ひろしま美術館

 

正面から見るとこんな感じ。常設展示室を建物が取り囲んでます。

こちらが常設展示室。中にはハイレベルの近代西洋絵画コレクションが。

公式HP

美術館規模 

専用駐車場 有(4台程度しか停められないのなきに等しい)

アクセス方法

 JR広島駅から路面電車(広電)と徒歩

お勧めアクセス法

 JRと広電を使うルートが便利。車で行く場合は、大抵は駐車場が一杯なので、どこかで駐車場を探す必要があります。

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展覧会レポート

 

「ピカソとモディリアーニの時代」 2006.6/10〜7/16

 本展はフランスのリール近代美術館が所蔵するコレクションより、20世紀前半の絵画を集めて展示したものである。タイトルに「時代」がついていることから想像できる通り、ピカソとモディリアーニ以外の同時代の画家の作品が多く展示されている。

 展示される作品は、キュビズム系のピカソ、ブラックなどから、いわゆるエコール・ド・パリの時代のモディリアーニ、ルオー、ユトリロ、キスリング、さらにはミロ、カンディンスキーなどのシュルレアリスム及び抽象絵画など20世紀絵画史を一望できる構成になっている。

 いわゆる「派閥」ごとに分けているので、類似の絵画が分類されていて非常に理解しやすい。またその同じ派閥の中でも微妙な違いがよく分かる。例えば同じキュビズム系でもブラックよりもピカソの方が私には面白いし、エコール・ド・パリの中ではモディリアーニやキスリングが個人的には印象深い。そして抽象絵画になるとお呼びでない(笑)。

 展示作品にかなり特徴的なものが多いので、かなり楽しめる。現代絵画は嫌いな私が楽しめたのだから、そちらに興味があれば必見であろう。

 

「日本近代洋画(常設展)」 2005.11/10〜12/25

 ここでは特別展ではなく常設展である。しかしこれは特別展がたまたまなかったから常設展を見に来たのではなく、実は今回は最初からこれを狙って来たというのが事実である。この美術館のコレクションは西洋絵画と日本近代洋画の2つがあり、特に西洋絵画コレクションはそのレベルの高さが知られている。しかしこれらの西洋絵画はほぼ年間を通じて展示されているが、日本近代洋画の方はスペースの関係で特別展開催時はほとんど展示されないのがこの美術館の常であり、実のところこれを見られるのは特別展並みに限られた期間になってしまうのである。そこで今回は再び高レベルの西洋絵画コレクションを楽しむと共に、この館が所蔵する日本近代洋画も鑑賞しようと企画展の狭間のこの機会を狙った次第である。

 展示されていたのは黒田清輝や岸田劉生、小出楢重などそうそうたる画家の作品である。日本洋画に造詣が深いとは言えない私には、全く聞いたこともない作家の作品もかなりあったが、一堂に展示されていると各作家の個性が分かって非常に面白かった。特に印象に残ったのは岸田劉生の「支那服を着た妹照子像」。作者は「固すぎる」とあまり気に入らなかった作品のようだが、ピンと張りつめたような空気がかえって美しく思える。そういえばこの画家の作品で「麗子像」以外の人物像は初めて見たような・・・。

 これ以外でも、裸婦像ばかりを並べていたコーナーなどがあったのが、いかにも洋画らしい。ズラリと見回すと、描写に力を尽くしているものから、抽象画の一歩手前まで行っているものなど、人物描写の個性の違いが分かって非常に面白い。全体として、本展は期待に違わずかなり楽しめたというのが正直な感想である。

 

「浮世絵 百花繚乱点」 2005.1/3〜2/6

 鈴木春信をはじめ、鳥居清長、喜多川歌麿などの美人画を集めた展覧会である。ここに表現されているのは、謂わば江戸の最新モードであり、当時の風俗を知るには非常に興味深い作品である。いかにも新年向きの企画である。

 しかしこの美術館の場合、実は企画展よりも常設展の方が素晴らしい。この美術館は小規模なものであるにもかかわらず、その西洋絵画コレクションはレベルが高いことで知られており、印象派などの代表的な画家の作品を中心として、まさに美術の教科書に載せても良いような作品がオンパレードで展示されており堪能できる。このような作品にいつでも気軽に触れることが出来る広島市民は、つくづく恵まれていると言えるだろう。

 

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