展覧会遠征 東京編5

 

 GWの長期遠征の疲れがまだ抜けきっていない状態だが、急遽東京に行くこととなった。と言っても今回は遠征ではなく仕事の出張。ただし仕事の用件は月曜日。そこでそれならついでに自腹で週末に宿泊して、東京方面での用事(美術館が中心)をこなしておこうかと考えた次第。

 

 金曜日の仕事を終えるとそのまま東京に直行する。新幹線の中でガッテン&ヒストリアを数本倍速で見終わった頃にようやく東京到着。いつものことながら結構体に堪える行程である。今日の宿泊ホテルは例によっての私の定宿ホテルNEO東京。ただ南千住に直行する前に上野で途中下車して夕食を摂ることにする。駅前に出たところでパッと目に付いた「ねぎし」に入店する。牛タン、麦飯のいわゆる仙台飯の店である。注文したのは「タントロセット(1580円)」

 特別にうまいわけではないが、まずくはなかったので東京では上々だろう。東京という町は名物といえるような食べ物はないが、とにかく日本中の名物の劣化版コピーには事欠かない町である。

 

 ホテルに到着した頃には10時前になっていた。すぐに風呂に行くと、その晩はMP4で落としてきたガンダムUCを見ている内にウトウトとする。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時まで爆睡する。どうもGWの疲労がまだ抜けていないようだ。しばらくNHKのニュースを見ながらボンヤリ。この春から朝のニュースのアナウンサーが代わったが、今度の女性はなかなか美人である。NHKおはよう日本のアナウンサーと言えば、可愛いタイプの首藤奈知子が印象に残るが、現在の和久田麻由子は美人タイプである。しばし呆けていたが、ようやく8時前には外出する。

 

 さて今日の予定だが、小田急本線の視察を兼ねて箱根湯本まで行くつもりである。北千住発の特急ロマンスカーの指定券を既に予約してある。新宿ー代々木上原間は以前に視察済みなので、この列車で小田急線の視察は終了することになる。

 

 隣の北千住まで地下鉄で移動するととりあえず駅前で朝食。ロマンスカーは千代田線のホームから出るのでそこに移動。ホームにはいかにも行楽客という様子の乗客が大勢並んでおり、明らかに普通の地下鉄の乗客とは異彩を放っている。

小田急ロマンスカー

 しばらく待った後、ロマンスカーが到着する。私が以前に乃木坂でたまたま見かけた車両である。6両編成で2×2のクロスシート。ごく標準的な特急車両だが、窓が比較的大きい。

 

 ロマンスカーはしばしは地下鉄の中を走る。と言っても大混雑の地下鉄線であるからトロトロ運転である。ただ地下鉄で駅をスルーするのは新鮮ではある。

 

 次の停車駅は大手町。ここでは乗り込みの扱いだけして、下車は出来ないようだ。東京駅最寄りだけあって、意外と乗り込み客が多い。次は霞ヶ関で同様の停車をするが、ここから乗り込んでくる大蔵官僚はいない。

 

 表参道を過ぎると代々木上原で乗務員の交代があって、いよいよここから小田急線である。列車もようやく地下鉄線内のトロトロ運転から脱してまともな速度で走り始める。とは言うものの、やはりあまり速いわけではない。前が混んでいるのか途中でつかえることもある。小田原までお急ぎの方は新幹線でということか。名古屋行きの近鉄特急のようなものである。

 

 沿線は延々と住宅地で面白味がない。変化が現れるのは厚木を過ぎた頃から。沿線が急速に田舎めいてくると共に、富士山が見え始める。そして次に到着する町が小田原。

左 厚木を過ぎた辺りから沿線風景が変わってくる  中央 富士山が見える  右 小田原城のそばを通る

 小田原からは箱根登山鉄道になる。単線の上に傾斜がきついのでまたもスローダウンしてトロトロ運転になる。終点の箱根湯本はすぐである。強羅に行くならここから乗り換えだが、今日の目的地は強羅ではない。まずは元箱根の成川美術館に立ち寄るつもり。今日は富士がはっきり見えているようなので、さぞ絶景が楽しめるだろう。

左 箱根湯本  中央 湯本駅に到着  右 箱根湯本駅

 元箱根までは新道経由の急行バスで移動。往復ともにバスのつもりなので購入したのは箱根旧街道・1号線きっぷ。箱根登山鉄道の小涌谷駅までと箱根までのバスなどが乗り放題の切符である。元箱根まではバスで30分ほど。満員状態なので立っての移動。新道は七曲がりがあって左右に揺られるので結構しんどい。

