋に移動してしまう。結局は早めにホールに入場してボンヤリと過ごすことに。そう言えば先日のNHKスペシャル「人体」で、このボンヤリとしている時というのは実は脳がいろいろな情報を整理している時であり、このような時にひらめきが起こったりするとのことで、山中氏もIPS細胞の重要な発見につながるひらめきをそのような時に得たと言っていた。しかし残念ながら私にはそのような大発見につながるようなひらめきは全く起こらない。やはり人類の頭脳である天才と、私のようなこの年になっても全くうだつの上がらない凡人では脳の作りが全く違うか。私もこれでもかつて若い頃には夢や希望もあれば野望もあったが、結局は何も果たせないまま人生も終盤を迎えようとしている。全く虚しい次第だ。

 

 ホールの私の席は3階の真っ正面。ステージからいささか距離があるのが難だが、安い席の中では比較的良い方だろう。ここもかなり大きいホールだが観客は結構入っており、読響もなかなかの人気のようだ。

 


読響第204回日曜マチネーシリーズ

 

指揮=ユーリ・テミルカーノフ

ピアノ=ニコライ・ルガンスキー

 

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23

ラフマニノフ:交響曲 第2番 ホ短調 作品27

 

 チャイコのピアコンはルガンスキーのピアノが見事の一言に尽きる。華麗にしてスケールの大きな演奏で、このような演奏だと今ではもはや通俗名曲の感があるこの曲も新鮮に聞こえてくる。

 ラフマニノフの交響曲も結構難しい曲である。この曲はダラダラとやると無駄に長いだけの退屈な曲になってしまう。テミルカーノフはそこに巧みに味付けをして、聴衆を飽きさせないようにしているのが覗える。また読響の演奏も、そのようなテミルカーノフの意図に応えてのカッチリした演奏。まずまずの名演であった。


 コンサートを終えると東京駅へ急ぐ。17時過ぎのひかりのグリーンを押さえているので間に合うように移動しないといけない。なおわざわざのぞみでなくてひかりなのはグリーンポイントのポイント数の関係。

 

 グリーン席でゆったりとくつろぎながら長い移動。やはり座席の快適さはこういう長時間移動には大きく影響する。こういうのを体験すると、のぞみの狭いシートは嫌になる。とは言っても、とてもグリーン料金を出せるだけの甲斐性はないのだが・・・。

 

 京都に到着するとすぐに乗り換えて瀬田を目指す。今日の宿泊ホテルは瀬田のニューびわ湖ホテル。日帰り温泉施設に隣接しているホテルである。送迎バスでホテルまで移動してチェックイン手続きを済ませると、すぐに隣の温泉施設へ。天然ラドン泉の温泉が体に染みいる感覚。放射能泉なので特別な浴感があるわけではないが、それでも肌になかなか優しい感覚のする湯。強ばっていた体をここでほぐす。

 

 この日は移動の疲れもあり、入浴を終えるとかなり疲労がこみ上げてくる。結局はやや早めに就寝することになる。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時半に起床すると朝食とシャワー。しかしどうもすっきりと目が覚めない。やはり何かと睡眠力が落ちていることを感じる今日この頃だ。

 

今日はびわ湖ホールのオペラに行くだけなので時間にかなり余裕がある。ホテルを10時にチェックアウトすると、そのまま隣の入浴施設で朝風呂としゃれ込む。このホテルのありがたいのはチェックアウト日の入浴券をもらえること。つまりはその気なら今日一日ここでゆっくりすることも可というわけである。

 

 ゆったりと朝風呂を浴びると休憩室でしばしウトウトとする。気がつけば昼時になっているのでレストランで昼食を摂ってから駅まで送ってもらう。

 

 ホールまでは30分程度。今日の演目はフンパーディングの「ヘンデルとグレーテル」ということで、出し物柄お子様(と言っても小学生以上だが)が多い。日本語上演ということなのでお子様にもハードルの低い演目である。ただ一つ間違うと劇団ナンチャラのぬいぐるみ劇みたいになってしまわないか心配はある。実際にすでにロビーで奇声を上げて騒いでいる子供も。

 


びわ湖ホール オペラへの招待 フンパーディンク作曲 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」

 

指揮:角田鋼亮

演出:栗山昌良

管弦楽:大阪交響楽団

美術:妹尾河童

衣裳:緒方規矩子

照明:吉井澄雄

児童合唱:大津児童合唱団

バレエ:滋賀洋舞協会

 

出演:びわ湖ホール声楽アンサンブル

ヘンゼル:吉川秋穂

グレーテル:飯嶋幸子

ペーター:五島真澄

ゲルトルート:船越亜弥

魔女:増田貴寛

眠りの精:平尾 悠

露の精:溝越美詩

 

 童話を題材にしたオペラだけあって、内容も平易であれば音楽も親しみやすい旋律となっている。七面倒くさいこと抜きに、単純に劇として楽しめる内容である。もっとも「お子様劇」かと嘗めてかかっていたら、予想以上に本格的なオペラではあったが。


 どうやら懸念していた演奏中に子供が大騒ぎという事態にはならなくてホッとした。情操教育目的で連れてこられたええとこのボンボンという雰囲気の連中が多かったためか。こういう連中が制服でアルマーニを着るのか? ただ実際は退屈してお眠りという子供が少なくなかった模様。実際、第1幕の最後のヘンデルとグレーテルが眠る下りは、大人でも眠くなった。

 

 公演は2時間程度で終了。長さもお子様向けサイズである。まあ疲れなくて良いとも言える。とりあえず大津までの臨時バスに乗り込むと帰宅となったのである。

 

 

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