展覧会遠征 芦屋・神戸編

 

 先週は関東まで大型遠征を実施し、体力的にも金銭的に疲労困憊である。そこで今週は近場の美術館を押さえるお手軽遠征を実施することにする。

 

 最初の目的地は最近ご無沙汰だった美術館の訪問。昼前に家を出ると芦屋まで車を走らせる。しかし陽気のせいか人出が多く、高速道路が渋滞していて現地到着はかなり難渋、現地到着は予定よりも大幅に遅れてしまった。しかし美術館の辺りは春の桜が咲き始めていてなかなかに綺麗である。

    


「世界を魅了した「青」浮世絵名品展」芦屋市立美術博物館で5/6まで

 江戸時代の浮世絵版画は最初は紅刷りと言われる赤っぽい絵が中心であったが、次第に豪華な多色刷りへと移行していく。しかしその際に問題になったのが青色の染料である。初期に用いられていた露草青は保存性に難点があるため、残念ながらこれを用いた鈴木春信の作品などには今日では往時の色彩を見ることは出来ない。また藍なども用いられることがあったが、藍は褪色はしないものの大量生産が困難なことと水溶性がないためにぼかしが困難であるなど、版画に用いるには難点があった。

 ここで登場したのが合成染料であるベルリンブルーである。この染料は水溶性が高い上に保存性も高いという優れた特性を持っていた。そしてこの染料をいち早く用いた画家が葛飾北斎である。彼の富岳三十六景は名作として世界的に知られているが、それにはベルリンブルーによる青の表現は不可欠のものとなっている。

 本展はこのような「青」染料の観点から浮世絵を眺めるという変わった主旨の展覧会である。展示作は葛飾北斎の作品など一級品揃いだが、先の展覧会の主旨からあえて芸術性はそう高くないと言われる作品も資料として展示してある。その辺りがなかなか興味深い。

 しかし改めて見てみると春信の作品の褪色の著しさはつくづく残念。これに往年の色彩を復元するにはCGなどの手法を駆使するしかないのであろうか。


 展覧会の見学を終えると次の目的地へと向かう。次はほとんど行きつけと言って良い美術館である。ただ到着時には既に昼を回っていたので昼食を先にすることにする。店をどうしようか悩んだが、面倒くさいので美術館のレストランに入店。展覧会に合わせたランチコースを注文する。ただこれは結果としてあまり正解とは言い難かった。味は悪くはないものの、とにかくCPが悪い。また空席があるにもかかわらず、いつまでも案内されずに延々と待たされるなど、客あしらいの点でも最悪のものを感じた。多分このレストランには二度と来ることはないだろう。

  

  


「超・大河原邦男展」兵庫県立美術館で5/19まで

 

 機動戦士ガンダムなどのリアルメカから、タイムボカンシリーズのユーモアメカまで幅広いアニメーションのメカデザインで知られる大河原邦男氏の作品を展示した展覧会。

 初期作品から最近の作品まで幅広く展示されているので、単純にアニメの歴史展的な見方をしてもかなり楽しめる。会場内もいつもの美術館客とは明らかに違った客層が押しかけており、かなり変わった雰囲気。

いつもとは一風違った雰囲気の美術館内


 当時の作品のOPビデオなんかも流れていて懐かしい限り。「こちらにおわすお方こそ。畏れおおくもミト王子」とか「我が社の金庫を守るため、いや!地球の幸せ守るため」とか思わず歌が口をついて出てしまう。

 

 次の目的地は近くのここも行きつけの場所。例によって大丸契約駐車場に車を止めてから歩いていく。

 


「中国 王朝の至宝展」神戸市立博物館で4/7まで

 夏王朝から始まる中国歴代王朝に纏わる秘宝を展示した展覧会。

 この手の中国の秘宝展は結構よくあるのだが、本展が面白いのは「蜀」対「夏・殷」とか「楚」対「斉・魯」というように、当時の中国で並立していた異種文化を比較の形式で展示していること。それによって各々の王朝の特徴が際だっており興味を惹かれる。

 また古代から近世までここまで長期にわたる文物を一気に展示する形式の展覧会というのも意外と珍しく、中国の歴史の長さとその変遷を体感できる展覧会となっている。展示品が一級品であるのは間違いないが、何よりも見せ方のうまさを感じさせられる展覧会であった。


 これで今回の遠征の予定は終了。後は駐車料金がわりに大丸でバームクーヘンを購入したが、とにかく疲労も強いので、ついでに喫茶で茶そばセットを頂いてから帰宅することにしたのである。

 茶そばセット、ややカロリーオーバーか

 

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