  

左 箱根旧街道・1号線きっぷ  右 バスの沿道風景

 元箱根に到着すると成川美術館は目の前。入館すると絵を見るより先に喫茶室に立ち寄って風景を堪能。前回に箱根を訪れた時には生憎の天候で不二子ちゃんには振られっぱなしだったのだが、今日は富士がはっきり見えていて美しい。

 

今回は富士を堪能

 成川美術館の展示は今回は花を描いた日本画。花を描くと言っても百人百様の描き方があるものだが、日本画においては桜の描き方などはかなり図案化されていてパターンがあるなということはよく分かった。基本的にはスタンプを押したように真っ正面を向いた花を並べるか、花を集合体として雲のように描くかの2パターン。なぜか日本画では桜を写実的に描いた作品というのは見た記憶がない。何やら不思議な感じである。

 喫茶ではケーキセットを頂いた

 成川美術館の見学を終えると昼食を摂ることにする。適当に近くの「絹引の里」に入店。絹引天ぷらうどんと黒糖いなりを注文。

 絹引うどんは細手の乾麺でにゅうめんの類。ただ麺はともかくとして出汁の方がやはり関東風。関西人は関東でうどんと名がつくものを食べるべきではないか(丸亀製麺やはなまるうどんはよく利用するが)。それにこの2点で2052円というのはあからさまな観光地価格。

 昼食を終えると箱根遊覧船で箱根園に行くことにする。前回は大涌谷から海賊船の方に乗っているので、今回は箱根園から駒ヶ岳に登ろうという考え。海賊船と大涌谷ロープウェイは小田急系の施設だが、箱根遊覧船と駒ヶ岳ロープウェイは西武系の施設である。箱根は小田急と西武がしのぎを削っている地域でもある。

 

 遊覧船とロープウェイのセット券を購入すると遊覧船で箱根園へ。箱根園は水族館や動物園がある娯楽施設になっており、ここから駒ヶ岳ロープウェイが出ている。

左 遊覧船乗り場  中央 セット券  右 遊覧船

左 内部座席  中央 デッキで風景鑑賞  右 駒ヶ岳

 駒ヶ岳ロープウェイは定員101人という大型のもの。この巨大ゴンドラに結構大勢の乗客がごった返す。ロープウェイが上昇すると共に芦ノ湖の全景が見え始め、やがてその向こうに駿河湾までが見えてくる。それにしても駒ヶ岳はかなりの急斜面な山である。この山自体が展望タワーのようである。

左 ロープウェイ乗り場へ向かう  中央 ロープウェイ  右 ゴンドラは結構大きい

上がるにつれて急激に風景が変わる

 山上駅はかなり巨大なのだが、なぜか半ば廃墟の趣がある。また駒ヶ岳山頂はかなり平坦であり、何とも独特な山容の山である。山頂の荒涼とした光景はどことなく現実離れしており、植物がなければ火星の光景のようにさえ見えるだろう。なおこの平坦空間は結構広さがあるので、これで高さがもう少し低ければ間違いなく山上に城郭が作られたところだろうが。

どことなく異星めいた駒ヶ岳山上の風景

左 何やら廃墟めいて見えるロープウェイ山上駅  中央 遠くに見える箱根元宮  右 展望台へ

 風景を眺めながら山頂を一周。仕事の関係で今回は登山靴でなく革靴を履いてきているので歩きにくい。風景を堪能すると頂上にある箱根元宮を参拝。ここからは富士山がよく見える。

  

左 箱根元宮  右 富士山がそこに見える

 山頂に滞在すること30分足らず。山頂を一回りするとロープウェイで降りてくる。麓で帰りの遊覧船を待つ間に抹茶とうふアイスを頂く。何となく大豆の味がする奇妙なアイスである。

左 ロープウェイで降りる  中央 富士山  右 すごい傾斜だ
 抹茶豆腐アイス

 遊覧船で箱根関所経由で元箱根に戻るとここからバスで箱根湯本に戻る。さてこれからどうするかだが、やはり箱根に来たからには温泉には入っていきたい。ちょうど箱根のホテルを回るバスが待っていたのでこれに飛び乗る。事前の調査によるとホテルおかだに日帰り専門の施設があるらしい。

