奥田元宋・小由女美術館

 

まだ新しい建物です

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美術館規模 

専用駐車場 

アクセス方法

 JR三次駅からバス

お勧めアクセス法

 JRの本数、バスの本数等を考えると、実質的に車しか手段はないに等しい

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展覧会レポート

 

「三次ゆかりの作家たち 太田忠」 2006.12/15〜1/28

 太田忠は国鉄の機関士をつとめる傍らで、独学で絵を描いた画家であるという。機関士らしく独特の感覚を持つ風景画で知られている。本展では彼の初期の作品から晩期の作品までを一望できる。

 初期はオーソドックスな風景画を描いていた彼だが、やがて遠近法を無視して描きたいモチーフをコラージュするなどの傾向が現れる。やがてフォービズムの影響なども現れ、機関車の炎を思わせる赤を主体とした独自の画風へと至っている。

 そこにある風景を描いていた写実から、描きたいものを描く心象的な絵画へと変遷していく過程がよく分かり興味深い。機関士らしく機関車の絵などもあったが、物のフォルムへのこだわりがあるのか、風景画などは明らかにデフォルメがかなりかかっている。この感覚が彼の独自性につながっているようである。いわゆる技巧で見せる絵ではないのだが、妙な魅力があることは否定できない絵画である。

 

「受け継がれる画家の魂 川合玉堂・児玉希望・奥田元宋」 2006.9/23〜11/5

 この三人を取り上げたというのは、児玉希望が奥田元宋の師匠にあたり、河合玉堂がその希望の師匠にあたるという関係があるからのようである。ただ、河合玉堂と奥田元宋の絵画を並べて見ても直接のつながりは見えない。

 河合玉堂は精緻な描線に自然な色遣いの非常に素直な絵画、これに対して奥田元宋は描線には頼らずに非常に派手な色彩で描き分けた作品が多い。ただこの両者の間に児玉希望が入った時につながりが出来るのである。希望の作品は玉堂の描線をさらに大胆に変化させ、色遣いはどぎついまでに鮮やかである。しかも彼のとんでもないところは、日本画の枠に収まらず、洋画的な作品も多々描いているところ。そのような作品ではもはや描線を用いない表現を使用している。このあたりの流れが奥田元宋につながったと考えると、非常によく理解できる。

 というわけで、正直なところ児玉希望の芸風の広さ(笑)だけが鮮明に記憶に残ったという次第。この三者で受け継がれているのは「風景画」というジャンルだけという気もしなくなかったのである(笑)。

 

「響き合う二つの芸術 奥田元宋と奥田小由女」 2006.4/15〜6/13

 奥田元宋・小由女美術館は、今年の4/15に広島県の三次市で開館した美術館であり、日本画の大家である奥田元宋の作品と、彼の妻で人形作家の第一人者である小由女の作品を収めた美術館である。

 奥田元宋の作品については、個人的にはあまり技倆は感じないのだが、その一方でその力強い筆遣いには圧倒されるものがある。特に晩年の赤が主体の風景画は、静けさの中に荒々しい情熱が潜んでいることを感じさせるもので、強く引きつけられるものを感じさせられる。日本画家と言えば国民画家とも言われた東山魁夷が有名であるが、彼の作品が青で静なら、奥田元宋は赤で動と実に対称的な味わいがある。

 本展では奥田元宋の代表的な大作(本美術館収蔵品以外もある)を集めて展示していたので、かなりの見応えがあった。なおあわせて展示されている小由女の人形にも興味を持つ者もいるだろう(私はあまり趣味ではないが)。もっとも本美術館は現在のところ非常に人気を呼んでいるのか、私が訪れた時には駐車場に入るのも困難なぐらいの満員であったので、落ち着いて絵を見るとという状況でなかったのが残念なところ。

 

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