展覧会遠征 西宮編2

 

 この週末は数年ぶりにライブに出かけることにした。会場は西宮の兵庫県立芸術文化センター。そのついでに近場の美術館にも立ち寄ることにする。

さくら夙川駅から夙川公園を抜けて香櫨園に到着

 JRのさくら夙川駅で下車すると、夙川沿いの公園を散策しつつ香櫨園まで。このまま美術館に向かうところだが、最初に昼食を摂っておく。立ち寄ったのは香櫨園近くの「まめ牛」。ランチメニューの牛のランチ(950円)を注文。

 この価格で肉とご飯が食べ放題とか。もっとも価格が価格だけに肉自体は脂の多い切り落とし肉である。ただそれにも関わらず牛の脂があまりしつこくなくてうまいのは、元々の肉質が良いように思われる。これを炭火で焼くと過剰な脂は下に落ちるのか。ランチとしてのCPはなかなか良い。

ご飯とサラダに味噌汁がついてくる。肉はやや脂が多い。

これを炭火で焼いて頂くと意外とサッパリする

 昼食を終えると国道43号をくぐって、南の住宅街を散策がてら美術館へ。今までこの美術館には車でしか来たことがなかったが、こうして歩いてみると駅からそう遠くはないことが分かった。これは収穫。

 


「空想と写実−2013年度新収蔵作品を中心に−」西宮市立大谷美術館で3/22まで 

 絵画は須田剋太と山口啓介のものが中心。しかし共に残念ながら私の好みではなかった。面白かったのは河野通紀の超リアルな卵作品。またゴッホを敬愛するという大石輝一の作品はオマージュと言っても良いようなゴッホタッチの作品。

 立体作品としては國府理のパラボラアンテナを使用した作品。これを見た時には個人的にはあさりよしとおの「中空知防衛軍」に登場した跳び蹴りをかます光線兵器を思い出して爆笑してしまった。


 美術館の見学を終えると香櫨園駅まで戻って今津まで移動。ここで阪急に乗り換えて西宮北口を目指す。この路線に乗るのは久しぶりである。阪神と阪急は昔は地上で接続していたらしいが、今は両方とも高架駅になっていて線路は分離されている。今は両社とも同じ会社の傘下なんだから再び線路をつないでも良いような気もするが、まあ特にメリットもないか。

 阪急今津線列車

 西宮北口に到着すると、とりあえずはホールに出向いて予約していたチケットを引き取ることにする。兵庫県立芸術文化センターは西宮北口駅から高架でつながっている。コナミスポーツセンターの前を通るが、大勢がマシンに向かって歩いている。しかし何度見ても、私はわざわざ高い金を払ってベルトコンベアの上で歩くのは理解できない。

ホールには高架伝いで移動できる

 兵庫県立芸術文化センターは大中小の3種のホールがある。恐らくネーミングライツを販売したのだろう。大ホールがKOBELCOホールで、中ホールは阪急ホール、小ホールは神戸女学院ホールになっている。

 

 また開場までに1時間以上あるので、こんなところで待っていても仕方ない。と言っても回りには特に何もない。ここから東に歩いたところに西宮ガーデンズなる商業施設があるというからそこを覗くことにする。

 西宮ガーデンズ

 西宮ガーデンズは阪急百貨店が入居した巨大なイオンモールのようなもの。不景気の今時には珍しいバブルの臭いのする施設である。駅前によくまあこれだけのスペースがあったもんだと思ったら、阪急西宮球場の跡らしい。そう言えば、南海も大阪球場の跡に似たようなものを作ろうとしていると聞いたことがある。

 

 喫茶店にでも寄ろうかと思ったが、どこも人が一杯。しかもカメラを構えたら警備員が飛んでくる。施設内は撮影禁止だとか。は? ブティックの店頭やら電気店の値札なんかを撮るのなら禁止するのも分かるが、施設内が一切撮影禁止って? 別に建物のデザインなんかは単なるでっかいイオンモールで何も斬新なところもないし。わけが分からんが、それが施設の方針なら仕方ない。どうせ買うものもないし、気も悪いしということでさっさと後にする。

