展覧会遠征 岡山編18

 

 この土曜日は岡山まで出かけることにした。当初の目論見では岡山の山城をいくつか回ってから・・・というものだったのだが、ここ数日の体調の異常な悪さからこれは断念、結局はコンサートと美術館だけにすることにした。

 

 岡山まではJRで移動。昼過ぎに岡山駅に到着すると、地下街の「はしや」で昼食を摂ることにする。人気店なのか行列が出来ていて10分ほど待たされることに。ようやく入店すると「はしや定食(1717円)」を注文。

 ここの良いところは野菜系のおかずが豊富に付いていて栄養のバランスが良いこと。この辺りが特に女性に人気の所以だろう。実際に私なども外食が続くと、こういう手の総菜系を食べたくなることが多くなってくる。マグロの刺身は少々安っぽかったが。

 

 昼食を終えると路面で美術館へ。

 


「THE 世界名作劇場展」岡山県立美術館で5/7まで

 

 日本アニメーションによる世界名作劇場に関連した背景画、セル画などを展示。

 「フランダースの犬」から始まる世界名作劇場の歴代の作品が展示してあるのだが、実は私の場合はこの前身である「ロッキーチャック」や「アルプスの少女ハイジ」の世代であって、世界名作劇場は3作ほどしか知らないことに気づいた(ヒロインのぶっ飛びすぎた性格についていけず「赤毛のアン」で脱落した)。記憶に残るは、涙腺崩壊アニメの「フランダースの犬」、同じく涙腺刺激アニメ「母をたずねて三千里」、そして野良アライグマ増加のA級戦犯アニメ「あらいぐまラスカル」である。もっともその副作用は強く、未だに「ルーベンスの絵画」というキーワードを聞いただけで涙腺が条件反射しそうになるので困る。

 古き良きセルアニメの時代の余韻が漂いまくる会場であるが、今から思えばあの時代は作り手も真剣に取り組み、視聴者も真剣に画面に見入っていたように思われる。しかしそのようなことも、所詮は単なる年寄りの懐古趣味と言われればそこまでである。果たして昨今の粗製濫造のデジタル彩色が目に突き刺さるアニメ作品群は、後世に何かを残すことがあるだろうか。


 展覧会を終えると館内の喫茶で特別展連携メニュー(特別展観覧者は800円→700円)を頂いてしばし休息する。饅頭に赤毛のアンとハックルベリーがプリントしてあるという奇妙なメニュー。

 一服を終えるとホールに向かう。既に開場時刻を過ぎ、ホールにはゾロゾロと行列が続いている状態。いつもは一階席が多いのだが、今回確保したのは三階席。と言うのも実は今回のコンサートは最初は行くつもりがなかったから。ベートーベンの「運命」と「田園」というプログラムは私はあまり興味が持てるものではない。それでパスするつもりだったのだが、今日の予定が完全に空いたことから考え直して急遽チケットを手配した次第。しかし手配が直前だったために一階席の良い席はもうなく(そもそも岡山フィルのチケットは地元発売が優先になっているので、びあなどで良い席は確保しにくい)、それならいっそのことB席でいいやと考えたのである。

 三階席には階段を延々と登っていく必要がある。それで息が切れる体力のなさ。周りを見渡すとやはり息絶え絶えの高齢者が多い。このバリアーフリー時代に何とも大胆な設計である。

 ステージをかなり上から見下ろすこの場所は、図らずしも昨年ベルリンシンフォニカーのコンサートを聞いたのとほぼ同じ席。曲目も同じく「運命」だし、これはもろに比較になりそう。


岡山フィルハーモニック管弦楽団 第52回定期演奏会

 

【出演】

指揮/ハンスイェルク・シェレンベルガー

管弦楽/岡山フィルハーモニック管弦楽団

 

【曲目】

ベートーヴェン/交響曲 第6番 ヘ長調「田園」

ベートーヴェン/交響曲 第5番 ハ短調「運命」

 

 最初の田園は何となくグダグダした感じに聞こえてしまった。シェーレンベルガーのやや駆け足気味のテンポ設定のせいもあって、完全に鳴らしきれないままに先に先にと進んでしまった印象。また三階席で弦楽器は届きにくいということを考慮したとしても、もう少し弦楽群に前に出てきてもらいたいところ。以前よりこのオケが持っている弦楽群が弱いという弱点がもろに出てきたように感じられる。

 後半の運命は先ほどの田園よりは俄然良くなった。オケ全体のまとまりも良いし、各セクションもよく鳴っている。また曲想が曲想だけに、先ほどのような拙速感もない。まだまだ細かい粗はあちこちに見えるが、それをノリで吹っ飛ばした印象。少なくともベルリンシンフォニカーには圧勝である。

 なかなかの熱演に場内はかなりの盛り上がり、シェーレンベルガーはそれに応えてアンコールに「フィガロの結婚」序曲を演奏して、今日のコンサートを締めにしたのである。


 最初の田園はやや危なかったが、トータルとして見ればまずまずのコンサートであった。ただ岡山フィルもやはりプロ楽団としてやっていくのなら、もう一皮の脱皮が欲しいところである。正直なところ、各セクションの奏者の技倆についてもう一歩のところが多々見えてしまうし、全体のバランスが崩れる場面もいくつかあり、そういう欠点をつぶしていって欲しいところ。

 

 これで今日の予定は終了。疲れた帰りは新幹線でさっさと帰ることにしたのである。

 

 

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