展覧会遠征 三木編

 

 先日岡山方面に繰り出したところであるが、今日は三木方面に繰り出すことにした。実は三木については以前に三木鉄道が廃線になる時に訪問しているが、その際に三木城をよく調査していなかったことがずっと心残りになっていた(当時はそれほどに城郭に興味がなかった)。そこで長年の懸案事項を片づけるべく、いざ出陣と相成った次第である。

 

 三木まではそう遠くない。車でしばし走ること三木市街に到着。ただ三木市街に突入すると共に車が走りにくくなる。三木城は三木市街にそびえる山、というか高原上に存在する。しかしそこへのアクセス道路が道幅が狭い上に登りが急という非常に走行しにくい道路になっている。

 山上に上がるとそこには美術館や図書館などがある。これらがある部分がかつての二の丸で、どうやら廃城後は学校になっていたのか古い木造校舎が残っている。ここに車を停めるとまずは美術館を見学する。

 古い木造校舎が建っている


「本荘正彦 花たちの木版画展」三木市立堀光美術館で1/29まで

 本荘正彦氏による多色刷り木版画による花の絵を中心とした展覧会。非常に色鮮やかでそれでいてなかなか繊細。また刷りの独特の質感も魅力的。

 多色版画の場合、当然ながら自然色よりも色数が減るわけで、その点はアニメーション的な塗り分け表現が必要になる。そこの部分のセンスが悪いと見るからに粗雑な作品となってしまうのであるが、さすがにその表現は見事であり、数色で塗り分けているだけの花が不自然に見えない。版画というものの面白さを感じさせられた。


 この美術館は他に常設展示として陶器なども展示されていたが、なぜか今回は今まであまり興味を感じなかった陶器の質感などに魅力を感じた。私は人間が単純すぎるせいで、やはり「へうげもの」の影響をもろに受けたとしか言えない。

 

 美術館を見学すると、車を置いたまま辺りの散策をする。今回の本題である「三木城」見学である。三木城は室町時代に別所則治が築いて以降、別所氏の居城として用いられてきた城である。尼子氏や三好氏さらに有馬氏などの攻撃を退けた堅城として知られている。五代目城主・別所長治の時、織田信長の意向を受けた羽柴秀吉の大軍に包囲されて、一年十ヶ月に及ぶ兵糧攻めを受け、その惨状は「三木の干殺し」として伝えられている。この結果、籠城した人々を助けることを条件に別所一族は自刃、開城している。その後は秀吉を経て池田輝政の支配下となったが、江戸時代の一国一城令で廃城となったという。

左 二の丸はかなり広い  中央 二の丸から見た本丸  右 この道を降りたところが水門口跡とか

左 本丸の祠の裏に回り込むと  中央 広いスペースの奥に別所長治像が  右 別所長治騎馬像

左 別所長治の辞世の句碑  中央 カンカン井戸  右 かなりの高さがある

本丸風景

  

合戦図より三木城大手門の戦いと別所長治の最期

 今いる二の丸の広さだけでもかなりの規模の城郭だったと分かるが、往時の城郭は隣の本丸のみならず、東方の今日では住宅街になっている部分までも含むかなり広大なものだったという。本丸部分には現在は別所長治の騎馬像(あくまでイメージ像であり、史実に基づいたものではないとの注釈付)と辞世の句の碑が立てられており(ちなみに辞世の句は「今はただ うらみもあらじ 諸人の 命にかはる 我が身とおもへば」というもので、あまりにも状況そのままで痛ましい)、また城跡であることを示すかのように申し訳のような白壁が張り巡らされているものの往時の遺構と言えそうなものは本丸隅にあるカンカン井戸ぐらいか。なおこの井戸、見るからに深そうであったが、現地の表示によると深さ25メートルもあるとのこと。なおこの中に秘密の抜け穴があったという伝説もあるとか。

左 かつてはこの住宅地も城内  中央 雲龍寺  右 別所長治の首塚の石碑

 本丸を見学すると別所長治の首塚があるという雲竜寺まで散策。往時はこの雲竜寺も三木城の城内だったというのだからかなり広大な城であることを再確認。つまりはこれだけの城だから秀吉の大軍を相手に1年以上も籠城戦を出来たということでもあるのかもしれない。

 

 三木城の見学を終えると次の目的地へ。お城の後は温泉というのはお約束である。今回目指したのは白雲谷温泉ゆぴか。レストランや産直販売所なども併設した巨大施設である。かなり人気があるのか駐車場が一杯で待たされる。また入館してからも風呂のロッカーが一杯でこれも入場待ちとか。とりあえず昼食を先に摂ることにする。

 昼食は館内のレストランで季節メニューの「牡蠣の味噌鍋定食(1080円)」を頂く。まあいわゆる土手鍋定食だが、相生産と言う牡蠣が旨い。味噌の味が良いので最後は鍋の出汁まで残さず頂いてしまった。正直なところ場所柄あまり期待していなかったのだが、この手の施設のレストランにしては存外まともであった。なお予想外の不意打ちは、マイタケの天ぷらだろうと思って口に運んだ天ぷらが牡蠣の天ぷらだったこと。そう言えば広島の料理屋で「本当によい牡蠣はフライよりも天ぷらの方が絶対に旨い」と言ってたな。

  

 昼食後はしばし順番待ちの後に入浴。「森の湯」と「水辺の湯」があって男女日替わりだが、今回は「水辺の湯」の方。まさに目の前に池が見えている。露天風呂は寝湯とジャグジーがあり、内風呂の方にも展望風呂という名の露天風呂有り。ただ混雑がひどすぎるせいでカランは空いていないし、小さな源泉風呂は完全に根っこが生えた奴らに占拠されていて近寄れず。やっぱり週末は避けた方が無難らしい(と言っても、平日になんて来れるわけもないが)。なお泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉と言うことで、いわゆるしょっぱい湯。湯としては一般的で取り立てて特徴がないというのが本音。

 

 結構何だかんだでじっくりと入浴をすると、狭い更衣室で押し合いへし合いで着替えて施設を後にする。入浴後に飲むフルーツ牛乳もうまい。なかなかにツボを押さえているようである。

 

 帰りに施設前で販売していた相生産牡蠣を一袋購入、これは帰ってから焼牡蠣で頂いたのであった。温泉と牡蠣のおかげでいろいろと不調になっていた身体の方もどうにかこうにかなってきたような気がする。これで明日からまた仕事に励めるというものである。

 

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