 箱根はエヴァの聖地でもある

 ホテルおかだ前でバスを降りると、ホテル内を通過して裏手の湯の里おかだを訪問する。ここがホテルおかだの日帰り専門施設のようだ。結構客が来ているようで、駐車場には車が多く止まっている。私は日帰り入浴と食事がセットになっているプランを選択。このプランだと作務衣とタオルも付いてくるようである。

 ホテルおかだの日帰り入浴施設・湯の里

 風呂は最上階の4階で、3階が休憩室という構成。風呂は露天風呂を中心にかなり充実している。泉質はアルカリ泉のようだが、そう特徴があるわけではない。露天風呂でゆっくりとくつろぐと共に汗を流す。

 

 入浴後は2階のレストランで食事。メニューは簡易会席のようなもの。可もなく不可もなくというところ。

 入浴と食事を終えると再びバスで箱根湯本に。後はロマンスカーで帰ってきたのであった。結局は一日箱根で遊び倒したというところである。

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝は7時に起床。昨日動きすぎたのか体がやけに重い。特に革靴で歩き回ったことが思いの外足にダメージを与えていたようで、足がかなり痛い。ようやく体を起こすと8時過ぎにチェックアウトする。

 

 今日の予定だが、基本的には上野地区の美術館見学だけである。ただその前に寄り道をする予定。いよいよ首都圏最後の私鉄である埼玉のニューシャトルの見学である。

 

 ニューシャトルは東北・上越新幹線の高架に沿って敷設された新交通システムである。大宮以南はちょうど埼京線が新幹線沿いに敷設されているが、大宮以北ではニューシャトルがそれに取って代わる形である。

 ニューシャトルの大宮駅はJR大宮駅の北側にある。新幹線の東側から来た列車が、この駅から新幹線の西側を登っていくルートになっており、大宮駅では進行方向は変わらない構造になっている。列車は6両編成の新交通システムタイプ。ただし無人運転でなくて有人運転である。またタイヤを使用している新交通システムの割にはよく揺れるという印象。乗り心地が良くないことで定評がある大阪のニュートラムよりもさらに揺れる。

ニューシャトル大宮駅

新交通システムで車両はタイヤで走っている

 ニューシャトルは東北新幹線と上越新幹線が分岐する丸山駅までは新幹線の軌道の東西に分かれた複線構造だが、丸山駅以北は単線となり、上越新幹線の西側に沿って進むことになる。また沿線もこの辺りからかなり閑散としてきて、新興住宅地としての開発が進められていることが覗える。

最初は新幹線の軌道の両脇に分かれた複線

丸山駅のところから単線になる

 終点の内宿は開発中の新興住宅地の駅という印象で全く何もないところである。ここには用はないので引き返してくる。

左 終点内宿に到着  中央 どん詰まりの駅  右 新幹線がすぐ隣を走る

駅の周辺は本当に何もない

 これで首都圏私鉄視察完全終了である。後は東北地区の鉄道が残るのみ。鉄オタではないと言いつつ、一体何をやってるんだが・・・。

 

 大宮まで戻ってくると上野に移動。これが今日の本題である。ただその前に早めの昼食を摂ることにする。店を選ぶのも面倒なので例によって上野の文化亭で。疲れているので昼からガッツリとステーキを食う。

 腹がふくれたところでようやく今日の本題である。まずは東京都美術館に向かう。

 


「バルテュス展」東京都美術館で6/22まで

 

 「20世紀最後の巨匠」などともに言われているバルテュスの大回顧展。

 賛否両論が分かれると言われているのが彼の絵画だが、確かにクセが強いので好き嫌いは分かれると思われる。また彼の作品について「卑猥」という批判もあるとのことだが、私の目には人物があまりに無機的に映るので、どのような大胆なポーズをしていても「エロティック」とは一切感じなかった。彼は晩年に向かうにつれて中世のフレスコ絵画の影響を受けていたとのことだが、それは確かに明らかに作品からも読み取れ、全く絵柄としては似てはいないにもかかわらず、私の目には有元利夫の作品と雰囲気がかぶって感じられた。

 ただやはり私の好みとはかなりずれた作品であるということは否定できなかった。正直なところ、個人的にはあまり魅力を感じない画家である。


 美術館の見学を終えると国立博物館に向かう。確か国立博物館ではキトラ古墳の壁画が公開されているはず・・・と思ったのだが、博物館には黒山の人だかり、聞くところによると待ち時間が140分の状態とか。さすがに140分も待つ根性も体力もない。さっさと諦めることにする。

