展覧会遠征 金沢編2

 

 この週末は世間ではシルバーウィークとなるところもあるようだが、私もこの週末は遠征に繰り出すことにした。まず最初の目的地は金沢。シンフォニーアンサンブル金沢の演奏会が開催されるので、それを聴きに行こうというのが目的。

 

 金曜日の仕事を早めに終えると新大阪まで移動、ここからはサンダーバードで金沢に向かう。今回はチケットはおとなび割引を使用。私もとうとう老人の入口に入ったということだろうか。

 

 新大阪では余裕のあった車内は、京都駅で満員になる。相変わらずのコンダーハードである。車内ではこの原稿を打って時間をつぶしているが、列車が揺れるので目に悪い。その内にしんどくなってきたのでウトウトとする。気がつけば金沢に着いていた。

 

 久しぶりの金沢。今回宿泊するのはドーミーイン金沢。最近は高級化著しいドーミーインだが、今日は平日なのとエコノミールームプランを採用したことで久しぶりの宿泊である。

 駅を出るとホテルを目指す・・・のだが、ホテルが見つからない。そう言えば何か駅前の様子が違うような。iPhoneで現在地を確認したところ、金沢駅の東口と西口を間違えていた。もう日が沈んで辺りが暗かったことから周りがよく見えなかったことと、金沢は久しぶりであるのが原因か。それと目印らしいものが少なく、方向を見失いやすい駅の構造にも理由があるような気もする。そう言えば、以前にも同じ間違いをした気が・・・。

 

 つまらないことで時間をロスしたが、ようやくホテルにチェックインする。ホテルに荷物を置くとすぐに外出。夕食を食べに出ることにする。

 

 夕食を摂る店は既に決めている。やはり金沢と言えば「自由軒」。橋場町までバスに乗ると東山ひがしをプラプラ。自由軒は相変わらずの店構えである。幸いにしてカウンター席が空いていた。ビフカツオムライスを注文する。

 厚い肉をミディアムに揚げたジューシーなビフカツがたまらない。やはりこれを食べたかった。またここ独自の醤油ベースライスのしっかりした味のオムライスが懐かしい。話を聞いただけではゲテモノに思えるのに、食べてみると強引に納得させられるのである。

   

  

 満足して夕食を終えるとバスでホテルに戻る・・・のだが、ここでまたトラブル発生。金沢駅ではなく香林坊方面行きのバスに乗ってしまって、途中で乗り換える羽目に。200円を無駄にしてしまった。

 

 ようやくホテルに戻ると大浴場で入浴する。これがあってこそのドーミーイン。ここはナトリウム塩化物泉の温泉大浴場を持っている。小さくて狭いが、露天風呂があるのがまた良い。しっとりした湯だが、ただ昔の方がもっと褐色で石油っぽい匂いがあったような気がする。汲み上げ続ける内に泉質が変わってきたのではないか。

 

 風呂から上がるとフルーツ牛乳を一気飲み。これを置いてあるのもさすがにドーミーイン。その後はドーミー名物の夜鳴きそばで一服。久しぶりのドーミーライフをエンジョイしたのである。

 ドーミー名物夜鳴きそば

 

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は8時まで爆睡。布団が良いのかよく眠れた。起きるとまずはレストランで朝食バイキング。これがなかなか種類が豊富。さすがにドーミーのバイキングはしっかりしている。朝からたっぷりと腹に入れる。

  

 朝食後はマッタリと入浴。今日はコンサート以外は特に予定を入れていないのでホテルでゆっくりするつもり。と言っても10時頃にはチェックアウトするつもりだったんだが、テレビをつけるとちょうどドクターGを放送中。むずむず足症候群で睡眠不足になって疲労がたまっていたところに、家庭のストレス(認知症の義母の介護、息子がニートになった)の相乗効果で鬱病になった主婦の事例。結局これを最後まで見てしまって、チェックアウトしたのは11時。

 

 今日の予定は石川県立音楽堂で開催されるオーケストラアンサンブル金沢の定期演奏会。ホールは金沢駅のド真ん前なので徒歩数分。と言っても開演時刻は2時からなのでまだ大分時間に余裕がある。そこでキャリーを駅のロッカーに放り込むと、県立美術館までバスで出向くことにする。

 

 それにしても観光客が多い。昨日の到着時から感じていたが、観光客の数が異常。まるっきり京都と同じ状態である。おかげでバスも押し合いへし合いの寿司詰め。京都が観光客が多すぎて情緒も何もない町になりつつあるが、金沢もその傾向が現れている。地元は経済的に潤うだろうが、私のように金沢の雰囲気が好きな人間にはつらいところである。

 

 バスは香林坊方面を回って21世紀美術館に到着するが、この間も金沢名物の大渋滞。金沢こそ路面電車を通すべき町に思うが。金沢駅から武蔵ヶ辻、香林坊を経由して兼六園まで路面を通すだけで大分利便性が向上するはずなのだが。

 

 21世紀美術館でバスを降りると県立美術館まで歩く。21世紀美術館は観客で一杯である。これだけ集客力のある美術館も珍しい。もっともこの観客の内の何割が本当の意味で美術に興味があるのだろうか?

