展覧会遠征 神戸編9

 

 先週、先々週と大型遠征の連続でさすがに体力・財力共に完全に困窮している。この状況では週末は静かに家で寝ているかとも思っていたのだが、どうしても行っておきたい展覧会があったので、会期内に行ってくることにする。疲れているので車で移動する。


「生誕130年 橋本関雪展」兵庫県立美術館で10/20まで

 

 日本画の大家の展覧会である。関雪は竹内栖鳳の元で日本画を学び四条派の絵画を習得して、文展や帝展などの官展で活躍する。しかし幼い頃から父から漢学を学んでいてその方面の造詣が深かった関雪は、徐々に南画への傾倒を深め、芸術論の違いから師の栖鳳とも袂を分かって新南画と呼ばれる新領域を開拓することになる。

 本展では関雪の初期作品から晩期の作品までを概観することが出来る。初期の官展で活躍していた時代は明らかに四条派的な精密で写実的な絵画を描いており、そこに関雪の高い技術力を感じることが出来る。

 時代が進むに連れて関雪の南画志向が作品に出始める。初期の精緻さが影を潜めて、もっと自由で伸びやかな作風へと変化してくる。どちらが好みかは人によって分かれるような気がするが、明らかに描いていて楽しそうに感じるのが晩期の作品である。

 大家の芸術の流れ、その中での模索、そのようなものが感じられる展覧会で非常に興味深いものであった。


 当初のプランではもう一カ所立ち寄ることも考えていたが、思いのほか疲労が深いようであり、直帰することと相成った。

 

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