展覧会遠征 西宮編4

 

 この週末はPACで私の好きなメンデルスゾーンの「夏の夜の夢」が演奏されるとのことなのでそれを見学に行くことにした。ただそれだけだと芸もないので、美術館に立ち寄りがてら三ノ宮で昼食を摂ることにする。

 

 立ち寄ったのは「ラーメン元町軒」。つけ麺系のラーメン屋のようだが、つけ麺には特に興味がないので「魚介ラーメン(690円)」を頂く。

 ここの店のメニューの中では魚介ラーメンはあっさり系の位置づけのようだが、結構コッテリしている印象を受ける。まあ魚介系の出汁を取れば余程下手をしない限り外すことはないということで、結構無難なラーメンではある。

 

 昼食を終えると博物館までテクテクと歩く。神戸は市立美術館がないので実質的には神戸市立博物館が市立美術館を兼ねるのだが、この施設は歩くと駅から意外と距離があり、かといって車で行くと駐車場がないという難儀な施設である。兵庫県立美術館もやはり駅から微妙な距離がある上に駐車場料金が高くて難儀な施設だが、どうも神戸の公共施設はこういう点で使い勝手に欠ける。住民サービスを二の次に置く市当局の姿勢の現れでもあるようだ。


「我が名は鶴亭」神戸市立博物館で5/29まで

 

 鶴亭とは長崎出身の黄檗僧で画家でもあり、18世紀の関西で活躍した人物だという。彼は中国由来の花鳥画を正式に習っており、それを独自にアレンジした一派をなして当時の画壇に大きな影響を与えたという。彼の作品には伊藤若冲や池大雅も大きな影響を受けたという。

 という大画家の割には今日において知名度が高いと言い難い人物である。実際に彼の作品を目にすると、その当時には斬新だったのかもしれないが、今となってはその影響が各地に大きすぎたのかその後の日本画作品が多かれ少なかれ彼のタッチに類似しているために、皮肉なことに彼の独自性が見えにくいということになってしまう。確かに彼の精緻なる絵画には驚かされるところも多々あるのであるが、今日的な目で見てしまうと当時の若冲などがそこまで刺激された理由は今ひとつピンとこないのである。


 展覧会の見学を終えたが、ホールに直行するにはまだ時間に余裕がある。そこで三ノ宮地下の「風月堂カフェ」「抹茶あんみつ(918円)」を頂く。ホッとする一時である。

 一息を終えるとホールに向かうことにする。


芸術文化センター管弦楽団 特別演奏会 メンデルスゾーン 劇音楽「夏の夜の夢」

 

指揮・芸術監督 佐渡 裕

ナレーション 檀 ふみ

ヴィオラ 東条 慧

ソプラノ 幸田 浩子

メゾ・ソプラノ 林 美智子

合唱 京都市少年合唱団

管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団

 

■プログラム

ヒンデミット:室内音楽 第5番(ヴィオラ協奏曲)op36-4

メンデルスゾーン:劇音楽「夏の夜の夢」全曲 〜シェイクスピアの劇のための音楽 op.64

 

 一番驚かされたのは檀ふみのナレーション。ナレーションと言うよりも実際には寸劇になっており、パックに扮した彼女がステージ狭しと駆けずり回る軽妙さには圧倒された。さすがに舞台俳優の凄みというやつであろうか。

 今回は作品のストーリーを追う形で檀ふみのナレーションによる説明が入っているので、各場面と音楽の結びつきが分かりやすく、今まで音楽単独で聴いていたこの作品に対する理解が深まる点では興味深かった。ただ演奏の方については取り立てての特徴はなかったのは事実である。


 何やら、ナレーションというか女優檀ふみにステージが飲まれてしまったというところか。佐渡裕は完全に食われてしまったという印象。

 

 

戻る