 21世紀美術館は馬鹿混み


「近代美術の至宝 明治・大正・昭和の巨匠」石川県立美術館で10/23まで

  

 明治以降の巨匠と呼んで良い芸術家の作品を集めた展覧会。絵画から工芸まで展示の範囲は広い。

 工芸では富本憲吉やら板谷波山などの有名どころから、志村ふくみの着物まで。絵画では竹内栖鳳、上村松園などの日本画に小磯良平の洋画など、確かに巨匠と呼ぶに相応しい大家の作品がズラリと並んでいる。

 ただ絵画については有名どころの作品だけに、どこかで見たことがあるという作品が多く、新鮮味は少なかったのは致し方ないところ。むしろ工芸の方が意外に面白かったりする。


 美術館を見て回ったところで12時過ぎ。昼食を摂ってからホールへ移動する必要があるのでとりあえずは金沢駅にバスで戻ることにする。

 

 昼食を摂る店としては手っ取り早く駅前のフォーラスのレストラン街を散策。寿司でも軽く摘もうかという目論見だったのだが、目星をつけていた「もりもり寿司」は数十組の待ち客が連なっている状態。待っている時間などないので待ち時間なしで入店できた「加賀旬菜くらぶ」「鳥天ぶっかけうどん(950円)」を注文。

  

 この店は富山が本社の店のようだが、うどんは氷見うどんなどでなく讃岐タイプだし、「名物鳥天」と書いてあるがこれはそもそも大分名物。どうにもこうにも無国籍である。まあCPはともかくとして、うどんの味はまずまずだったから良しか。いかにもぶっきらぼうなバイトの対応がマイナス。

 

 昼食を終えると県立音楽堂へ入場。三階席まであるホールだが、私の席は三階。実はチケット発売日を忘れていて、夕方頃になってから購入したものだから良い席はとれなかった次第。ホールは一杯かと思っていたら、三階席は7割方が空席。一階席などにも空席があるようだ。これはどういうことだ?


第380回定期公演フィルハーモニーシリーズ

 

ウラディーミル・アシュケナージ 指揮

ジャン=エフラム・バヴゼ ピアノ

オーケストラアンサンブル金沢

 

プロコフィエフ 古典交響曲 ニ長調 作品25

モーツァルト ピアノ協奏曲 第17番 ト長調 K. 453

武満徹 弦楽のためのレクイエム

シューベルト 交響曲 第5番 変ロ長調 D485

 

 一曲目の古典交響曲からアンサンブル金沢の名に恥じず、アンサンブルがかなりしっかりしていることが伺える。音色がなかなかに美しい。

 二曲目のモーツァルトはソリストがなかなかの実力者。余裕の弾きっぷりというところか、バックのオケの実力とも相まって安定感の高い演奏。

 三曲目の武満、四曲目のシューベルトも同様。演奏が非常に安定していて端正。アシュケナージの指揮は、彼のカラーを出すというよりもオケの特性をそのまま最大限に出しているような演奏。美しく気持ちの良い演奏であった。


 アンサンブル金沢の演奏は端正で整然とした印象がある。美しいサウンドだが、熱狂させるタイプではない。なお県立音楽堂だが、なかなかに良いホールである。三階席までキッチリと音が飛んでくる。これはアンサンブル金沢のような小規模編成のオケには重要である。なるほどなかなかに良い器を持っているものだ。

 

 コンサートを終えると今日の宿泊地である和倉温泉に向かうことになるが、特急かがり火の発車時刻まで2時間ちょっとある。そこでまずは夕食を摂っておく。昼間には入れなかった「もりもり寿司」を訪問すると待ち客が三組ほどだったのでただちに予約を入れる。それにしても私が数年前にここに初めて来た時は、待ち時間なしで入店できたのに・・・。いつの間にこんな人気店になったんだ?

