展覧会遠征 大阪ライブ編4

 

 本格的に暑くなってきたが、この土曜日はライブのチケットを入手済みである。そこで灼熱の大阪へと出向くことと相成った。

 

 ただ出かける前に一仕事が。10時から発売のライブのチケットを確保しておく必要がある。東京で開催される1つは難なく確保できたが、問題は兵庫県立芸術文化センターの方。以前からここの予約サーバーの貧弱さは言われていたが、予約サーバーが10時前から完全ダウンで全くつながらない状態(HPの表示さえ出来ない)。当然こんな状態だから予約者がみんな電話に殺到するので、電話の方も「おかけになりました電話は大変混雑しており・・・」というNTTのメッセージが流れっぱなしの状態。もうこうなってしまうとにっちもさっちもいかないので諦めてしばし放置。結局はサーバーにつながったのは30分経過後、何とかチケットの確保は出来たが、ここは発売の度に毎回これである。それにも関わらず事態を改善しようという様子が全く見られない。もしかして、暇に飽かせて窓口まで出向いてくるジジババに優先的にチケットを回すために、わざとサーバーを落としているのではという気もしてくる。

 

 ようやく一仕事終えると大阪に向かうと、今日のコンサートのある福島へ(つまりはザ・シンフォニーホールだ)。今初めて気がついたが、福島駅の発車メロディは円広志か。大阪駅はたかじんだった。あまりにコテコテすぎて恥ずかしい曲ばかりだ。そう言えば新今宮が「新世界より」でズッコケタことがある。確かに近くに新世界はあるが、そもそもドボルザークの新世界には通天閣はない。思わず咄嗟に「ちゃうやろ、それ!」と一人ツッコミを入れてしまった。

 

 さて福島に到着したところで昼食である。どこにしようか迷ったが、先週にも立ち寄った「Da-Wa」で今度は「ステーキランチ(1000円)」を頂くことにする。

 先週より混雑していたので結構待たされる。付け合わせは先週と同じである。肉もなかなか良くてうまい。ただ一つだけ不満があるとしたら、焼き加減について全く聞かれずに問答無用でウェルダンで出てきたことだ。まさかウェルダンでないとヤバいような肉を使っているというわけではあるまい。私はがさつなアメリカンとは違うので、ステーキならミディアムで頂きたかった。

 

 昼食を終えるとホールへ向かう。今日のコンサートはスロヴァキアフィル。チェコスロバギアが二つに分裂して久しいが、スロバギアの方を代表するオーケストラである。十八番はご多分に漏れずスメタナ、ドボルザークというところで、今回のプログラムでもそれらを持ってきている。もっともやはり日本では知名度が落ちるのか、A席12000円というそう高いとも思えない価格設定にも関わらず、会場の入りは7割と言ったところである。高い席に売れ残りがあるようだ。なお私の席は中央のやや前寄り。もうちょっと後の方が聞きやすいのだが、まずまず良い席である。


スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団

 

[管弦楽]スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団

[指揮]レオシュ・スワロフスキー

[チェロ]宮田大

 

スメタナ:連作交響詩『わが祖国』より 「モルダウ」

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104

ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 「新世界より」 op.95

 

 モルダウについてはやはりご当地ものの強みが現れる。ただ以前に聞いたプラハ放送交響楽団よりはアンサンブルの緻密さがやや劣るのと、音色も洗練されておらずやや地味であるということは否定できない。なおレナルト・プラハ放送交響楽団のモルダウが滔々と流れていく大河だとしたら、スワロフスキー・スロヴァキアフィルのモルダウはもっと急流である。

 ドヴォルザークのチェロコンについては、宮田の堂々たる演奏が目立つ。テクニックも安定しているし、響きも力強いものがある。ただバックのオケとの掛け合いが若干ぎこちなさも感じられた。アンコールはバッハの無伴奏チェロ組曲からだったが、こちらの方が伸び伸びと思う存分弾けていたような印象だ。

 新世界についてはやはりここもプラハ放送交響楽団と同様で、この曲になった途端にアンサンブルの精度が数段向上する。味付けとしてはややスラブ的な野趣に富む新世界である。金管はやや地味であるが、弦の密度は高い。しかしやはり何度聞いてもこの曲の第4楽章は格好良いわ・・・。

 アンコールはお約束のドボルザークのスラブ舞曲から15番。スワロフスキーが日本語で「15番」と言っていた。これに関してはアンコールだから許される完全フルスロットルの演奏。音色が濁ろうが割れようがお構いなしのハイテンション演奏。スワロフスキーも指揮台の上で暴れる跳ねるとやりたい放題。元々動作が大きくメリハリが強いタイプの指揮者であるが、ここに来てオケだけでなく自身のリミッターも外してきた。最後は煽りまくりのアクセル全開。あのテンポでアンサンブルが崩壊しないのはさすが。


 尻上がりでドンドンと良くなって、最後はガツンと一発かましてくれたというコンサート。なかなかに楽しめた。それにしてもやはりご当地ものというのは侮れないわ。食べ物でも一番うまいのはご当地ものだし。とにかくオケが絶対の自信を持って余裕で演奏しているのが感じられる。余裕があるから遊ぶ余地もある。

 

 なかなかに堪能して帰ったのである。やはり音楽って良いなぁ・・・。

 

 

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