展覧会遠征 神戸編13

 

 この週末はPACのコンサートのチケットを入手している。開演は15時から。昼前に出かけるとまずは三宮で昼食。久しぶりに「正家」「かつとじ定食(930円)」。まあ可もなく不可もなくというところか。もっと三宮でも良い店を開拓する必要がありそうだ。

 阪神三宮から岩屋へ移動。最寄りの美術館に立ち寄る。


「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」兵庫県立美術館で11/23まで

 

 手塚治虫が亡くなった1989年以降のマンガ、アニメ、ゲームの表現について概観する展覧会とのこと。

 とは言うものの、実際には代表的な作品を羅列しただけという印象で、そこから明快なテーマのようなものは全く浮かんでこない。板野サーカスの詳細な解説など、面白くはあるものの「何を今更」という印象だし、エヴァンゲリオンを今更出してこられても「だから?」で終わってしまう。結局一番の売りは懐かしゲームをプレイできるコーナーぐらいだったようだ。


 それにしても最近のゲーム機はとんでもなく性能が上がり、昔には考えられなかったような映像表現が出来るようなったが、一方でゲーム自体は全く面白くなくなってしまった。想像力をかき立てられる部分がなくなったせいか。またアニメもCGの使用などによって作画のレベルは向上したにもかかわらず、肝心の話自体が全く人間を描けていないスカスカなものが増えて、全く面白くなくなってしまった。

 会場の表にはセーラームーンやウテナの展示がされていたが、その延長上にまどマギがあったのは疑問。セーラームーンの延長上はプリキュアなら納得だが。

 

 まだ時間があるので隣の展示も覗く。


「パウル・クレー だれにもないしょ」兵庫県立美術館で11/23まで

 謎めいた作品を多数残したスイス出身の画家・パウル・クレーの展覧会。

 本展ではいろいろな角度からクレーのメッセージを解読しようとしているようであるが、何となくあまりに深読みしすぎているような気がしてならない。どことなく作者自身は結構思いつきで作品を作っているようにも見える。直感的に感じた印象だけで十分なのではないだろうか。

 私個人としては、彼の作品はその独特の色彩感覚が一番興味深いところである。それ以外についてはあまり興味は湧かない。特に線画だけによるスケッチなどは、私自身も似たような落書きはよくしていた。


 それにしても来る度に思うが、ここの美術館は無駄なスペースと動線の悪さが目立つ。使う方も極めて使いにくいらしいが、訪れる方もとにかく無駄に歩き回らされるので疲労とイライラが募る。さすがに実用建築設計能力が皆無の迷建築家・安藤忠雄による設計である。彼の能力が遺憾なく発揮された見事な迷建築物となっている。渋谷駅でもこの調子でやらかしたようだ。今後は少なくとも公共建築物では彼を設計に起用するべきではないだろう。

 

 美術館の見学を終えるとホールに向かうことにする。ホールはほぼ満席の大盛況。価格が安いことが幸いしているのか。


芸術文化センター管弦楽団 第33回名曲コンサート

 

指揮 ロベルト・フォレス・ヴェセス

ピアノ シプリアン・カツァリス

管弦楽 兵庫芸術文化センター管弦楽団

 

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」

ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68  「田園」

 

 どうも冒頭からPACオケのアンサンブルの精度の今ひとつの悪さが出てしまったように感じられる。ダーンと入るべきところで、どうしてもバシャーンという感じの音になってしまって、その後も音色に混濁が見られてどうもゴチャゴチャした演奏になってしまっていた。

 またピアノのカツァリスは、アンコールの即興曲で見せたように自在で奔放なタイプの演奏なので、バックのオケとのマッチも今ひとつの印象。オケの方がピアノに付いていくのに苦労しているように感じられた。

 ロベルト・フォレス・ヴェセスの指揮は妙にサクサクとした印象を受けるもの。そのために音楽があまり印象に残らずに流れてしまう。もう少し溜めやら、しっかり謳わせるべきところは謳わせるなどのメリハリが欲しいように感じられた。音楽は流暢に流れるのだが、どことなく退屈なのである。


 これで本日の予定は終了。家路につくのである。

 

 

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