 国立博物館は大混雑

 ここに来て強烈な疲労が押し寄せてきた。GWの疲れが抜けきっていないところに、昨日の箱根で無理をしすぎたか。これ以上どこかの美術館を見学という状況でもなかったので、かなり早めだがホテルを目指すことにする。今日の宿泊予定のホテルはルートイン馬車道

 

 東京駅で東海道線に乗り換えるのも面倒なので、京浜東北線でプラプラと横浜まで。まだチェックイン時間まで1時間あるので、横浜周辺で時間をつぶすかと思ったが喫茶店が見あたらない。仕方ないので馬車道まで行ってからホテル近くの紅茶専門店「サモアール」ケーキセット(アイスロイヤルミルクティー+モンブラン)を頂きながら時間をつぶす。

 ようやく3時になったのでホテルにチェックイン。そのまま大浴場に直行して入浴を済ませると、布団の上に倒れ込んで夕方近くまで完全に意識を失ったのだった。

 

 夕方頃起き出すと夕食に繰り出すことにする。横浜と言えばやはり中華街しかあるまい。しかし困るのは中華料理店は一人では行きにくいこと。やはりいろいろなメニューを少しずつ頂きたいと考えるのが人情だが、コースメニューはほとんどの店で「お二人様から」の二人縛りがある。一人でいろいろとなると必然的にバイキング形式の食べ放題店になってしまう。と言うわけで選んだ店が「華福飯店」

 ただ正直なところ、すべてのメニューがまずくはないが驚くほどおいしいものはないというところ。確かに決まった額でガッツリ食えるのでCPは良いのだが、私として量はもう少し減らしても良いから、もっとおいしいものを食べたかったところ。

 若干不満の残る夕食を終えるとホテルに戻り、入浴するのもしんどいのでそのままダウンしてしまったのだった。

  

☆☆☆☆☆

 

 

 翌朝はいよいよ仕事である。とは言うものの、今日の午前はフリータイム。というわけでみなとみらいの横浜美術館に立ち寄る。

 横浜美術館では日本版画展を開催中。様々な作品が展示されていたが、やはり私の好み的には興味が湧くのは大正版画で、川瀬巴水や吉田博といったところ。この辺りのかつての浮世絵の系譜をストレートに汲んだ風景版画が美しい。

 

 美術館を一回りしてから喫茶で一服。やはり結構疲労が溜まっている。今日は仕事なので疲労を残しておくわけにはいかない。抹茶パフェでドーピング。

 まだ時間があるので向かいのショッピングビルのマークスをプラプラと見学するが、やはりこの手の施設に私の興味を引くものは全くない。その内に昼時になってきたので昼食を摂ることにする。入店したのは「築地食堂源ちゃん」。昼食メニューの日替わり丼(1000円)を注文する。人気があるのかかなり混雑した店だが、魚の鮮度や盛りなどの点では特にどうというところがないという印象。しかし驚異の低CP飲食店ばかりの首都圏では、この内容だと驚異の高CPということになるんだろう。

  

 昼食を終えたところで私の自由時間は終了である。ここからはビジネスマンに頭を切り換え、仕事の方に励むことに相成った次第である。

 

 出張のついでに首都圏私鉄視察を終了させてしまったのが今回。しかし情けないことに体力の限界が露呈してしまった。特に初日の箱根が思った以上にハードだったようで、翌日の美術館巡りは大幅に予定を縮小せざるを得なくなってしまった。純粋な遠征だったら少々無理してでも動き回ったかもしれないが、何しろ今回はそもそも仕事のための出張であり、肝心の翌日の仕事に障っては話にならないので。結局はその日は美術館を1つ回っただけで撤退という情けない仕儀に相成った次第。

 

 何だかんだで首都圏私鉄視察終了したので、未視察路線は後に残るはJR只見線と三陸地域の鉄道、さらに仙台地下鉄のみとなった。いずれも近日中に視察に出向くつもり。何やら私も公式に鉄道マニアとは認めないうちに国内全鉄道制覇という訳の分からないことになりそうなことに・・・。一体何をやってるんやら。私の人生は膨大な無駄によって出来ているとよく言われるのだが、確かにそうかもしれない。最近は自分でも自分が何をしたいのか分からなくなってきた。

 

 

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