 

 仕方ないので駅の北側に出向くが、繁華街はあるものの喫茶の類いはない。まさか居酒屋やケンタに入ろうとも思わんし・・・。結局は西宮北口駅周辺を散歩しただけでホールに戻ってくる。結局は何だかんだでこの日は1万2千歩以上歩いていたのだが。

 

 ホールに戻ってしばらく待つとようやく開場時間。別に指定席だから並ぶ必要があるわけでもないのに開場時間にゲート前に並ぶのが日本人の不思議な習性。

 

 ここのホールは初めて来るが、客席が4階まである巨大なホール。オーケストラ演奏を想定しているホールなら、ザ・シンフォニーホールのように舞台の後ろにも客席があるタイプが今の流行だが、ここは元々オペラ上演を想定しているホールらしく、客席配置が完全にオペラハウス形式。舞台になっているところはオペラ上演時にはオーケストラピットになるらしいから、多分昇降式なんだろう。とりあえず席を確認すると開演待ち。開演時にはほぼ満席であり大盛況である。客層は平均年齢がやや高く、常連的雰囲気を持っている者が多い。

ホールはいわゆるオペラハウス形式


兵庫芸術文化センター管弦楽団第76回定期演奏会

 

指揮:下野竜也 ヴァイオリン:シン・ヒョンス

曲目

吉松隆 朱鷺によせる哀歌

プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第2番

ドヴォルザーク 交響曲第7番

 

 1曲目は日本の作曲家による作品。吉松隆の名は私は知らないが、NHK大河ドラマ「平清盛」のOPを作曲した作曲家とか。確かに不協和音でモワッと弦で立ち上がるタイプの展開は聞き覚えがある。弦楽器とピアノのみの作品で、通常のオーケストラとはかなり異なる楽器配置が特徴的。旋律的には美しいものがあったりするのだが、曲全体は私には冗長に感じられる部分が多々あり、場内でも途中で船を漕いでいる者があちこちに。

 2曲目はロシアの作曲家・プロコフィエフによるもの。ただ私自身はこの曲は今まで聞いたことがない。現代に近い時代の作品だけに結構不協和音が耳に付く曲。旋律はロシア的であるが、第3楽章の演出がスペイン風なのは作曲の依頼者がスペイン人だったからではないかとのこと。シン・ヒョンスは大柄の美人バイオリニスト。力強くてキレの良い演奏をするという印象である。

 3曲目はドヴォルザークの名曲だが、今回改めて聞いてみて、全楽章を通じて民族舞踏的な旋律がかなり随所にちりばめてあることを再確認した。ライブで弦楽器の演奏がかなり細かく聞こえてきたことで、これらの旋律が浮き彫りになっている。下野竜也氏の指揮は小さな体を最大限大きく使ってのダイナミックなもの。なかなかに叙情たっぷりの聞かせる演奏になっていた。


 指揮者の下野竜也氏がかなり小柄であるのに対し、独奏者のシン・ヒョンスが大柄なので、二人が並ぶと頭一つ分ぐらい身長に差があって結構笑えるビジュアルになっていた。兵庫芸術文化センター管弦楽団の演奏は初めて聴くが、なかなか悪くない印象。もっとも私の方もライブに参加したのはかなり久方ぶりなので、偉そうに音楽評論的なことを語れるような立場ではない。ただそんな私でも気になったのは、ホールの音響が今ひとつというところ。ハッキリ言って残響は限りなく0に近い。オペラホールとして設計したのだから残響は少なめということか? それにしても響きが足りない。

 

 やはりライブは良い。久しぶりのライブで気分的に盛り上がったところで家路についたのである。

 

 

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