 とりあえず待ち時間20分程度で入店できる。入店するとにぎり寿司を思いついたところで次々注文。やはり金沢まで来たのだからのどぐろは注文に入れておく。しこたま食って支払いは4000円ちょっと。蔵寿司やスシローと違って寿司は本格的だし(回る寿司なのに実際は注文してから握る形態)まあCPとしてはまずまずだろう。これが行列ができる理由か。

 

 夕食を食べると土産物を購入。予約済みのチケットを引き取るがまだ時間に余裕があるので、「麻布茶房」「宇治金時」でドーピング。最初は甘みがついてなくて、シロップを後からかけて甘みを足すのが斬新。なかなかうまいが、今日の天候ではちょっと寒かったか。

  

 そろそろ時間なので駅に入ると特急かがり火7号が到着。かがり火は北陸新幹線の開通に伴って特急サンダーバードが金沢止まりになったのに合わせて、和倉温泉までのリレー特急として導入されたようで、車両もサンダーバードタイプ。金沢に到着したサンダーバードからの乗り換え客を受け入れると発車する。

 特急かがり火

 和倉温泉へは1時間程度で到着する。3セク化された和倉温泉駅は改札に人がいない。改札を出たらホテルから送迎が来ているのでホテルまで送ってもらう。

 

 今回宿泊するのは和倉温泉の美湾荘。和倉温泉の高級ホテルであるが、私のは朝食のみのビジネスプラン。いわゆる「高級ホテルの貧乏プラン」という私の毎度のパターンだ。通された部屋は狭くてバス・トイレなしの典型的な「添乗員部屋」。まあ私には見慣れたタイプの部屋だ。

 部屋に入ると、着替えて大浴場へ。大浴場は内風呂と露天風呂の構成で、高級ホテルらしく大きな風呂。泉質はナトリウム塩化物泉でかなり塩っぱい。ややベッタリした印象の湯である。この手の湯は温まる湯なので北陸のような寒い地には向いている。

 

 風呂から上がるとフルーツ牛乳を頂いて一服。まさに生き返るというところ。

 

 風呂から上がってテレビを見ながらマッタリしていたら小腹が空いてきた。ホテル内の割烹「吉松」の2割引券をもらっているので、立ち寄ってみることにする。メニューを見るとラーメンやらいかにもそれ系のものが多い。そこで「氷見うどん」「ツブ貝の煮付け」を注文。どちらも普通に美味くて堪能。

 部屋に戻るとどっと疲れが出てくる。NHKスペシャルを見ながらベッドで横になっていると眠気が押し寄せてくる。寝る前にもう一度入浴しようと思っていたが、結局はその気にならないまま寝込んでしまう。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時過ぎぐらいに自動起床。テレビをつけてみると台風16号の情報を放送している。まだ台風本体は沖縄の向こうにあるのに、前線の影響で各地で大雨の地域があるとのこと。どうやら能登にもその影響が出ており、一部地域で大雨警報が発令されている模様。

 

 朝食は和定食。まあ典型的な大ホテルの朝食であり、普通に美味い。ご飯の友でご飯をいただくという印象の朝食。

 朝食後は入浴。昨晩には気づかなかったのだが、ここの大浴場はそこに海が見えるところにある。海が大荒れになると波をかぶりそうだが、ここは湾だからそんなに荒れないんだろうか。なお今朝はやや波は高めに思える。

 

 入浴を終えると10時前まで部屋でマッタリしてからチェックアウトする。今日は10時14分のサンダーバードで戻るので、10時前のバスで駅まで送迎してもらう。

 

 和倉温泉駅は大勢の客でごった返している。どうやら七尾線が大雨の影響で遅れており、サンダーバードもその煽りを食ったようだ。20分程度の遅れが見込まれるとのこと。

 左 和倉温泉駅は大混乱  中央 外は豪雨  右 謎の温泉キャラクター

謎の温泉キャラクター達

 サンダーバードは定刻より十数分遅れで乗客を満載して出発する。ちょうど宿の終了時刻に合わせてある便なので乗客が多いようだ。もう既に沿線の雨は大したことがなくなっているが、七尾線は単線のために信号待ちで各所で停車がある。これは遅れが拡大しそうな模様。

 

 金沢到着は20分遅れになったようだ。ここで大量の乗降がある。接続列車などは滅茶苦茶になっている模様。私は大阪まで乗り通しなので関係ないが。

 

 福井を過ぎたあたりからは雨はやんでいた。ただ空にはどんよりした雲がかかって天候は不穏。そのままその不穏さは大阪まで続くのだった。

 

 ようやくサンダーバードで大阪に到着すると、駅マルシェの「カニチャーハンの店」でかなり遅めの昼食を摂ることにする。行列が出来ていてやけに混雑している店だが、料理自体はまあ普通のチャーハン。

 大阪での昼食を終えると帰宅。これで今回の遠征は終了である。

 

 金沢までコンサートを聴きに行くというのが目的だったのが今回の遠征。アンサンブル金沢は大阪公演もあるのでそちらでも良かったのだが、一度本拠の石川県立音楽堂で聴いてみたいと感じた次第。結果としてはやはりこちらのホールの方がオケにマッチしていると感じられた。やはりオケにとってはホームというのは重要なようだ。

 

 

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