展覧会遠征 神戸編15

 

 新年最初のコンサートはアマオケから。神戸文化ホールで開催される神戸フィルの新年コンサートに出向いた。神戸フィルは私は発足当初から知っているオケで、アマチュアとはいうもののレベルは比較的高いオケである。

 

 神戸へは車で移動することにする。近畿でも降雪があるとのことで懸念したが、途中で雪がチラホラすることはあったが概ね晴天であり、問題なく神戸に到着する。

 

 文化ホールのある大倉山に到着したのは12時過ぎ。大倉山の駐車場に車を置く。開場は13時半なので大分時間がある。ただ全席自由席であるから開場の30分前ぐらいには並ぶ必要があろう(だから指定席の方が良いのだが)。とりあえずそれまでに昼食を摂りたい。

 久しぶりの神戸文化ホール

 辺りをウロウロとしたところ、「銀杏庵」なるそば屋を見つけたので入店。「ミニカツ丼のセット(700円)」を注文。

  

 自家製麺しているというそばには大した特徴はないが、カツ丼の味付けは私好み。所謂普通の町のそば屋でまずまずといったところ。今後も使えそうだが、神戸文化ホールに来ることが今後あるかどうか。

 

 大倉山は30年ぶりぐらいだろうか。高校生ぐらいの時にはこの奥の図書館に勉強しに来たこともあるし、初めてN響のコンサートに行ったのもこのホールだった。今となってはすべてが遙か遠い昔の話である。

 

 そば屋を出た時は12時半ぐらい。ホールに並ぶのもまだ早い気がするので、「Cafeball」ベイクドチーズケーキと珈琲のセットを頂いてしばしマッタリと時間をつぶす。ケーキも珈琲もまずまず。

  

 13時になったところで店を出てホールに向かう。もう既に入口の前には100人以上の行列が出来ている。思いの外盛況の模様。行列の最後尾に並ぶが、見る見る行列は伸びていって後に何百人いるか分からないような状況に。どうやら行列の最後尾は表にまで続いてしまったらしく、開場時刻の5分前に入場が始まる。私はまずまず良い席を陣取ることが出来る。


ニューイヤーコンサート〜笛吹きたちの饗宴〜

 

指揮:朝比奈千足

管弦楽:神戸フィルハーモニック

 

【第1部】横笛のルーツを訪ねて

 竜笛と長胴太鼓の演奏

  ※雅楽演奏協力 出雲大社阪神分祠

  越天楽

  外山雄三 「管弦楽のためのラプソディー」より”信濃追分”

  チャイコフスキー 「くるみ割り人形」より”あし笛の踊り”

  マンシーニ ムーンリバー

  ドヴォルザーク スラヴ舞曲 第10番 作品72−2

  アンダーソン プリンク・プランク・プルンク

 

【第2部】150年前のウィーンの音楽

  スッペ 序曲「軽騎兵」

  J.シュトラウス2世 ポルカ「浮気心」Op.319

             ワルツ「ウィーンのボンボン」Op.307

             ポルカ「雷鳴と電光」Op.324

             ポルカ「百発百中」Op.326

             ワルツ「美しく青きドナウ」Op.314

 

 前半はフルートなどの笛に焦点を当てたプログラムで、初っ端は雅楽で始まるという異色ぶり。竜笛のいかにも日本的な独特の音色が印象に残る。

 後半はニューイヤーコンサートらしいワルツなどを中心としたプログラム。神戸フィルの演奏も安定感がありまずまずのもの。ただこのオケの難点としては、元気な管楽器に対して弦楽器がやや弱い。バランス的に弦楽器の人数が不足気味のように感じられる。

 アンコールはお約束のラデツキー行進曲で、場内盛り上がっての終了となった。


 観客もかなり来ていたし、演奏を聞いても神戸フィル侮り難しというところか。実際にもっと下手なプロオケもいくらでもある(ベルリンシンフォニカーなどは間違いなくここよりもレベルが低い)。今回のようなプログラムだけでなく、一度しっかりとしたクラシック名曲のプログラムを聞いてみたいところだ。

 

 コンサートを終えると美術館に一軒だけ立ち寄ることにする。


「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」兵庫県立美術館で2/26まで

 アール・ブリュットを代表する芸術家と言われるアドルフ・ヴェルフリだが、彼は統合失調症で精神病院に収容されていた患者でもある。彼は自らの妄想世界に端を発した独特の芸術作品を残した。そのアドルフ・ヴェルフリの大規模な個展。

 その独自のみっちりと描き込まれた超現実的な世界は、実世界を離れて別の次元に引き込まれそうな恐るべきパワーを持っている。かつてゴッホは明らかに精神を病んでいく過程で、他者の追随を許さないような独自の芸術を開花させるのだが、アドルフ・ヴェルフリの作品も明らかに狂気に端を発した芸術で、通常の精神では到達しようのないような世界に見える。まさに天才と何とかは紙一重という話でもある。


 何とも強烈な世界で、終始圧倒されっぱなしだった。ただこの世界に入り込んでしまうとまともな世界に戻ってこられないような恐怖も感じた。

 

 これで今日の予定は終了。家路についたのである。 

 

 

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