展覧会遠征 京都編7

 

 この週末は京都に出向くことにした。目的は京都で開催中の「印象派展」。今まで何度も行こうと思いながらも体調不良やスケジュールの関係で延び延びになっている内に会期末が近づいてきてしまった。

 

 京都ということで使用するのは鉄道、関西1デイパスを購入しての遠征となる。会場の京都文化博物館に到着したのは11時過ぎぐらい。ここに来るのは一体何十回目だろうか? しかし会場が近づいた途端に嫌な予感を感じる。やけに人が多すぎる。会場に到着すると嫌な予感は的中で入館待ちの行列が出来ている状態。昔から混雑するのは「エジプト、浮世絵、印象派」というのは私が言っているところだが、まさにその通りの展開である。

 会場は大混雑

 20分程度待たされて会場に入るが、懸念していたとおりに会場内は美術鑑賞には最悪の状態だった。人混みの頭越しにモネがチラチラと見える状態。会場内を動き回って空いているところから見ていくという方法をとったが、おかげであまりじっくりと見て回るということは出来なかった。


「光の賛歌 印象派展」京都文化博物館で5/11まで

 

 内外から印象派の名品を集めた展覧会。モネの作品がかなり大量に展示されていたと同時に、シスレー、ピサロなどの作品も多数。

 群衆の頭越しという非常に最悪の鑑賞コンディションになったのだが、そのせいでの発見は「やはり印象派の作品は距離を置いて見るのが正解だ」ということ。シスレーの作品などは間近で見るとタッチの荒さなどが見えるだけなのだが、距離を置いて見ると光のキラキラとした煌めきが見えてくるのである。これこそが印象派が目指していた光の表現なんだと今更ながら再認識することになった。

 本展のの目玉の一つはルノワールの「ブージヴァルのダンス」であるが、さすがにルノワールと唸らせられる一品。人物の生き生きした描き方と光の表現が素晴らしい。

 モネの晩年の睡蓮の作品も数点。これらは湖面の光の煌めきが凄まじい。改めてモネの晩年の表現に唸らされる。全体的に目を引く良品が多数であった。それだけにこの最悪の鑑賞コンディションが恨めしい。


 そろそろ昼食時だが、当然のように文化博物館内の飲食店(撤退するところが多くて今は二軒だけになっているが)は満員なので外で食べることにする。見つけたのは「季節家」。ここでランチメニューから「ウナギ丼スペシャル(1290円)」を注文。

  

 たまたまウナギが食いたくなったからだが、元よりうなぎ屋ではないのでウナギ自体にはあまり期待していない。そういう点では可もなく不可もなく。ただとかくCPの点では厳しいところがある京都ランチの中ではCP的にはまずまずと思える。なおどちらかと言えば丼メニューの中ではステーキ丼の方が良さそうな印象は受けた。次回はこれにしよう。

 

 さて本遠征の目的はもう終えてこれからどうするかだ。実のところ綿密な予定はない。そこで関西1デイパスについてくるチケットを有効活用したい。関西1デイパスに付属するのは南海の堺・住吉チケットか京阪の京都観光チケット、もしくは近鉄の飛鳥チケットである。この内南海は以前に利用したし、今から飛鳥に行く気もしない。となると京都定期観光チケットである。これは京阪の京橋−東福寺間往復及び東福寺−出町柳間の乗り放題+京都定期観光バスが利用できるチケット。ちょうど今からだと京都定期観光の午後からの便が間に合うのでこれに参加することにする。

 観光バスは京都駅の定期観光バス乗り場から出ている。本日は総勢34人とのこと。ガイド付きで東寺と金閣寺を回るというコテコテの観光コースである。

 

 東寺は平安時代に創建された寺院で、朱雀門の東側を守るから東寺だったらしい。かつては朱雀門と西寺があったはずなのだが、これらは長年の歴史の中で市街地に埋もれてしまって、今では東寺だけが残っているという。ちなみに東寺の五重塔は現存の中では最も高いものだとか。

 講堂内には大日如来を中心とした立体曼荼羅の配置で仏像が配置されている。説明によると中心が如来による如来部、向かって左側が慈悲によって人を救済する菩薩が配された菩薩部、右側は煩悩を断つ強面の明王による明王部。この菩薩と明王が飴と鞭と言おうか硬軟両面から人を救済するシステムになっている。そしてこれらを防護するのが両側の武装した天部であり、特に四隅の広目天、増長天、多聞天、持国天がいわゆる四天王である。これが密教の世界観らしい。

 大日如来が祀られている講堂

 隣の金堂にあるのが薬師如来。薬師如来は現世で救済してくれる我々庶民にはありがたい仏である。その台座にいるのが十二神将だが、これは干支の動物からとっているらしい。

 こちらは金堂

左 南大門  中央 西門  右 北大門

 

左 開かずの門の東大門  中央 食堂  右 五重塔

 非常に要点を得た解説で、密教の世界観と東寺の歴史についてざっと説明してもらって非常に勉強になった。自由時間内で五重塔や庭園を散策してからバスに戻る。

 

 次は金閣寺への移動。途中で二条城の近くを通るが観光客で一杯である。金閣寺周辺はさらに観光客がごった返していてバスが駐車場に入るのも一苦労。さらに金閣寺内はまるでラッシュの駅構内状態。かなり足早に見学を済ませると駐車場に戻ってきてから抹茶ソフトでクールダウンしたり、土産物を購入したりという定番観光コース。

 京都駅に戻ってきたのは夕方頃。今更ながらのコテコテの観光コースなのであるが、参加してみると意外に楽しめた。なお午前の部は清水寺と南禅寺を回るコースになっている。関西1デイパスではこのどちらかが利用できる。バスを乗り継いでいくのも意外と面倒なので、これはこれで結構使える。

 金閣寺はこの混雑

 京都に戻ってくると帰る前にこの最悪建造物の中にある美術館に立ち寄る。

 


「日本画にみるさくら展−横山大観から中島千波まで−」京都伊勢丹で4/22まで

 

 桜は日本画の題材としてよく選ばれるが、その桜を描いた日本画を集めた展覧会。横山大観の作品から、川合玉堂、上村松園、小野竹喬、東山魁夷、加山又造、さらに桜と言えばの中島千波などの作品を展示している。

 こうして見てみると日本画における桜の描き方というのはかなり定型化しているように感じられる。花を一つ一つ描くか、花全体を雲のように描くかの2パターンなんだが、花を一つ一つ描く場合にはすべての花がなぜか正面を向いている場合が多い。桜は装飾的に描くというのが日本画の伝統なんだろう。


 これで京都での予定は終了、馬鹿混みの新快速で家路についたのである。

 

 

戻る